か考えない。
無論、それは社会として当然だけど…。
少々、そっちに走り過ぎてるね。
頭か、でかい所でも潰そうか」
「…出撃の準備も大変なんだがな」
はあ、と少しだけ肩を窄める。
会議が進む。
「では、これからは各社専属レイヴンが、一定周期で複数の内部監視、及び護衛を担当する…で良いですね?」
(っと、そんな事になったのか)
少し遅れて、了承を伝える社長。
(例の機体…。
俺に堪えられるかどうか、不安だな…)
彼は、その疑問を胸に、その後の会議を見守った。
地下トンネル調査から数か月。
周辺のコロニーを回ったエグ達の収穫により、ガレージに大型輸送機が入って来た。
「この飛行機、輸送機のくせに三次元偏差推力ノズルを使ってるのか!?」
「らしいな。
ノズル数は30、プラズマドライヴ系発電機も大型ユニットが4つ搭載されてやがる。
だが、あれも随分と改良されたらしいな。
結構整備性が高い」
「良好な技術ですね」
「中々ねぇぞ、こんな傑作は」
「高稼働領域型可変翼、多連独立稼働対応三次元ノズル、出力供給指定性能対応型発電ユニット…。
本当に輸送機ですか?
戦闘機じゃなくて、ですか?」
「そう言いたいのも分かる。
クルビットやコブラも可能な運動性能らしいからな。
だが、装甲面を改良すれば、推力的に単機で軌道上に上がれる。
まあ、それをやると阿呆な勢いで燃料を食うから、レジスタンスの生産力で再突入を実施するのは、絶望的とは、エレンも言っていたしな。
単純に飛ぶにしろ、アクロバティックな動きは負担になるらしいし、リミッターを解除しない限り、チートレベルではない様だ」
「普通に飛ばすだけでも、整備性が良くても、でかいとパーツを食いそうですね」
「まあ、ナノマシンなんざ、無理な話だからな。
仮に作れても、被弾したら装甲毎マシンが吹っ飛ぶだろうし…」
「良いの?」
『何が?』
演習場に立つナストロファージに乗るエグが、心底分からないと言う風に聞き返す。
『だって、輸送機は元々…』
『まあ、どの道だ。
企業の手がないと土台は作れない。
逆に言えば、土台さえあれば展開は自由だからな』
ロックマーカーが躍り出す。
『…演習開始』
「了解」
ナストロファージがブースターを吹かして飛び上がる。
地上に残る人型MTがバックブースターで後退しながら長射程キャノンを発射する。
それを回避し、一気に接近、両手に持つ二丁のマシンガンでペイント弾を発射し攻撃目標をピンク一色に染め上げる。
『一機破壊』
その通信が聞こえた直後に、地上をブーストダッシュ、MTを通り過ぎ前方の3機の逆関節が多重兵装型MTを確認、殺到する弾丸に対しビルの影へ飛び上がる。
染め上ったビルの真横をオーバードブーストで通過し、後方で反転、地上へ向けてマシンガンを撃ちながら再点火する。
散会しようとブーストダッシュで逃げるMTの一機を狙い、オーバードブーストを停止、慣性で高速移動している間に左へ90度旋回、マシンガンを至近距離で浴びせて撃破する。
『2機目撃破』
横滑りのままコンクリートを脚部で抉りつつ、更に90度左へ旋回し、右の建物の影を滑り込む。
「近い方は…回り込む気か」
ACと違ってブースターを持たないMTは垂直ミサイルで逃げ道を塞ごうとする。
既に追尾し始めているミサイルを回避する為、爆風から逃げ切れる範囲でひきつけオーバードブーストで駆け抜ける。
「貰うぞ」
細い路地を的確に旋回する為の準備ができる程、角は遠くない。
かと言って、その先は、もう一機、人型MTが居る。
もう、かなり接近して
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