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Gore Woolf show  第4話
深い森林が残るシュバルツバルト保護区。ここはローゼンタールの生産拠点の一つであり、ことその防衛力は堅固であった。
しかし今では工場施設のそこかしこから黒煙が立ち上り、時折爆発を起こしては、施設の破片や、そうでないものも含め吹き飛んでいた。

施設外でいつもの哨戒警備に当たっていたパワードスーツ部隊はなんとか合流し、現状把握に勤めていた。
パワードスーツ部隊の責任者、ザルク・ホットマン中尉は自分のスーツから降りて携帯端末を必死になって操作していた。


「畜生、チキンハンター共め。やたら鼻が利きやがるぜ」


彼の情報端末には施設の被害状況が表示されていた。特に施設の南西が特に被害が酷かった。

「敵はシータ方面からお出ましだ。白雪姫共さっさと行くぞ。カボチャの鎧に魔法の対機甲貫徹砲を忘れるな!」


むさ苦しい男達が身につけるわ最新鋭パワードスーツだ。手に持つ無骨で長大な筒は銃というよりも、砲。森林迷彩をほどこされた鋼鉄の近代騎兵は喧しい駆動音を響かせて行進していく。


「白雪姫共、優しい優しい継母の言伝だ! しっかり見ておけ!」


矢継ぎ早に端末の情報が更新されていく。
原因は最初の一撃目で監視塔を全て潰され、中央管制室からの情報が一切更新されなかったのだが、それが今復旧したのだ。


『CC(センターツー)よりスパルタン、CCよりスパルタン。応答せよ』

「こちらスパルタンリーダー。CC、詳細を」

『事態は深刻だ。敵はBFF機動部隊、敵戦力はノーマル中心に機甲戦力が2個中隊分、歩兵戦力が3個中隊分を確認した』

「最初の一撃で監視塔が全部潰されてるぞ。何故だ!」


CCは一瞬黙るが、すぐさま報告する。


『敵の狙撃部隊だと思われる。詳細は解析中だ。なおすでにシータ方面にはこちらのノーマル部隊が展開している。援護をしてやれ』


了解。と短く応答し、通信を切る。ザルク中尉は大きくため息をつく。しかしすぐに戦士の顔へと戻る。急いで自分のスーツに搭乗し、部下を呼ぶ。


「アーサー、ジャン、これから性悪魔女共をぶっ飛ばしに行くぞ」




南西での戦闘は、一時こそは奇襲を成功させ、狙撃部隊による支援を受けていたBFF側の優勢だったが、戦力を整えた防衛部隊は地の利を活かして反撃を始めた。
施設に配置された砲台から砲撃受けBFF側は部隊を分断せざるおえなくなり、防衛部隊は容易に各個撃破を遂行していく。後方の狙撃部隊はすでに撤退準備すら始めていた。
あと少しすれば装甲騎兵も到着し、いよいよ敵を壊滅に追い込めると、ローゼンタール側の兵士達は意気あがっていた。
しかしその確信もすぐさま潰えた。
高速で迫る機体が、次々とローゼンタールのノーマルを撃ち抜いていく。
踊るように、2機の白と黒の巨人が飛び、月光をバックに照らされる。


「CC! ね、ネクストだ! ネクストを確認した。指示を!」

『こちらCC、スペード1、敵ネクストは1機か』


半ば恐慌状態に陥っていたノーマルドライバーは何とか冷静になろうと努める。


「二機……二機だ、ちくしょう! CC後退でもなんでもいい、指示を!」

『こちらCC、センター3まで後退しつつ足止めしろ。こちらもネクストを要請した』


通信の間も、聞こえてくるのは味方の悲鳴と断末魔。砲声が大地を揺らし、爆散した味方の破片が装甲を叩く。
ノーマルドライバーは味方に対して怒鳴るように命令を下す。


「スペード中隊はセンター3まで後退しろ。スペード4、目くらましを焚け!」


攻撃は休まることなく続いている。ノーマルも歩兵達も後退していくも、ある機体はネクストに追いつかれそのボディに砲弾を撃ち込まれ、歩兵は次々と踏み潰され、緑の森を赤に染めていく。


「ちくしょう、遅かったか。俺たちもセンター3の手前まで移動だ!」


黒き森の中、ホットマン中尉の怒声が響いた。
10/02/26 23:10更新 / 厚着
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まろやか投稿小説 Ver1.50