切欠 OK
地下世界――廃棄都市で爆音とブースト音が轟き、二つの影が疾走する。
「っち!!」
一か月の整備を経て復活したナストロファージがエグの操縦桿捌きによって旋回させられる。
『敵は……目の前!!』
エレンの叫びの瞬間、前方から青い流星を思わせる形状の二脚ACがビルの陰からオーバードブーストで飛び出して来た。
一旦オーバードブーストを停止、メインブースター噴射で慣性に従って向かって左に流れる機体が再点火により一気に接近して来る。
バックブースター全開でマシンガンの弾幕を放つが、上を取られえ光で一瞬敵機が視認し辛くなる。
光の正体はライトだろう。
刹那、右背部に装備されていた装置が起き上がる。
「くっ…!!」
高速後退からオーバードブーストを用いた高速移動へ変更。
放たれたミサイルを地面へ置き去りにして、やっとAC一機が通れる程度の狭いビルの隙間へ飛び込む。
敵ACも臆する事無く、それを追い、ビルの屋上から跳躍、ナストロファージへ右手に持つハイレーザーライフルを乱射しながら、同程度の高さ迄落下。
目測通りの高度になる前にオーバードブーストを点火し、その直後機体が同高度に近い高さになった瞬間、タイムラグの生じたオーバーな推力が放たれ、機体が前へ押し出される。
「おいおい、良く入ってこれるな!!」
そう言いながらエグはオーバードブーストを停止させ、操縦桿を横に動かして後ろ向きへと機体を旋回させた。
直後、バックブースターを点火し、ビルの隙間を一気に降下する。
地表接近の警告と共に、姿勢を戻し、壁を蹴ってビルの隙間から脱出する。
反転しながら着地すると、眩い光が見えた。
右サイドブースターで左へ回避、ブーストダッシュでドーム状の施設の周囲を回り、攻撃を躱す。
サイドブースター点火直後に一発、その後、ドームに二発目のレーザーが直撃した。
「ありゃ何だ!?
何で行き成りフライトナーズなんかに襲われなきゃいけない!!」
『あれはフライトナーズ専用フレーム…所謂ハイエンドノーマルね』
「あれがノーマルなら俺のACは何だってんだ!?」
ナストロファージを路地に突入させ、高速道路の柱の隙間を通過させながらエグが投げやりに叫ぶ。
『あの類は括りこそノーマルだけど、実際は一部の性能に特化した搭乗者ありきの機体なの。
だから、あれに乗っているレイヴン以外は真面な戦闘が期待出来ない筈。
ある意味、鹵獲対策なのかしらね』
「この人だけしか乗らないから、性能をこの人特化にしようって発想か!
普通、ACは皆そうだろう!!」
『ううん、あれは…。
ACなんかと一緒にしちゃ駄目。
性能が違い過ぎる…!!』
「……」
切羽詰まった声音。
「っち、無粋な…」
アラートに合わせて機体を旋回させ、ミサイル3発を確認。
減速して曲がり角を曲がる際、機体を回転させ左腕装備のレーザーブレードを一発目を掻き消す。
(動揺)
僅かなブースト管理の揺れを確認し、残り二発を建物の陰に待機して、やり過ごす。
二発が壁に当たった所で正面に躍り出て、オーバードブーストですれ違い様に一閃する。
当たり際、レーザーが不自然に輝いた。
(ブレード起動を同調させた!?
違う、シールドだが…エネルギーシールドとは性質が違う!!)
同じ工学兵装かと考えるが、実弾に対してなら兎も角レーザー同士は、ぶつかる事が無いと云う性質を持つので違う。
エネルギーシールドの展開理論は正面の対熱エネルギー弾拡散塗装の部分を三次元高速振動させ、第一層で前方角度へエネルギー弾を拡散させ、第二層に埋め込まれたフィンで特殊冷却材を超高速循環させる。
第一層各種に配置された冷却装置が冷却材を冷却対象に押し付け(この原理は流れるプールと同様)熱を奪い、表面を適度に冷やす事で、耐熱性を飛躍的に向上させ、結果的に『殆ど熱エネルギー弾の効果を潰す』と云う形で耐えられる範囲迄熱を下げるのだ。
だが、感が否定する。
刹那の内に思考が終わり、そしてレーザーブレードを振るう。
ACの格闘兵装使用モーションは極めて限定的だが、その分操縦系統が簡素つである。
ヴァアアンッッ!!!
