大陸の遥か東西に存在する超規模な交通システム。
旧技術では地上進出が出来なかった為、人類は地下へ移住する事を余儀なくされた。
そんな時代、数多くの大型地下都市の市民の食料の大半は旧時代に確立された地下農業生産技術に頼った物で、それ故に現時代迄発展が継続された物だ。
無論全ての都市、市民の平等に、必要数供給するのは無理があり、故に暴動が発生した。
だからこそ、レイヴンには有難い時代でもあり、AC開発により利益を得ている企業にも有意義なシステムであった。
企業間のプラント数と規模は、一社のみならず地下社会全体の在り方すら左右する重要にして重大な要素であった。
そんなある日、遂に不十分なシステムに反抗した市民が同時多発暴動を計画、実行した。
それぞれの規模は、それなりに大きく、それ以上に厄介なのが発生数の多さと、その大量の暴動の殆どが同時発生した点である。
システムは、その最重要点たるプラントユニットに委ねられていた。
各プラント制圧こそ順調に終わったが、それでも約一月の間は供給停止を余儀なくされ、大規模な畑荒らしにより一般市民の殆どが飢え、貧民層は大量の食糧を市場へ運び込む事が出来た。
一時の変化は、後のバランスへの要素となり、時代の在り方を一変させる程の大規模な戦争を引き起こす。
プラント強奪被害により疲弊した企業が所有、或いは開発する新兵器の強奪依頼が企業間で多発し、情勢は更なる混沌へ陥る。
混沌の深まりに引き寄せられた軍事強化の必要性により兵器開発は高価なACから安価なMTのコスト維持した高性能化と大量生産のし易さ、同時に大量生産用コロニー開発すら行う大企業が続出した。
この波に飲まれた他の企業が消えた事により、経済に大きな穴が開き、地下世界は極めて不安定な戦争状態に陥った。
地下世界の全人口が2割から1割へ低下した頃、その状態に気付いた各社が連携して、ある計画が発案された。
その第一弾階に於けるのが大規模プラントである。
今でこそ、殆どの企業の地上進出に伴い、世界が再び地上へ戻りつつあるが、一部の大企業以外の殆どの企業が関わる企業間戦争は地下のままだ。
特に近年では生産停止し、上部企業が組織した『企業連合』が戦力を派遣しており、警備部隊ながら高レベルの武装が施されている。
その警備部隊は、多数の暴動組織間の武力衝突から連勝し、激戦区を抜け出した勢力の排除が主な仕事で、警備部隊と別に常に待機している迎撃部隊の猛威故に現在に於いて迄、突破を許す事はなかった。
それでも厄介な存在はある。
武装勢力の中には他の勢力を飲み込んで拡大し続ける類も多く、その大半は格の低い企業となら充分渡り合える程の戦力を保持している。
そんな勢力同士の戦闘的衝突は主に互いが雇ったレイヴン同士の激闘によるものである。
ACを追尾していたミサイル二発がビルへ激突する。
『動きが速い、流石の出力だな!!』
武力組織相手に商売する開発企業も多く、現に敵ACを追っているのはその類の所が販売する最新鋭戦闘浮遊メカだ。
地上世界で運用されている戦闘機にヘリコプター要素を注ぎ込み地下世界での空中戦闘行動に特化した機動兵器で、その火力は小さなガンシップと言える。
平たい形をした戦闘機の主翼に可動式大型プロペラをカバー付きで装備し、角度調整する事で、飛行と滞空浮遊を即座に変更し敵を追う。
計四門のバルカンでACを追うも、突然、その姿が消える。
高度を落として減速したのだ。
背後を取られた事に気づき、浮遊モードに移行しながら、その場で旋回するも間に合わず両動作の途中で
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