第3話 複合量子体 OK

 ――爆炎が晴れ、そして姿が見える。
「嘘だろ…!?」
武装は無い。
装甲も溶けている事から、レーザーで破壊したと思われる。
だが、稼働している。
「あれだけ物理的に消し飛んでおいて、まだ生きてるのか!?」
上空へ旋回し、機体を傾ける。
 黒鋼が両腕をラプターへ向ける。
『回避しろ、攻撃が!!』
慌てて回避運動を取ったラプターだが、時既に遅かった。
機体の多くを焼き取った魔法弾が市役所に直撃、隣の保育園と一緒に消し飛んだ。

 自衛隊最新鋭ユグラドライヴの不知火が街を駆け抜ける。
『目標1、市民防衛だ!
敵は一機だが、米軍の最新鋭戦闘機が一機撃墜された。
現在在日米軍基地から同型機による応援部隊が本空域へ急行中との事。
我々は陸上自衛隊と連携して市民避難を護衛する。
敵機撃墜より護衛を優先しろ。
 尚敵は黒鋼、先月の強奪事件の犯人と思われる。
現在確認されているだけで被害は大きい、これ以上民間人をやらせるな!!』
 隊長機からの連絡の後、今度は指示が出る。
『防衛目標は各部隊で担当しろ』
各機の視界にウィンドウが表示される。
表示内容は目標座標と現在の避難完了率、敵のレーダー反応である。
『第一機動連隊はA地点、Bを第五攻撃部隊。
第五攻撃部隊はA地点を防衛する連隊の後方火力支援だ。
 Cを第二機動連隊、D地点を総合作戦エンジニア部隊と第四機動連隊。
第四機動連隊は本作戦に於いてエンジニア部隊による二次指揮下に入る。
 作戦内容は以上。
各隊員が、これを遂行して防衛作戦構築とする。
防衛作戦は全区画の避難完了。
完了次第敵機撃墜任務へと移行する。
 ――状況開始!!』
 それぞれが散会、指定の場所へ急行する。
 (何だよ、この状況は!!)
A地点へ向かう部隊の隊員の一人が心の中で困惑している。
 『3番機、バイタル不安定だ。
何かあったか?』
「い、いえ。
問題ありません」
『…その割には脈搏が……。
具合が悪いなら、任務の邪魔にもなりかねん。
一旦下がれ』
「大丈夫です!!」
『…まあ、それ位声を出せるなら多少は目を瞑ってやろう』
 其処へ更に緊急通信。
『敵、建御雷撃破!
建御雷、市内の総合病院へ落下!
激突を阻止して下さい!』
「こんな時に!?」
ハッと空を見上げると制御不能となった建御雷が病院へ一直線である状態が見えた。
『あの病院の地下はシェルターだ!!
落ちるのを阻止しろ。
最寄は…第一機動連隊3番チームか。
 3番チーム、急行しろ』
『任務の一部変更を了解。
3番機、置いてけぼりにならない様に必死こけ!!』
「了解!!」

 建御雷を撃墜した黒鋼。
その黒鋼に突如衝撃が走った。
下を確認すると、迎撃戦闘トレーラーが荷台に搭載してある二門のレールガンを此方へ向けており、一門は煙を軽く吹いていた。
 隣のレールガンが充填を開始する。
「第二電磁投射砲、充填開始!!」
 させん、とばかりにまっすぐ突っ込む黒鋼。
左腕全体を媒体にマジックソードを展開するが、充填阻止を他の自衛隊員が行う。
 邪魔だ、と声に出さぬまま魔力弾を放ち、対魔術結界突破用大型バレットガンを撃っていた自衛隊員達数名を建物の屋上毎吹き飛ばす。
 瓦礫が落ちる中、真下の駐車場から飛び出して来た10式戦車が主砲を放つ。
が、砲弾をマジックソードで斬る。
当然爆発に巻き込まれる黒鋼だが、自身の損傷等知らぬが如くマジックソードを再展開、フルブーストで接近を再開するも、投射砲の直撃を受け、右肩から先の装甲が吹き飛ぶ。
そのままビルに激突するも、やはりマジックソードを再展開、電磁投射
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