爆ぜる熱は、砲火に熱され OK

 演習後、ペイント剤塗れになったMTの清掃を手伝っていた時の事だった。
『不明反応、レーダーに感あり。
不明反応、レーダーに感あり』
突然、緊急事態警報と共に、放送音声が流れた。
『第1レーダー、未反応。
第二レーダー、未反応。
第三レーダーに感あり。
第一、第二レーダーは未反応。
繰り返す、第一レーダー、及び第二レーダーは未反応。
敵は近距離に出現した』
突然の事態に、多少の混乱が生じる。
(…っ)
演習の終わり際に感じていた感覚が背を伝い、首へ這い上がる。
強まった感覚にエグが唇を噛み締めようとする。
 『敵反応、第3ブロックに接近』
「――内側にあるのは居住区だ…。
 おい、第一MT部隊!!
出撃だ!!」
 「待ってくれ、エグさん!!
部隊内の演習で、まだ実弾に換装し切れて無い機体があるんだ!!」
「だったら、整備含めて大丈夫な機体だけでも出撃させろよ!!」
作業員の反対に怒鳴りつけるエグ。
 『敵反応、移動。
第3ブロック付近より第1ブロック内へ侵入』
「馬鹿な、ワープでもしたのか!?」
幾らACでも無理な移動時間である。
 言葉の尻辺りから、航空機のエンジン音に酷似した爆音が轟き始める。
「敵が来たぞ!!」
近くにあった予備ライフルを構えてパイロット達が射撃を始める。
だが敵機は無慈悲に大型のガトリング砲を持ち上げる。
 「っ、ナストロファージは出せるな!?」
「出来るが――って、おい!?
今からじゃ的だぞ!!」
 聞かずにタラップのコンソールで外部ツールを起動し、駆け上がる。
オーバードブースト用のツインノズルの間にある装甲が持ち上がり、後ろへ下がる。
 顔を出したシートに飛び込み、内部ツールを外部ツール電力で起動させる。
ツール起動完了次第、外部ツールの電源を機体側制御で切り、コンパターを操作して、作業班の番号を入力し、制御権プログラムを起動、機体側の番号を入力して、制御権を機体側に移し、タラップへ作業信号を送る。
 武装はマシンガンこそペイント弾装填マガジンがはめ込まれていないが、ショックライフルは作業中だった様だ。
レーザーブレードを選択し、ノズルを変えさせる。
―右腕部装備;マシンガン【アルシュレイグルム】―
―左腕部装備;レーザーブレード【アイジュグム】―
―右ハンガー; ―――――――――――――― ―
―左ハンガー; ―――――――――――――― ―
―右背部装備; ―――――――――――――― ―
―左背部装備; ―――――――――――――― ―
―背面兵装;  ―――――――――――――― ―
ジェネレーター;ARTA−23211−DA  ―
冷却器:SRT342【ガイヴァ】       ―
FCS;4242−68375−42DDR   ―
サイドブースター;31332−69RTFD  ―
メインブースター;RTRTY−45      ―
バックブースター;4623DRT【ゲイル】  ―
オーバードブースト:TRT45【外小谷亜】  ―
頭部;453−0485DYTR        ―
腕部;424RT               ―
脚部;TR4−0−034           ―

装備している物が、全て表示され右側にOKの文字が次々と現れる。

―コア接続確認―
―メインシステム立ち上げ完了―
―稼働開始―
 「っちょ、武装の換装が終わってもないってのに!?」
ジェネレーターの甲高い音とスラスターから噴き出す豪風に耳と頭を抱えながら作業員が叫ぶ。
 作業信号を受信したタラップが通路を確保し、ナストロファージが前
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まろやか投稿小説 Ver1.50