旧企業地下大規模プラント争奪戦争 OK

4発のレーザーを食らい、機能停止、落下し始め鉄道の高架橋に衝突、真下に落下して道路へビルを抉る様に激突、大炎上する。
 『敵飛行兵器破壊。
各リコン、反応データ、リンク…。
敵反応なし、殲滅完了と判断。
帰還する』
所々赤黒く塗装された黒い軽量二脚のACが荒々しく着地し、道路を抉りながら、ブーストダッシュへ移行、そのまま反転しオーバードブーストを点火して離脱する。
 撃墜された方は、一人だけ辛うじて生き残れたが、他の操縦士は状態不明だ。
「…生き残ったのは俺一機。
……独り…、か」
落下が始まったと思った瞬間、脱出した彼は、自分の機体が鉄道の高架橋に激突するのを目撃していた。
 「…」
着地したのは大穴の空いたビルだった。
何階かは分からないが、このフロアの一番下の道路から数百メートルの高さがあろう筈なのに、何故か黒焦げた戦車の残骸が主砲を壁に突き刺していた。
何だろうと思って、外を見ると大分上の方を通っている高速道路らしき所の一部の壁が崩れており、恐らく其処から落ちたのだろうと分かる。
 良く分からないのは、下に落ちた筈なのに刺さっている砲身は勿論、車体その物が水平状態な所だ。
一応、修理すれば動ける範囲は狭いが、移動不能な場所と姿勢でない事は確かだ。
 最も修理した所で、この状態では砲台にしかならないし、この高さなら早々役に立つ事もないだろう。
そもそも此処迄修理資材を運べるとは思えないし、した所で如何やって移動させれば良いのか見当が付かない。
一番手っ取り早いのは飛行可能なMTに掴んで貰って降ろすか高速道路に戻すかだろうが、やっても利益が無さ過ぎる。
 砲身の刺さり方も不自然だが、仮に技と刺したとして、その真意が何処にあるか分からない。
ふざけてやっているのなら、折角の戦車を無駄にするのは馬鹿や愚か者に値する連中だろう。
「如何して、こうなった…?」
本当に、それ以外の言葉が思いつかない。
経緯も分からなければ意味も分からない。
何故、この様な状態になったのか不明だ。
 取り敢えず、戦車を修理するには資材関係で無理だが、戦車自体が資材になる事もある。
そう考えて、砲塔に上ってドアを引っ張る。
一分程引っ張り続けて漸くドアが外れたので、中に入ると、見事に真っ暗だった。
 パチン。
ヘルメットのライトを使う。
しかし見えた所で目ぼしい物がある様に見えない。
 溜息を零し、後ろを振り返り――その途中で目に入った何かへ顔を向ける。
「…漢字だ。
…何て読むんだろう?
き、さ…らぎ…。
如月、かぁ。
 ああ、道理でこんな変な所に戦車が突っ込んである訳だ。
けど、何で突っ込んでるんだろう?」
苦笑する他ないが、やはり意味不明だ。
 如月社のマークの入った小さな箱を持ち上げ、観察する。
鍵穴の様な物を見つけ周囲を見回すと、砲塔の梯子の向こうに鍵らしき物を見つけた。
其処迄歩み寄り、手に取った鍵を観察し、それから鍵穴に指して半回転させる。
パカっと小さな音と共に蓋が開いて、可愛らしい音楽が流れ始める。
「な、何だこれ?
オルゴール…!?
何で戦車の中に、こんな物が!?」
 改めてライトの光に当ててみると、暗くて分かり難かったが箱自体、かなり可愛いデザインだった。
 「ええ〜〜…」
何やってんだ、如月。
 そう心の中で突っ込んだ時、変な音が聞こえた。
周囲を見回してみるが、暗いだけだ。
車両の外へ顔を出すも、殺伐としているだけで、取り敢えず向かい側のビルの屋上から企業の看板を突き破って四脚の緑色のACが落っこちる所だけは目撃して、中に戻る。
 「あ、…えっ?
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まろやか投稿小説 Ver1.50