第2話 ゴーレム発表の障壁 OK

 遡る事4カ月前。
アメリカにて行われていたユグラドライヴバトルの国際大会で起きた事件。
優勝者である日本人への表彰式直前の大規模テロによる日本人殺害の、この事件は、その数約2万人以上もの死者を出す大事件となっていた。
 事件発生夜2年前に日本政府が極秘裏に設立した対米情報機関は、この事件を機に反日派のアメリカ人勢力に対し、徹底的な情報収集を行っていた。
 同時に中国韓国の動きも察知、極秘対世界情報機関よりチームが派遣されていた。

 アメリカ空軍が誇る最新鋭ユグラドライヴ、XV−22クロスラプター13機が、エースパイロット達によって操られる。
目標は日本の対米情報機関実働部隊『コンバット・ゼロ』。
その名の通り、戦闘を避け、その為に様々なステルス魔法、ECM、ECM魔法弾等を装備している粳金だ。
『さっきからセンサーが認識しないぞ!!』
粳金を知らない彼らは混乱しながらも、必死に目視で捉え続ける。
しかしビルと云うビルの隙間を恐ろしい速度で泳ぐ様にすり抜けるので追手としては、色々と怖い思いを強いられている。
 アサルトライフルを撃つしかない。
ロックオンは出来ないが、其処は軍人の腕だ。
しかし、撃つ度に生じる衝撃で標準がずれて、やはり通常通りの精度とは遥かに及ばぬ物である。
 しかし、それを考慮しても相手の動きが可笑しいのは理解出来る。
嫌、正確には『理解』ではなく、『感じる』と言った方が良い筈だ。
幾ら酷い精度であろうと、13ものアサルトライフルから放たれる弾幕だ。
早々完璧に回避出来る物でもない筈なのだ。
 粳金が弧を描く様に急上昇、通常姿勢のままバックブースターで速度を殺してオーバーシュート(1)、機体全体を捻ってビルへ突っ込み、そのまま通過する。
 『見失った…?』
『元々レーダーにも写らない様な奴だぞ。
だから必死で追いかけてたってのに、見失っちまった…』


 時を戻して三人。
「これ…犬?」
時間が止まったかの如く、黙りこくっていた中で、最初に口を開いたのは武だった。
「狼じゃない?」
「翼があるぞ?
本当にイヌ科の動物…それ以前に地球内生命体なんだろうか……?」
「でも箱に入って拾って下さいって書いてるし…。
元々どっかのペットだったんだろ?
宇宙人売る様なペットショップは在り得ねぇよ…」
武の言葉に、葵は宇宙人か、と呟いていた。
 「まあ、どの道俺達は如何にも出来ない。
取り敢えず学校行こう」
「ええ!?
見捨てるの!?」
驚いた葵に武が溜息ながらに言った。
「総十郎の言う通りだぞ、葵。
大体、如何こうするなんて時間ねぇよ。
俺等学生なんだし、放課後は時間有り余ってるって。
帰りに来れば良いし、居なかったら知らねぇよで良いだろう…」
「そう云う事だ。
じゃ、行こうか」

 下駄箱で靴を履きかえて、教室へ向かおうとした時の事だった。
「がーいこー、がいこ〜う!!」
新聞部の女子だろうか、何やら新聞らしき物を持って騒いでいる。
既に人だかりができている。
 「時間がない、とっとと教室行くぞ」
葵を引っ張る総十郎と、総十郎の間を歩く武。
 不意に目の前に女子が回り込んで来た。
「龍禅君、横山君。
これ本当?」
「え?」「知らん」
驚いて足を止める武と、見もせずに新聞を払いのけて足を止めない総十郎。
 「ちょっちょ、っちょっと!?
龍禅君酷くない!?
前もチョーク避けた所為で私に当たったんだよ!?」
「訴える権限位あるだろう。
結果論だが、先生が投げなければ誰かに当たる事もなかった。
それに避ける必要もなかった。
そう言う無駄な必要を
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