第2話 ゴーレム発表の障壁 OK

『野蛮なイベント用は駄目』とは言われてません。
大体、そう決めつけていますが、俺はイベントって言葉さえ言ってませんよ?
何処を見たのか、気になりますね」
 二人の目線が火花になろうか、ならないか。
教室の空気が棘の様になり始めた時だった。
『えー、緊急事態発生緊急事態発生。
先程発令された避難指定地域に本校のある地域が指定されました。
教師は速やかに生徒を最寄りの簡易シェルターへ誘導させて下さい。
えー、繰り返し連絡します』
内容とは裏腹に、あまり真剣さが感じられない喋り方の声が聞こえて来た。
だが同時に市内の緊急サイレンがなり始める。
 「何だよ、これ?
B−29でも爆撃しに来るのか?」
ウ〜〜〜ンと言うサイレン音は武の言う通り、確かにB−29の爆撃を彷彿とさせる。
 しかし、来たのはB−29とは明らかにシルエットの違う影だった。
「F−22…?
何でラプターなんか、こんな平時…――このサイレン、平時じゃないのか?」
「おいおい、総十郎。
ラプターだけじぇねぇぞ…。
ありゃ、建御雷!!
自衛隊の独自開発した最新鋭機が居るぞ!!」
武が指差す方向を見る。
「…っ、嘘だろ!?」
思わず、そう言って以降絶句する総十郎。
山吹色に染め上げられた、日本の最新鋭機が巡航飛行しているラプターを追い抜いて、此方へ旋回、そのまま学校の上を通り過ぎる。
 慌てて廊下に出ると、建御雷が機種を上げて右に急上昇旋回、何かを追っているのが総十郎の目が捉えた。
「あれは…黒鋼!?
何で日本の戦闘機が日本のユグラドライヴ追っかけ回してるんだよ!?」
 建御雷がレーザー砲を数秒間チャージ、直後に赤黒い光の矢を放つ。
レーザー照射を予測していたであろう黒鋼が一瞬前にバレルロール(2)、レーザーが虚空の大気を焼き、熱の色を残す。
左下方向に急降下した黒鋼に対し、建御雷の真下を通過したラプターがミサイルを撃つも、空を突き抜かんと加速する事により、ミサイルの内部燃料の燃焼時間が経過、慣性飛行に移行し急激に速度を落とす。
最早、このミサイルが黒鋼を攻撃する事は叶わぬだろう。
 慣性飛行も一定時間が終了し自爆した所で二発目のミサイルが爆炎の横を貫く。
背部のマジックブースターを最大出力にしてコブラ機動(3)に突入する黒鋼に武が驚愕する。
「あの速度で、あんな曲り方したら死ぬぞ!?」
 「男子、何やってるの!?」
武や総十郎含め、多くの男子生徒が釘付けになっていると、女子に叱られてしまった。
 仕方なく諦めると、その際ゴーレムの授業を受け持つ女性教師が舌打ちするのを数名が確認した。
「うわ、舌打ちとか」
「屑だな、こんな非常事態の時に」
 耳にしていた葵は心底呆れた。
(総十郎の事、馬鹿にしなきゃ嫌われないのに)

 「はあ、はあ、はあ!!!
何つー旋回しやがる、あんの化け物ぉおッッッ!!!」
重量負荷感知計と速度計の数値が目まぐるしく変わり、そんな視界の中、自由自在に飛び回る黒鋼を追う為に、操縦桿を操作する。
 何とか機体を通常飛行姿勢に戻し、操縦桿を左に倒す。
そのまま引き倒し、スロットルを限界迄弱める。
「ぬおお、格納庫一個潰した代償だ…ッ!
ううぅけとれえええええええええええええええ!!!!!!!」
アクティブモニターに黒鋼を捉える為、左下へ急降下。
エアブレーキを使って上昇慣性を発生させ機体を攻撃軸に突入、安定させる。
「フォックス3…!!
ファイアッッ!!」
五発のミサイルが凄まじい勢いで黒鋼へ飛翔する。
同時に放たれたミサイルに対する回避行動の為左へ旋回する。
其処に滑り込んだ
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