ÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇ
山の端 yamanohana
ÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇÇ sorry Japanese only
更新:2005年4月10日、4/28
愛媛県 国の機関 表計算 農薬防除 気象 ブリーフケース ニューヨークタイムス ビッグローブ goo ヤフー
表題 : 宝くじの神かくし
作者: 地味’s
「じゃ、北海道旅行、行かないわけ?」友達のユズに言った。
私は兵頭利玖。ごくふつうのフリーター。今は家庭
教師のアルバイトをやめて、家でごろごろしている。そんななか、
ユズと北海道へ行こうという計画が、じわりじわりとできていた。
それなのに、ユズは急に北海道に行けなくなった、というのだ。
ユズは社会人で、これまた急に仕事が入ってくることもあるらしい。
それまでは、二ヶ月間休みだったのに・・・・。
そんなわけで私はひとりで北海道へ行くことにした。
北海道は、私の住んでいる三重とちがって、都会? だし、
おいしい食べ物も山ほどある。だから楽しみだ。
四月十七日、ひとり旅行かばんをもち、ぶらりと旅立った。
まず、買い物をたくさん。
ユズやほかの友達のみかんとかにおみやげも買わなくっちゃ。
うー。ユズには何がいいかなぁ。やっぱ、「北海道、行ってきたんだ〜。」
みたいなすぐ分かる北海道みやげがいいなぁ。でも、ちょこっとHokkaidoとか
書いてあるやつもいいなぁ。と迷ったのち、「北海道はでっかいど〜」って
かいてあるTシャツと、ユズの好きなスヌーピーに小さくHokkaido と
かいてあるキーホルダーにした。ほかの友達は”甘いもの大好き”だから、
「白い恋人」を一箱づつあげることにした。
さてこんどは私の番。もう、「いいな」って思ったら、すぐに買っちゃえ。
ついでに、おいしい物もいっぱい食べちゃえ。
そう思っていたら、私の足は自然とテレビとうの前に来ていた。展望台から
札幌を見わたす。
「札幌は都会だとは思っていたけど、山がなかったら東京みたいなんだなぁ。
じゃ、ユズとかが持ってない物もたくさんそろうぞ〜。」
私は小さな声でひそかに言った。
その後、ブランドの服や北海道限定の物をたくさん買った。しかも、新鮮な
「すし」や、とうもろこし、じゃがいも、カニ、ソフトクリームなど、おいしいものを
おなかいっぱい食べた。ぜんぶおいしかった。ここまではよかった。
このとき利玖は初めてさいふの中身をかくにんした。
あふれ出しそうなレシートとはうらはらに、残金は三百十五円しかない。
「どうしよう、どうしよう、これだけのお金じゃ、三重の家に帰れないよお〜。」
利玖は大勢の人がいる大通公園にもかかわらず、大声で泣きさけんだ。
とそのとき、利玖の泣き声が急にとまった。決心したのだ。
「宝くじを買ってみよう。」とね。
利玖は走った。そして・・・・・・。「宝くじ一枚下さい。」三百円を出して言った。
その日からは、前に買っていた、「ごはん(おかず)になりそおうなおみやげ」を
少しずつ、少しずつ食べた。
まちにまった、宝くじの抽選日がやってきた。何げなく町の電光けい示板を
見あげていた。すると三万円が当たっている。よろこんでとびはねていると、店の
かんばんに頭が当たった。「いてててて」利玖は、たんこぶができた頭をさすりながら
起き上がった。「いったぁ。何このかんばん。ムカツってちょっとまてよ。私、二回
当たったとねぇ。二度あることは三度あるっていうから、次もたからくじ当たるかもっ
五日後に支払ってくれるんなら、五日後の朝、ひきかえに行こう。そして、もう一枚だけ
ちがう宝くじを買おう。」利玖はそう言った。その日からも、公園のベンチで「ねぶくろ」に
もぐりこんでねむり、例の「ごはんになりそうなおみやげ」をちょみちょみ食べるという
生活が五日続いた。
その日の朝、三万円と交かんし、これまたちがう宝くじを一枚だけ買った。とりあえず、
残りの二万九千七百円で、千七百円分だけ食料を買いたした。これまでの食料とあわせれば、
二ヶ月は生きのびることができるだろう。
また宝くじの抽選日がやってきた。前と同じ場所の電光けい示板を見ると、これまた
三十万円も当たっている。利玖はほっぺたをつねってみた。「痛い。」やはり本当らしい。
今回の宝くじの支払期間は二日後からだから、そう長くない。そして前と同じように公園で
ねとまりしたりしてすごした。でも、くらしているうちに、荷物がじゃまになってきたので、
家におみやげなどを送った。
二日後の朝が来た。昨日荷物を送ったせいか、すっきりしている。
「さあ、宝くじのけんと三十万円を、交かんしに行こう。」と利玖は言ってから、さいふの中の
宝くじをさがした。
「あれ、ない!もしかしてねぶくろの中かな?んーない。カバンの中は?ない!ということは、
なくなっちゃたのぉ〜〜!!!」
しかし、利玖の宝くじは、二時間さがしても三時間さがしてもない。利玖は、残念ながら
あきらめて、歩き、電車にのり、また歩き・・・・・・・・。やっと三重のわが家へ帰った。
「あーつかれた。あっ荷物とどいてるっ見てみよっ。
え゛っ。なんでここに宝くじのけんが・・・・・・」
利玖は、多くなりすぎたレシートを、おみやげといっしょに送っていた。そのとき利玖は
ねぼけていて、うっかり宝くじも送っていたのだった。残念。
あーあ。なんでいっしょに送ってたんだろう。北海道であったらよかったのに。
でも、ねぶくろでねたり、のりついだりして帰ったのもおもしろかったなあ。
って何言ってんだ私。
こんどの北海道はユズといっしょに行こう〜っと。