高熱の刃が空気を熱し、膨張させ、冷めた空気と接する事で響く、レーザーブレード特有の爆音。
放ったブレードは、容易くバックブースターの噴射で回避された。
「は、―――」
速過ぎる。
――ヴァアアンッッ!!
言葉を叫ぶ前に、反射的にバックブースターのペダルに足を叩き付けた。
それでも警告音声が流れる。
【コア、残りAP10%】
【左腕部、残りAP40%】
「何気に初被弾なんだぞ!?
高が一撃で――――――――――」
高が一撃で其処迄食らう訳がない。
その言葉を紡ぐ前に衝撃がエグを襲う。
『エグ、今の音は何!?――き、機体ダメージが危険域に!?』
何だ!?
―――そう疑問に思う事さえ、許されなかった。
―――――――――――カァオンッッ!!!
―――――――――――――――無慈悲なレーザーが敵ACを焼き殺す。
【敵AC、機能停止。
ターゲット撃破】
AIが淡々と報告する。
コンパターを操作して、通信回線を開いた。
「私だ」
『仕事は?』
「今終わった。
で――爆発はしなさそうだ」
『彼も運が悪いわね。
まあ関係ないかな…。
例のチームが、そっちに行くわ。
トレーラーを護衛して来るから、彼らと一緒に、そのACを回収して。
後は普段通り、単独行動でフロアトンネルを通って帰還して。
けど、途中でうろついてる企業部隊には絶対見つからない様に』
「了解だ。
無論心得ている。
通信終了、帰還する」
『終了了解』
「っち!!」
一か月の整備を経て復活したナストロファージがエグの操縦桿捌きによって旋回させられる。
『敵は……目の前!!』
エレンの叫びの瞬間、前方から青い流星を思わせる形状の二脚ACがビルの陰からオーバードブーストで飛び出して来た。
一旦オーバードブーストを停止、メインブースター噴射で慣性に従って向かって左に流れる機体が再点火により一気に接近して来る。
バックブースター全開でマシンガンの弾幕を放つが、上を取られえ光で一瞬敵機が視認し辛くなる。
光の正体はライトだろう。
刹那、右背部に装備されていた装置が起き上がる。
「くっ…!!」
高速後退からオーバードブーストを用いた高速移動へ変更。
放たれたミサイルを地面へ置き去りにして、やっとAC一機が通れる程度の狭いビルの隙間へ飛び込む。
敵ACも臆する事無く、それを追い、ビルの屋上から跳躍、ナストロファージへ右手に持つハイレーザーライフルを乱射しながら、同程度の高さ迄落下。
目測通りの高度になる前にオーバードブーストを点火し、その直後機体が同高度に近い高さになった瞬間、タイムラグの生じたオーバーな推力が放たれ、機体が前へ押し出される。
「おいおい、良く入ってこれるな!!」
そう言いながらエグはオーバードブーストを停止させ、操縦桿を横に動かして後ろ向きへと機体を旋回させた。
直後、バックブースターを点火し、ビルの隙間を一気に降下する。
地表接近の警告と共に、姿勢を戻し、壁を蹴ってビルの隙間から脱出する。
反転しながら着地すると、眩い光が見えた。
右サイドブースターで左へ回避、ブーストダッシュでドーム状の施設の周囲を回り、攻撃を躱す。
サイドブースター点火直後に一発、その後、ドームに二発目のレーザーが直撃した。
「ありゃ何だ!?
