更新:2010年8月21日
石鹸箱
石鹸は小さい頃から身の回りにある
幼い頃はタイル貼りの風呂だった
そこにあったのは今と変わらない石鹸箱
デザインは忘れてしまったが
機能は全く同じ
箱の底には水抜きの穴やスリットがあった
工都に引っ越してから
しばらくは銭湯通い
小学生の時など
17時過ぎからのんびり湯につかっていたのだ
運動もせず
タイルで描かれた富士山を見ていたものだった
銭湯に行くには
たらいに石鹸箱とタオルと着替えを入れて
15円か17円か忘れてしまったが風呂代を持ち
5分も歩けば大衆浴場に着く
二軒あったが
一軒は同級生の家だったこともあり
もう一方の風呂屋に通うようになったのは何故だろう
温泉と名が付いていたから期待したのかも知れない
それと
風呂ぐらい学校生活(小学校生活?)から解放されたいとの気持が勝っていた
時々入れ墨の人が入って来て
そっと湯船の中に入ったり
湯船から出たりして離れようとしていた
湯上がりにはわずかな小遣いをはたいて
コーヒー牛乳やリンゴのジュースを飲んでいた
更衣室には大きな鏡があって
更衣室の壁全体に入浴客の姿が映っていた
鏡越しに視線を感じる時は非常に緊張感が走った
視線から逃げ出すには番台のおばさんにお金を払って
飲み物を取るのがうってつけ
椅子型マッサージ機に座ることもなく
中央に置かれた普通の椅子に恐る恐る座って飲んだものだった
そのうちシャンプーなるものも他の人が使っているのを見ながら
ふうん ああやるんだ
と テレビコマーシャルと比べながら
自分も使ってみたものだった
話を石鹸箱に戻そう
石鹸箱はたらいの中であちこち動き回る
衣服に石鹸が付着しないよう 濡れないよう
ふたが付けられており当然ふたは閉めていた
しかし
自分の家の風呂に入るなら
ふたはなくても良いのでは
運が悪いと
底にはめられて
排水できなくなってしまっている
どうなるかというと
石鹸箱が排水できなくなり
石鹸がトロトロになってしまう
つまり石鹸が長持ちせずに
本来の機能を果たさないまま
流れていって仕舞うのだ
いつまでこんな無駄なことをしているのだろうか
石鹸箱業界はふたの廃止運動を考えていないのだろうか