だ。
「物資は無事だろうな?」
『荷台にあるからな。
連中が悪さしてなきゃ、大丈夫な筈だ』
「…最悪安全を考えて全部捨てる必要もあるかもな…」
小さく呟いていると、又新たに通信が入った。
『エグ、エグ!
返事して、お願い!!』
エレンだ。
悲痛な声でエグに呼び掛けている。
「聞こえる。
俺もさっき迄エレンやMT部隊と連絡出来なかった」
『至近距離なのに?』
「ああ。
敵襲…撃退出来たが」
『なら早く逃げて!
後ろからジオ社のレイヴンが!
二機来るわ!!』
『何だって!?』
MTのパイロットが驚きの声を上げた。
シュウウ…
「集音マイクに反応。
確かにACのブーストダッシュ音だ。
全車両、全速離脱!
MTは、これを援護!
俺が最後尾につく、援護を頼む!!」
『了解!』
『エグ、見つかったらアウトだから』
「なら姿を見せた瞬間、一斉放火だ!」
シュウウウ…!!
『近い!』
シュウウウウ!!
「オールウェポン・フリー体勢!」
シャウウウウウン!!!
姿が見えた。
「撃ち方初め!!」
広めの通路一杯にレーザーや弾丸が滝の様に流れる。
敵ACは深緑の逆関節軽量型で、マシンガンとパイルバンカー、ミサイルで武装していた。
ミサイルに引火したのか、予想外な程に盛大な爆発で、転倒して機能停止する。
『二機目…横よ!!』
瞬間、黒い四脚のACが拡散型ハンドガンを炸裂させる。
着弾した周囲が小さく爆ぜる。
『化学エネルギー弾…榴弾かよっっ!!』
『くそったれが!
脚部が!!』
『援護する、先に行け!』
『ああ、悪ぃ』
逃げるMTと、それを追う為の進路を塞ぐMT。
横からエグがレーザーブレードを振るうも、寸前で逃げられる。
「流石四脚。
気持ち悪い位旋回が速いな!!」
上から腕のカノン砲を撃ち続ける敵AC。
「いい加減、落ちろ」
MTの加勢もあって弾幕は激しいのだが、中々動きを捉えられない。
着地したと思ったら後ろ足でジャンプして、壁にぶつかると思えば壁を蹴る。
そんな動きの中、時折オーバードブーストを混ぜて来るのだから腕の運動が間に合わない。
「じれったい!!」
と、漸く着地したと思いきや、空中にいた時の慣性で左へ移動していたのに、着地した瞬間、右へ移動し出したのだ。
更に今度は前足で跳躍し、後ろ足で更に跳躍し、ロングジャンプをして見せたのである。
そして、そのままエグ機へ後ろ足を叩き付け様とする。
咄嗟にサイドブースターを吹かして左に動きながらブレードを振るい、回避する事が出来たエグは、ブースターを吹かしながら旋回し、オーバードブーストペダルを踏んだ。
莫大な推力で機体が吹っ飛び始めた瞬間、右旋回と同時にオーバードブーストを停止し、その間にマシンガンを叩き込む。
背後を取られて焦ったのか相手は後ろへジャンプしようとするも、エグがマシンガンを撃ちながら、レーザーブレードを直撃させ、ついに敵ACが大破した。
『敵AC撃破』
「良し、急いで離脱するぞ!!」
『了解!!』
こうして彼らはギリギリ、ドームを脱出したのであった。
以降、彼らのコロニーでは、そのドームへ近付かない様に検討されるも、企業の監視の厳しい地上で運搬するより、ある程度監視率の低い地下ドームを通過した方が安全だと判断され、迂回路交通案は却下された。
理由は他企業運営住居用地下ドームに比べ、工場地区もあり、構造上物理的視界が悪く、電子索敵に自信のある上層部が「装備を充実させれば大丈夫。
今回は護衛部隊の油断が原因」とし、エグ達の言う「幽霊の様な何か」はジオ社の新型兵器のプロトタイプか、それ
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