北限合同歌集第2集『窓』2002.7 掲載作品

  罪深き彷徨の果て

埃舞ふ白き道路を憧れのバスは走りぬ牛をかきわけ

早朝のカルカッタ寒し採餌する烏と牛と子連れの女

吾と君と出会ひ通ひし学舎に今日娘らを伴ひて立つ

嘲笑に耐へて驕れよ愚かなる年老いてなほ裸の王よ

障害者であるが故に誉めらるるそんなレベルのチャリティがあり

ガンガーは不思議な河よ生と死とこの世の業もすべて呑み込み

戦争に行かぬ者らが戦争をしたがりてまた世論盛りあぐ

履歴書に兵役といふ文字があり留学生のごく近き過去

人間に優しい武器は足だけをもぎ取りていく地雷の群よ

テロルには報復といふ名の良識が無辜の民らを殺戮しゆく

消費者金融(サラ金)が祝勝花火を提供す色とりどりの金利の華よ

予想だにせぬ過ちの大きさに靴の底までうろたへてゐる

排ガスの黄金色したやさしさは肺の底まで植民地化して

今は無き三笠の駅の踏切を渡るやうにして国境越ゆる

学会は今日で終はりぬゆつくりと用事なき夜をひとり愉しむ

我が脳の一部が何処か壊れてるそんな気がする部屋の荒みよ