とされるに決まってんじゃん!
でなきゃ、今迄企業が越えられない理由がないでしょうが!!」
女――女性レイヴン、フェレッツァに叱られ肩を窄めるウェズリー。
「さて、如何するべきか、だな」
男――オーズ・ゲインの言葉に、会話が最初に戻る。
「要は壁を越えられれば良いんだろ?
近く迄移動出来るトンネルは?」
「ないよ」
優男――ヒュージ・ルェレツが即答する。
「だが元々空挺降下できる予定だったんだ。
可能性だけなら、地上からは絶望的だろう。
海は海竜が多くてACだけでは心許ない。
足場も『船の上』と言う非常に限定的かつ不安定な物だからな」
「けれども、オーズ。
無理な物は無理だよ」
「っは――」
ウェズリーがヒュージの言葉を笑い飛ばす。
「――所詮レイヴンだ。
レジスタンスレイヴン程気楽でもねぇってこったさ。
オーズ。
一旦、コロニーに戻って依頼しにいかねぇか?
高額だけど購入って手が一番安全だと思うぜ?」
その言葉にオーズが頷こうとした瞬間、フェレッツァが反対する。
「何の為に此処迄来たのよ!?
企業が出す依頼やってるんじゃ、意味ないでしょうが!!」
「だが俺達はレイヴンだ。
所謂『傭兵業』って奴も肩書に入ってる連中だ。
そんな俺達が依頼の一つ達成しないってのも、変な話だろ。
それこそ、企業連中からすれば、より一層に」
「けどオーズ。
あんたは向こうに家族がいんでしょ?
あたしらだって、向こうに一杯あるってのに…。
目前迄来て、そんな…!!
諦めるの!?」
「そんなつもりはない。
だが、輸送機を買うにもシャトルを使うにも金が必要だ。
じゃあ、その金はどうやったら手に入る?
依頼を受けるしかないんだよ、俺達は。
『まだ』レイヴンなんだ、俺達は!!」
数秒の間、睨み合った二人だが一つ溜息を零したヒュージが止めに入った。
「レイヴンで良いじゃないか。
大体、今動く方が可笑しいよ。
止めたでしょ?」
「…行けるのなら、行った方が良い筈だ。
この先、生きてられるか分からないんだぞ」
「そうだけど、どの道無理でしょ。
お金ないんだもん」
「…」
反論の種を探すオーガ。
そんなオーガを放ってヒュージが尋ねる。
「どーすんの?
このままトラック進ませる?」
「進ませましょう」
今迄無言だったオペレーター――シェイルが力強く言った。
「シェイルが物を強く言うのは――」
珍しい、と言おうとした所で、彼女の言葉にヒュー時の声が遮られる。
「――中華系コロニーと、一部とでも同盟を結べれば、目前の敵勢力の大半は相対的に無視出来る様になる筈です」
「ええ〜、あいつらと手ぇ組むのやだよぉ〜〜…」
「それは、あんまり…でもないか」
中華系民族の話を思い出したオーガが少し笑う。
「だが、『仲間』でなくても『ビジネス仲間』ならマシだろう」
その後に続けたオーガの言葉に、ヒュージは嫌そうな顔を崩さなかった。
「ビジネス…仲間…、ねぇ。
いっかにも連中が好きそうな言葉だ」
「連中――企業か。
そう言えば依頼メールの件だが…。
見るだけ見ておくか?」
「自動で承認信号送られても面倒なだけだろうよ」
一同の考えが又も静まり返る。
「…なあ」
ウェズリーが口を開く。
「企業からじゃなくて、シェイルの言う通り、中華コロニーと接触しねぇか?
オーガは『まだレイヴン』つってたけど、だったら傭兵じぇねぇか。
別に、企業からの依頼だけやる意味もねぇだろ?」
「…そりゃ、如何だろうとは思うけどね。
一応、レイヴンズ・コンコードに縛られた傭兵な訳だし、僕らレイヴンは」
「別にレイヴンズ・
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