鹿児島県知覧町は、薩摩半島の南部中央に位置し鹿児島市内から高速を使い車で
1時間ちょっとの場所にある。
町の中に入ると、綺麗に整備された道路の両側には、特攻隊を祀る石灯籠が立ち並び
沖縄戦で散華された、1,036柱の御霊を全国の有志からの浄財でお祀りしている。知覧町
役場にお聞きしたところ、計画の1,036柱の石灯籠は立てられたが、現在も申し込みが有
り石灯籠の数が増えているようである。
道路と歩道の間には、綺麗な小川が有り、澄んだ水が流れている。
小川には、大きな鯉が泳いでいるなんとも言えないのどかな雰囲気が感じられる。
メイン道路から路地へ一歩はいると立派な武家屋敷が立ち並んでいる。


知覧特攻平和会館に、入ると正面にある大きな絵画が展示してある。
六人の天女が、特攻機から散華された英霊を抱きかかえ昇天させる絵であるが、この絵画
には引き込まれる魅力がある。
(館内は撮影禁止のために紹介出来ませんが、詳しくは知覧町のHP特攻平和会館に写
真があります。)


そして、絵画の右側には、古ぼけた一台のグランドピアノが置いてある。
このピアノは「月光の夏」で話題となったグランドピアノである。
佐賀県の鳥栖小学校に、出撃前最後の思い出として目達原基地からピアノを弾きに来た
二人の特攻隊員の物語である。
二人の特攻隊員は最後にベートーベンのピアノソナタ「月光」を奏で出撃した実話である。

平和会館の中に入ると、散華された特攻隊員1,036柱の一人々の写真が展示されている。
また、遺書や数々の写真が多数展示されているが、その中で特に印象的だった写真が知
覧町の子供たちと無邪気に遊ぶ若き特攻隊員達の笑顔と知覧町の人たちの特攻隊員を
もてなす暖かい心である。写真を通して肌で感じることができた。

また、展示品の中で一番心に残ったものは、特攻隊員が出撃する際に身に着けていた
女学生が作ったマスコットである。一針一針に愛情がこもり温かみのある人形である。
このマスコットを見たときに以前読んだ本の次の言葉が脳裏を駆け巡った。
「マスコットを胸に僕は南の空に散ります!」

特攻平和会館へ行く途中に、有名な「富屋食堂」と「富屋旅館」がある。
軍指定の食堂を営んでいた鳥浜トメさんは、特攻隊員から「お母さん」と親しまれ出撃する
特攻隊員の面倒を見ていた。自分の私財を質に入れお金を工面し、特攻隊員におもてな
しをした立派な方である。

最後に、個人的な所感を書かせてもらうが、この手の平和記念館等の建物は、戦争の
被害だけを強調し反日反戦思想を植えつける物が多いが、この平和会館はそのような
面が見受けられなかった。知覧町の方々の暖かい特攻隊員への思いが感じられた。
2時間弱の短い時間のために軽く流す程度でしか見ることが出来なかったが、機会があ
れば今度はゆっくりと見学したい。ついでに、加世田の見学も行いたい。(O)