ARMORED CORE 〜RAVENS HOPE〜
| 人の手で造られた巨大な円形の穴。 穴から覗く闇は深く、奈落の底へと続く入り口を連想させる。 その穴の淵に、五人の人影と五機のACの姿があった。 「どうする? 決めるのはお前達自身だ」 私は強制しないと付け加え、銀髪の女性は四人の若者を見据える。 その中の一人、翡翠色の髪をした少女が仲間の少年を見た。 それにつられる様に残る二人も少年に視線を向ける。 茶色の髪に漆黒の瞳、十八歳の年齢らしく、大人びた印象の中に幼さが残った顔つきをしている。 少年は羽織ったジャケットのポケットに手を入れると、何かを取り出した。 それは手の平サイズの小さな人形。 布を縫い合わせて作られた少年の姿をした可愛らしいものだ。 取り出された人形を見た少女達は、自分のポケットに手を入れると同じ様に人形を取り出した。 どの人形も持ち主の姿をしている。 「俺達のするべき事は一つだ……」 少年は銀髪の女性、次に仲間達を見回すと、はっきりとした口調で言った。 「この人形を持たせてくれたあの子が、陽の当たる暖かい場所でずっと笑っていられるようにする為に……」 少年は人形を強く握り締めて、力強く言い放った。 「この辛気臭い闇を全て吹き飛ばしてやる!」 その言葉に赤髪の女性が笑う。 「全く、相変わらず熱血君だねぇと言いたい所だけど……」 パシンと拳を手の平に打ち付けて続けた。 「今回はあたしも乗らせてもらうよ」 次に金髪の青年が微笑みながら言った。 「僕も同じく」 最後に翡翠色の髪の少女も頷く。 「私も同じだ」 四人の誰一人、迷いの欠片も無かった。 その様子を見た銀髪の女性が、四人が気づかない程度の笑みを浮かべた。 少年は最後に仲間達の顔を見回し、こう告げた。 「行くぞ。AC小隊『レイヴンズホープ』――」 「これより任務を開始する!」 | ||||||||||||
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