正体不明勢力調査前篇 OK

 プラント周辺を重点的に調べるエグ。
が、謎のAC集団に関して収穫は乏しさが続くばかり。
そんな中数日後にして、漸く反応があった。
『前方距離450』
「結構近いな。
向こうにオペレーターが居るなら、もう気づかれてる筈だが…」
隠密モードに切り替えて、静かに入口へ向かう。
 「此処だ」
『水精製施設…ね。
稼働中の様だけど、この地区は全部水道が封鎖中の筈ね』
エレンが調べているのか、サイドディスプレイにマップが表示される。
「水責め…にしては貴重な水だからな。
AC集団…レイヴンの雇い主の施設なのか?
まさかレイヴン自身が運営しているとは思えんが…」
『個人で水精製施設を運営するなんて、企業に潰されるわ』
この時代、水道代が恐ろしく高い。
コロニー大和であれば、足りないが水精製施設が一応同盟間プラントに一機、それよりも小さいのが大和所有の小規模プラントに一機あるので、他の所の相場よりは大分安いだろう。
それでも厳しいので、天然水が確保出来る地域の抗争の激しさは群を抜く。
天然水には及ばぬが、人工水も莫大なコストが掛かる上、希少価値が激しく高いので、結果的に凄まじい価値がある施設である。
それを個人で運営すると言う事は、莫大な富が個人に集中すると云う事だ。
 ダァン!!
銃声が轟く。
刹那、凄まじい揺れと直後に爆発音。
反対側の通路から巨大兵器が大破状態で飛び出し、そのまま壁に激突して大炎上した。
 巨大兵器が出て来た通路から大量のMTが出現、ミサイルによる緩和攻撃を実行する。
巨大兵器を破壊したであろうACは、自らに殺到するミサイルに向かってオーバードブーストで突撃し、右手の長距離戦闘想定型のスナイパーライフルを発砲、手際良くミサイルを撃墜し、撃たなくて良いと判断した物を完璧に回避する。
余計なミサイルを回避しないので、爆風のギリギリ外側を通過するので、見ている方の心臓に悪い。
が、そんな事知るか、とばかりにスナイパーライフルを高速移動するフロート型MTの頭部へ放ち、フロントブースターと一緒に破壊する。
推力を失うと同時に、統括機構を失ったMTは更に同時に発生したバランス崩壊に対応出来ず、水精製施設の駐車場の真ん中迄滑り、漸く摩擦で停止したと同時に爆散した。
 真っ白な軽量二脚のACが放つ弾丸は、次に人型MTを空中で射抜き、更に発砲された弾丸が、逆関節型のグレネードカノン砲を装備したMTの右カノンを破壊、MTが爆発に巻き込まれる。
 オーバードブーストの余剰推力を活かしながら距離400程を保って左旋回し、軽量なチェインガンを一発だけ撃って、MTの戦闘力を奪う。
MTが倒れたのは120度程旋回した頃で、更に現れたノーマルへノーロック状態で特殊ミサイルを発射した。
発射されたミサイルは不思議な形をしており、本体が爆発したかと思えば、連結されてあった複数のコンテナが爆風を活かして跳躍する様に、前に押し出され、気付けば各コンテナから放たれたミサイルが地面や壁と一緒にノーマルを飲み込む爆発を生んでいた。
 素早く接近して左腕のレーザーブレードでマシンガン装備のノーマルを破壊し、スナイパーライフルを旋回しながら撃って、背後のノーマルを破壊、続けて同方向の数百メートル先に居るMTも撃破する。
 余りの正確な戦闘に唖然と知るエグ。
ナストロファージを介して、それを見るエレンも同様だった。
「…通信開始する」
『了解、通信録音開始』
ボタンを押して、一息。
『此方、コロニー大和所属調査隊。
其処のAC、目的は何だ?』
『……俺は…レイヴン…』
(女!?)
『俺は…
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まろやか投稿小説 Ver1.50