ロシア軍迎撃 OK

 突然の事だった。
新生ロシアを名乗る大規模な武装集団による大規模襲撃により企業連合は多大な被害を受けた。
中でも試作機や多くのレイヴンを失った事は、その大半が専属や腕利きだった事もあり、社会的打撃は非常に大きな物となった。
これに乗じた他の勢力が新生国家を名乗り次々と企業コロニーや地下世界へ侵攻を開始して行った。
 企業の経済に欠かせない存在であるミグラントは企業派と国家派に二分し、危機感故に互いが潰し合うか、企業の重圧によって国家派を攻撃するか、その様々なケースによってミグラント同士の戦いの激化が一気に進み、重要都市をすら戦場としてしまう事なった。
抗争地区のレイヴン達は更なる危機感にミグラント勢力に取り込まれるか、独自の集団を形成し、結果として企業に仇成す存在が増え、治安が一気に低下してしまい、犯罪率が激増。
地下世界は一気に荒れ、富裕層へ大ダメージを与えてしまった。
ダメージを受けた富裕層は、その経済活動の殆どを結果的に制限され、ダメージがより強大なダメージを呼び始めた。
 カラードの戦力が惜しみなく投入され、不慣れな操縦しか出来ない雇われた傭兵がエース部隊と肩を並べる機会が増え始めた。
 新生ロシアは制圧した地上コロニーの物資で活動し、プラント規模の生産能力を持ち始めた。
この生産能力が為に企業連合お得意のアームズフォートの制圧力が相対的に激減し、企業が統べる大陸は時代の姿を大きく傾け始めた。

 ノックの音が聞こえる。
「第一MT部隊全員、揃いました」
「どうぞ」
最後の一枚の書類にサインして判子を押しながらアンタレスが答えた。
「失礼します」
エグとエレン、第一MT部隊の面々が入室する。
 「箝口令の件だね」
言いながらアンタレスが席を立ってソファーに移動する。
 エグとエレンが反対側に座ったのは勿論の事だが、十数人も居る残りの全てが座れる訳ではないので、顔を見合わせて階級やコールサインが1に近い隊員達が座った。
 アンタレスが口を再び開ける。
「兎に角ご苦労だった。
で、箝口令の解除については今後無期限と決まった。
要はロシア勢力のACに関しては『箝口令出てるから』の一言で良いと結論が出た」
 「次に大和内部」とパソコンを操作する。
「市民の中にスパイがいる。
最悪外部による市内での対テロ戦も在り得るだろう。
その場合、君達だけでなく他のMT部隊への出動も躊躇出来ない状況になる。
又、規模次第ではレイヴン出動態勢も考えるべきだ、と会議でも発案された。
どんなルートかは知らないが、最早大和内部も安全ではなくなった様だ」
 「今月の犯罪件数、中央市場だけ滅茶苦茶高いですね」
「あの辺はスパイが多く見つかってるからな。
とは言え、犯罪件数と比例、反比例しない例もある」
そう言ってアンタレスが再びキーボードを操作する。
出された画面には犯罪件数よりスパイ発見数が多かったり、圧倒的に少なかったりする地区が沢山あると示されている。
「この様に中央監視局も疲れが溜まって来てる。
中央監視局に過度な負担を掛けない為にも、大和政府中枢直属の調査隊がスパイ発見地区に多数送り込まれているが……現状、負荷を軽減している様には見えないから、今後長い付き合いになるだろう。
この報告に関しては後日包み隠さず正式発表する予定だ」
 「新しく入るのは大分厳しいかった筈では?」
「輸送隊に妙な空気を感じると検問所の連中が呟いてたから、多分それなんだろうな。
ともあれ、やっぱりカードの確認だけじゃ雑すぎたな、と判断された。
新開発された動脈検査装置で全員が合格したら、
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まろやか投稿小説 Ver1.50