活動目標

  仏教と「人間中心のアプローチ(カール・ロジャーズ)」から生まれてくる新しいアプローチ、つまり「D-pca」から生み出される「育ち合う人間関係」に満たされた場を提供することにあります。 同時にそれらのあり方を研究する場でもあります。D-pcaとは"Dharma-based person-centered approach"の略で、「仏法を基盤とした人間中心のアプローチ」のことです。 ここでは、仏法はお念仏が基盤となります。私たち凡夫に開かれた道だからです。

 ここで、「育つ」ということについてです。仏教、パーソンセンタード・アプローチ双方の共通点は、自己探求にあると思います。これを「育つ」という言葉で表しています。さて、その「育ち」ですが二重の意味があります。ここが、双方の違いでもあります。1つは、「一致」、「自己指示的態度の拡大」です。もう1つは、真宗で呼び習わされてきた「お育て」です。

 まず、第1の「一致」、「自己指示的態度の拡大」ですが、これは、自己の中に流れている感情、これは刻一刻変化していますが、その流れを否定せずに気づき、それに沿っていくことです。それによって外から動かされていた自分に気づき、自分本来の中から生まれてくる流れに沿って動いていく態度が拡大していきます。 自由な心境です。これは健康な心の状態と大きく関係しています。 人にはそれぞれ人生の困難を工夫して乗り越えていく力があります。それぞれのやり方で自ら工夫して人生を歩んでいるものです。大事なことはそういう自分に気づいていくことです。そのことによってさらに自分自身の人生の道筋を見いだしていく力が「育って」いくことになるのだと思います。

 さらに第2の「お育て」です。真宗で昔から言われてきた言葉です。味わい深い言葉です。これは仏法(特に弥陀の誓願)の働きにふれてこちらの本当のありように気づかされ、 その本願力に出遇う身にさせていただくということです。仏陀の世界と衆生の世界あまりにも違うために仏陀のイメージが届かない。それをあらゆる手段を講じて衆生に働きかけてそれを受け取れるような力量に育て上げていく力が仏法にはあり、さらに窮極のめざめ(廻心)に至らしめる大きな働きがあります。

 この場にはこれらの「育つ」が二重に存在しています。これによって従来のカウンセリング・グループだけでは得られない根底の自分自身に気づかされますし、さらにこれまた従来の聴聞法座だけでは得られない具体的な聴聞をすることが出来ることでしょう。深い意味での「育ち合う場」です。 これは釈尊の最後の説法、「自燈明、法燈明」につながることです。

 さて、ここでおもしろいことがあるのですが、これは、どうにもならないものではなく、ある一定の人間関係が続くことによって促進することが出来るということがわかってきています。また、それを提供する人も相互作用として育たされていきます。これを「育ち合う人間関係」と呼んでいます。「仏法を基底にした人間中心のアプローチ:D-pca」ということになります。

 このような「育ち合う人間関係」が満たされる場を提供することに私達の目標があります。
 

 


 

「育ち合う人間関係」

 「育ち合う人間関係」。これは西光義敞先生の言葉です。一つは「人間中心のアプローチ(PCA)」との交流から生まれてきたものです。その場に、「純粋性(ありのまま)」、「無条件の肯定的配慮(受容)」、「共感的理解」という言葉であらわされる心理的風土が醸し出されているときそこが育ち合う場になっていきます。その「育ち」は「援助者」−「被援助者」というように一方的に固定されるものではなく、お互いの中に起きていきます。とはいえ、当面は「世話人」と呼ばれる人からこれは提供される必要はあります。

 さらに、これはPCAとの交流からのみ生まれてきたものでもなく、仏教(仏法)との交流の中から深く醸し出されてきているものでもあります。仏教(仏法)は、深い人間理解の智慧を持っています。その深い智慧を尋ね合って行くところからも育ち合う人間関係は生まれてきます。皆が等しく仏から願われている存在なのですから。

 現在、次のような言葉で表しています。D-pca援助者の目標です。次のようにあることを目標にします。ただし、これらすべては私のあり方にとって重要であって、参加された方にそれを要求したり、助言したりするものでもありません。

