第2話 ゴーレム発表の障壁 OK

発生させたのは、あの先生だ。
 それ以上騒ぐな、お前も時間がないだろう」
そう言って、少し戻って強直状態の武の肩を叩いて、再び教室へ向かった総十郎。
 だが教室にも、彼をうんざりさせる事があった。
先程の新聞を今日のゴーレム担当のおばさん――否、女性教師が突き出して来たのだ。
「貴方のお兄さん、兵器開発班の主任だそうじゃないですか」
「行き成り何ですか?」
隣の武と葵も嫌な顔をしていた。
クラスメイト達もである。
 「陸上機構兵器だなんて、馬鹿馬鹿しい。
戦車に任せれば良い物を」
「俺に文句言うな、兄貴に言え。
それから兄貴に完全論破して貰え」
 「総十郎、敬語!
この人、口煩いんだぞ!!」
「おや?」
慌てて注意した武に先生が目を付ける。
それに対して総十郎がギロリと睨み、低い声で言う。
「何処を見てるんですか?
今の話し相手は俺じゃないんですか?」
「だまらっしゃい!」
「ああ?
黙れよ糞ヘタレ」
それ以降、言葉をガトリングガンの様にぶつける先生であったが、総十郎は、そんな弾丸に対し、分厚い装甲でも張っているかの如く、悉く無視し続けていた。
最後に
「放課後、しょくい――」
「――ああ、今日忙しいんで。
呼び出しなら再来年にして下さい。
後、別に卒業したら呼び出し無視しますよ?」
今彼らは3年生である。
つまり総十郎はあからさまに「てめぇの言う事なんざ聞く訳ねぇだろ」と言ったのだ。
 「さ、再来年!?」
「大体、このクラスの担当でもないのに、朝っぱらから暇なんですか?」
最後の辺りはチャイムが鳴っていたが、それでも総十郎の声は大きかった。
 撃退し様に、クラスメイト達が勝利に騒ぐ。
しかし、武と葵は準備万端。
クラスメイトの中で、それが出来ていない生徒が担任に叱られていた。

 昼休みが終わって、二時間授業が開始した。
遂にゴーレム発表の時だ。
(あれだけ捌け口を求めていたんだ。
大方防衛機能は上手い事作動したらしいが…)
 デバイスの認証許可表示を確認する。
「では、皆さん。
ゴーレムを起動させて下さい」
「うん?
一斉に?」
クラスメイト達が僅かに困惑する。
 良く分からんな、と思いつつデバイスから操作術式を呼び出し、システムを起動させる。
 『メインシステム 通常モードを起動しました』
文字だけの表示だが、自分で作っておきながら、総十郎はくすっと笑った。
 色々なゴーレムが動き出す。
後れぬ様に、起動させた総十郎のゴーレムがモノアイを光らせる。
『メインシステム読み込み開始。
武装;なし
脚部異常;なし
腕部異常;なし
コア異常;なし
頭部異常;なし
  ――――――システム オールグリーン』
 やはり、バトル用だけあって総十郎のゴーレムは目線を集めるらしい。
「うお、龍禅の完全にロボットじゃんよ」
「かっけぇ…」
「俺の駄作と交換して欲しいな」
(最後の奴、交換する訳なかろう)
 刹那、異なる目線を感じる。
(来たか)
 「龍禅君。
私は宿題用と言いませんでしたか?」
「先生には、こいつが何に見えるんですか?」
「変なイベントとかのじゃないですか?」
あからさまな嫌味の声音だ。
 (まあ、イベント用ってのは合ってるんだがな)
 「――それに、そんなイベント、野蛮に決まってるじゃないですか。
後日作り直して再提出する様に」
「その気はありません。
作り直すも再提出も、何処にも必要性がありません。
提出した奴は提出した奴。
こうして提出した以上、こいつは今回の宿題提出です。
 後、『どんなゴーレムでも』と言ったのは貴女です。
残念ながら、
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