不穏に紛れたモノアイ OK

コンコードのレイヴンとして依頼受けなくて良いだろ。
要は達成すりゃいいんだ、依頼主なんざ傭兵に関係あるかよ」
「けど、僕らは――」
「――レイヴンとして依頼を受けるか、AC乗りの傭兵として依頼を遂行するか、そのどちらかと言うなら問題はないんじゃないか?
どの道、企業連中は自分達のコロニー以外は物資関係しか考えてないんだ。
それに、物資関連で目の厳しい大陸中央と違って、この辺は結構偏狭だ」
「私の親戚も、元は中華コロニー出身のレイヴンから始まった一族です。
彼ら自身、コロニー関係としてのレイヴンとして非常に腕が立つでしょうし、高いプライドの持ち主なりに、それなりにやり合えるチームが来れば、外部とは言え、それなりに依頼を出してくれるでしょう。
勿論、最初は簡単な物でしょうが、それで圧倒してやれば納得してくれる筈です。
後は、それを繰り返して徐々に彼らの中で評価を吊り上げられれば大丈夫かと」
 「幾ら何でも企業連中が気付くよ。
縛られた僕らが外でレジスタンスの依頼を受けるだなんて、やばいって」
半ば吹き笑いながら、それでも真剣に止めようとするヒュージ。
 「だが、あのまま企業に縛られてもレイヴンの冷凍を続けていく気なら、俺達は脱出する必要があるかもしれん。
脱出後の口を確保するのは、利口だと俺は思うが」
「冷凍、ねぇ…」

 所変わって企業連合管轄機構本拠地、その総合会議室。
各社の社長、代表が揃う中、企業連合統率機関、通称カラードの管轄代表者である初老であろう男が挨拶する。
「これより第324回企業連合統率機構総合会議を初め…始めます」
ふざけようとして、こっそり隠し持っていたクラッカーへ手を伸ばそうとしたが、社長や代表達の放つ、余りの空気の重さと真剣さに、流石に自粛する。
 「司会は私、フェレイ・フェアレシュルが担当致します」
 (全く。
奴は如何いう神経をしているんだか…)
GA社代表が、こっそりと溜息をつく。
 「まずはソーンガーデン襲撃事件を議題と致しましょう」
一同の反応は、寧ろ行き成り本題が入って、それなりに良い反応をしている様だ。
と言っても一般人には空気が重すぎて、まず気づけないだろうが。
 「警備は当時、如何なっていた?」
「襲撃を感知したのは、ソーンガーデン第6居住区8番セクションの太陽光を取り入れる天窓が破壊された事による破壊警報システムが最初です。
対空迎撃網が極秘稼働状態に入ったのは、その3時間前。
カラード防衛省が避難勧告を発令する為に各ブロック代表へ連絡を取る段階でした」
「空挺降下とは…。
そもそも防御スクリーンエンジンは如何した?
極秘稼働状態でも、上層部の人間なら緊急事態警報を鳴らすだけで、ある程度の対処が可能だろう。
それさえも出来ないとは、管轄機関の存在意義が問われる」
 「エンジンは当時、点検中で、緊急稼働が不能な状態でした。
極秘稼働に映ったのも、周囲の防衛システムに小規模のハッキングが集中した為、一時的に連絡機能が沈黙している中で本事件が発生したと思われます」
「つまり、敵は用意周到でした、と?
ふざけるな、何の為にエンジンを複数個所に対応出来る様に設計しているんだ。
そもそもセクション毎にも設置されているだろう!」
エムロード社社長が大きく批判する。
対して、フェレイは「エンジンの片方が高高度からの攻撃で破壊された」と返答する。
 「話にもならんな」
如月社の社長が秘書として連れて来た男が、自分にも聞こえるか怪しい音量で、言葉を投げつけた。
 辛うじて聞き取れた社長が、それに対し云う。
「連中は金儲けし
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まろやか投稿小説 Ver1.50