 1. 私(援助者)自身が自身の刻々と変化する気持ちに流れに開かれていることです。「一致」と呼んでいます。私自身がありのままであり、来談された方からは援助者が透明に感じられるということです。
 2. 私(援助者)は来談された方に目を向けます。来られた方のあらゆる気持ちをそのまま大事にしようとします。「無条件の肯定的配慮」と呼んでいます。
 3.「共感的理解」です。私(援助者)は来談された方の内的世界、感覚、気持ち、考えを大事にし、それを内面から理解しようとし、その理解を伝え、確かめるようにします。「あなたを理解しようとする私がいるということを伝えていくことになります。

さらに、
 4. 私はD-pca援助者ですから、その根底に仏法があります。中でも特に阿弥陀仏の誓願が、今まさに私の中に生きていると信知・感得することです。煩悩具足ですから人生の中で戸惑うことは多々あります。しんどいときもありますが、その中で、どこか基盤を持っている。いつもそこに立ち戻らせていただく底がある。このように表現されるかなと思います。同時に 来談された方も等しく弥陀仏の願いの中にあるとも感得します。 私(D-pca援助者)の「一致」の原点はここにあります。これらの態度を「法・自己一致」、「法・無条件の肯定的配慮」と呼ぶことにしています。

 どこか真摯で、どこか暖かい、安心してくつろげる。そのような雰囲気なのではないかと思います。

<参考図書>
西光義敞『暮らしの中のカウンセリング−育ち合う人間関係』 有斐閣選書
西光義敞『育ち合う人間関係−真宗とカウンセリングの出会いと交流』 本願寺出版社

 

 


 
活動の三本柱

我々の活動は、大きく3つの柱から成り立っています。

1. 育ち合う場の提供
 個人、家族、小グループを対象にした「育ち合う場」の提供、場作りの為に必要な心理的風土を学習する場の提供をします。 これは、宗教、思想、信条の相違を問わず、関心のある方ならどなたでもご利用できます。仏教を知らせるために行う場でもありません。 なお、ここでいう「育ち合う場」は、カウンセリングやエンカウンターグループに近いものですがそれらとはまた一味違ったものをめざしています。いずれも体験的な学びや交流の場です。 また、当センター独自の使命として仏法を鏡として究極の自己を知る体験的な場の提供 があります。関心がある方、出てこられた方はどうぞご利用下さい。

2.研究活動
 D-pcaについて探求を行っていきます。仏教そのものの探求、パーソンセンタード・アプローチの探求、そして、それらの交流から生まれる新しいアプローチのあり方について実践を通した研究を行っていきます。

3.国際交流
 交通手段の発達はもとより情報技術の発達により地球が村のようになっていく時代です。 仏教も世界的な広がりを見せています。D-pcaセンターにはパーソンセンタード ・アプローチと仏教を共通項とした国際的な人のつながりがあります。

 

育ち合う場の提供

・個人・.家族、小グループの育ち合いの場

 *カウンセリング
 *共談援助

・D-pcaの集い

・研修活動

 *「育ち合う人間関係」を学ぶ集 い
 *スーパービジョン
研究活動

・D-pca研究会
・輪読会



 


国際交流

海外のPCA との交流
   CSP: Center for Studies of the Person (La Jolla, California)
  ADPCA: The Association for the Development of the Person Centered Approach
  PMP: Play Mountain Place ( Los Angeles にあるHumanistic Alternative School)

国際的なコミュニティを作りたいと思っています。


 

基本アプローチ

 様々なアプローチにオープンでありたいと思っていますが、ここでは「人間中心のアプローチ(パーソン・センタード・アプローチ)」、「心理社会療法」、そして 「仏教(特にお念仏)」との交流から生まれるつつある「仏法を基底にした人間中心のアプローチ(D-pca)」を基本アプローチとしています。 英語名は、"Dharma-based person-centered approach (D-pca)" です。

 「心とからだ」、「人と環境(社会関係)とその相互作用」、「自由」というような言葉で表される「人間の全体性」に焦点を当て、さらに、「転迷開悟」、「抜苦与楽」という根源的な自分自身への目ざめをも扱える広く深いアプローチであります。