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  山の端   yamanohana 

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                         更新:2004年9月5日

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   表題 : 蝉の合唱

         この頃は、あわただしくツクツクボウシが鳴き続けている

         これを聞くと、一瞬のうちに幼年時代のS村に心は飛ぶ。

         杉木立の中で、小さな鎌で草を刈り続けている自分。

         知らぬ間に見えなくなる家族。焦りと不安。白く汁の出るタケニグサ。

         ホウセンカのまだ青い実をつぶして種を無理矢理飛ばそうとしたのはいつの日か。

         いつまで経っても、終わらない草との戦い。

         今度刈るときは、少しは片づいているのだろうか。

         草刈りなんて、無限に繰り返されるべき、退屈な仕事。

         刈り飛ばした草の汁がズボンや服の袖についてのかない。

         やたらととげのある草。そのくせ大きくて厄介者。

         手拭いを刈って露出した平べったい石の上に置く。

         飲み物も当然そこにあるべき。今ならペットボトルのお茶か。

         昔、と言っても40年前は、すっかり黒くなったやかん、土瓶と言っていたが

         土瓶にお茶を沸かして、流水で少しぬるくなったのを運ぶ。

         蓋に移して飲んだ。小さな穴を指で塞がなくてはこぼれてしまう。

         口飲みといって、注ぎ口から直接お茶を飲んだこともあったっけ。

         もちろん、あとで叱られること請け合いなのだが。

         それから、山にはいっぱい木があって、弁当に使う箸なんかは

         小枝を適当に折ってきて、二本の長さをちょうど良い長さに揃えたらできあがり。

         ミンミンゼミからツクツクボウシに移り変わり始める頃には

         そろそろ僕の草刈り作戦も今年はおしまいが近いな、と思っていた。

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