何で行き成りフライトナーズなんかに襲われなきゃいけない!!」
『あれはフライトナーズ専用フレーム…所謂ハイエンドノーマルね』
「あれがノーマルなら俺のACは何だってんだ!?」
ナストロファージを路地に突入させ、高速道路の柱の隙間を通過させながらエグが投げやりに叫ぶ。
『あの類は括りこそノーマルだけど、実際は一部の性能に特化した搭乗者ありきの機体なの。
だから、あれに乗っているレイヴン以外は真面な戦闘が期待出来ない筈。
ある意味、鹵獲対策なのかしらね』
「この人だけしか乗らないから、性能をこの人特化にしようって発想か!
普通、ACは皆そうだろう!!」
『ううん、あれは…。
ACなんかと一緒にしちゃ駄目。
性能が違い過ぎる…!!』
「……」
切羽詰まった声音。
「っち、無粋な…」
アラートに合わせて機体を旋回させ、ミサイル3発を確認。
減速して曲がり角を曲がる際、機体を回転させ左腕装備のレーザーブレードを一発目を掻き消す。
(動揺)
僅かなブースト管理の揺れを確認し、残り二発を建物の陰に待機して、やり過ごす。
二発が壁に当たった所で正面に躍り出て、オーバードブーストですれ違い様に一閃する。
当たり際、レーザーが不自然に輝いた。
(ブレード起動を同調させた!?
違う、シールドだが…エネルギーシールドとは性質が違う!!)
同じ工学兵装かと考えるが、実弾に対してなら兎も角レーザー同士は、ぶつかる事が無いと云う性質を持つので違う。
エネルギーシールドの展開理論は正面の対熱エネルギー弾拡散塗装の部分を三次元高速振動させ、第一層で前方角度へエネルギー弾を拡散させ、第二層に埋め込まれたフィンで特殊冷却材を超高速循環させる。
第一層各種に配置された冷却装置が冷却材を冷却対象に押し付け(この原理は流れるプールと同様)熱を奪い、表面を適度に冷やす事で、耐熱性を飛躍的に向上させ、結果的に『殆ど熱エネルギー弾の効果を潰す』と云う形で耐えられる範囲迄熱を下げるのだ。
だが、感が否定する。
刹那の内に思考が終わり、そしてレーザーブレードを振るう。
ACの格闘兵装使用モーションは極めて限定的だが、その分操縦系統が簡素つである。
ヴァアアンッッ!!!
高熱の刃が空気を熱し、膨張させ、冷めた空気と接する事で響く、レーザーブレード特有の爆音。
放ったブレードは、容易くバックブースターの噴射で回避された。
「は、―――」
速過ぎる。
――ヴァアアンッッ!!
言葉を叫ぶ前に、反射的にバックブースターのペダルに足を叩き付けた。
それでも警告音声が流れる。
【コア、残りAP10%】
【左腕部、残りAP40%】
「何気に初被弾なんだぞ!?
高が一撃で――――――――――」
高が一撃で其処迄食らう訳がない。
その言葉を紡ぐ前に衝撃がエグを襲う。
『エグ、今の音は何!?――き、機体ダメージが危険域に!?』
何だ!?
―――そう疑問に思う事さえ、許されなかった。
―――――――――――カァオンッッ!!!
―――――――――――――――無慈悲なレーザーが敵ACを焼き殺す。
【敵AC、機能停止。
ターゲット撃破】
AIが淡々と報告する。
コンパターを操作して、通信回線を開いた。
「私だ」
『仕事は?』
「今終わった。
で――爆発はしなさそうだ」
『彼も運が悪いわね。
まあ関係ないかな…。
例のチームが、そっちに行くわ。
トレーラーを護衛して来るから、彼らと一緒に、そのACを回収して。
後は普段通り、単独行動でフロアトンネルを通って帰還して。
けど、途中でうろついてる企業部隊には絶対見つからない様に』
「了解だ。
無論心得ている。
通信終了、帰還する」
『終了了解』
13/03/19 19:16更新 / 天