・・・お知らせです・・・    
最近の裁判での成果  
  住友電工男女賃金差別裁判判決について裁判長に抗議文を提出    
    塩野義製薬賃金差別裁判 勝訴!
    女性差別と認定、 中 寿美さんの長年の思い実る
 
  ご支援、ありがとうございました> 中 寿美
中さんの裁判を勝訴判決に導いたものは!> 弁護士 斎藤ともよ
たたかう女性に大きな朗報
判決で認められたこと
   
       
会社との交渉、そして雇用均等室の活用  
  おかしい?!」と声をあげて得た格付け  成功のポイントをお教えしますNEW
大手製薬会社:雇用均等室を活用しました
外資系製薬会社:配置是正について雇用均等室に申し立てています
 
  雇用均等室とは・・・労働省の地方機関である労働局の一部門で、以前は婦人少年室、女性少年室という名称したが、2000年4月から労働局雇用均等室に組織変更されました。  
       
「きいてきいて」コーナー  
  薬業で働いておられる女性の皆さん、あなたの思いをネットに載せて
みませんか。
みんなに聞いてほしいことを
このメールアドレス<equity@f6.dion.ne.jp>
お送りください。
   
       

最近の裁判での成果  
  住友電工男女賃金差別裁判判決について裁判長に抗議文を提出

裁判長 松本哲泓 殿

住友電工男女賃金差別裁判の不当判決に抗議します

私たちは、製薬会社で働く女性の男女賃金差別をなくそうと1984年から活動を始め、塩野義製薬の元課長 中寿美さんの賃金差別裁判において、中さんを支援してきたグループです。

 本年7月31日の住友電工男女賃金差別裁判の判決は、憲法ならびに女性差別撤廃条約を無視し、企業の男女賃金差別を追認したものに他ならないとして抗議いたします。

今回の判決は「男女別採用が憲法14条の趣旨に反する」と認めました。しかし、女性労働者に定型的補助的な単純労働を続けさせ、低賃金で雇用してきた企業を「公序良俗違反でない」とするのはなぜでしょうか。市民感覚では、辞めないで働き続けている女性に対し、採用時から予定されていたとして一般職という処遇で低賃金のまま放置してきたことが「公序良俗違反」であると考えます。
 また、男女雇用機会均等法施行後も、配置・昇進及び教育訓練の機会も与えられず、それでも低い処遇・安い賃金で努力し続ける全女性労働者にとってあまりにも理不尽な判決です。

「男女雇用機会均等法」は1985年に日本が批准した「女性差別撤廃条約」に基づき国内法を整備するために1986年に施行されました。当時、私たちは「配置・昇進の均等な取扱い」が事業主の努力義務とはいえこの法律に期待を持ちました。しかし、男女雇用機会均等法施行以後も、住友電工は義務を果たしませんでした。原告らを一般職に止めたまま専門職への転換の機会を与えなかったこと、また仕事の価値を評価しなかったことに対し、裁判所は「社会意識の存在に配慮」することなく、男女雇用機会均等法の趣旨に照らして、司法の立場から是正義務を認めるべきではなかったでしょうか。
 この度の判決は均等法の立法的意義を考慮したうえでのものとは信じられません。

国際的な条約であり、日本も何の留保もなく批准した「女性差別撤廃条約」は女性差別を「性に基づく区別、排除または制限」と定義しています。
 そして、採用区分の男女別振り分けはまさにこの定義に当てはまる女性差別で是正すべきものであり、また、現在ある差別が過去に原因があるからと、是正することが「法的安定をみだす」と認めないのはこの条約に真っ向から違反するものです。
 今回の判決は本条約の完全な実施を妨げるものであると私たちは考えます。

松本裁判長は、塩野義製薬の中さんの賃金差別裁判で、賃金格差は採用時における男女の区分に起因するが、「同じ職種を同じ量および質で担当させれば同等の賃金を支払うべきである。」として格差の是正義務を認めました。
 そこで、私たちは今回の判決においても、コース別管理が明らかに男女差別であるとして、被告会社に対して是正義務を課していただけるものと期待しておりました。
 今後も、私たちは男女差別をなくすため、国民に認められた「裁判」という手段をとりますが、松本裁判長には、私たちの訴え・抗議を真摯に受け止められ、女性の人権を守るような公正な判断を切に求めます。

  平成12年10月3日
                    大阪市中央区北浜3丁目1−
12 萬成ビル4階
                    淀屋橋総合法律事務所内
                         差別賃金をなくす薬業の会

   
    塩野義製薬賃金差別裁判 勝訴!
    女性差別と認定、 中 寿美さんの長年の思い実る

1999年7月28日、大阪地裁において、塩野義製薬元課長、中 寿美さんに勝訴の判決が下されました。


   
  ご支援、ありがとうございました> 中 寿美

 私の裁判の結果は、昨年7月28〜29日、新聞、テレビで報道されたとおり勝訴でした。塩野義製薬は控訴をしませんでしたので、この判決は確定しました。
 これまでのご支援を心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

 判決は「男性と同じ技術職の仕事をするようになった1979年以降、会社側には労働基準法の同一労働同一賃金の原則に反する不法行為が成立する。」とし、原告側の主張をほぼ全面的に認めています。賠償額が請求額より低くなったのは、同一労働同一賃金に1割程度の巾を許容したのではないかと考えています。

 この判決が予想以上に大きくマスコミで取り上げられ、塩野義製薬だけでなく、広く社会に影響を与え得たことが、気恥ずかしかったけれど、何より嬉しく、大満足です。皆様のご支援を厚くあつくお礼申し上げます。ほんとうにありがとうございました。

 これからは、薬局薬剤師として、介護支援専門員として、地域のお年寄りのために働きたいと願っています。引き続きご支援をよろしくお願いします。


<中さんの裁判を勝訴判決に導いたものは!> 弁護士 斎藤ともよ

1、1995年4月、薬業の月例会に初めて中さんが参加し、「私は会社でできる努力はし尽くしたので、少し定年退職には早いが、会社という組織を離れ、薬剤師の資格を生かして会社の外で新しい人生を切り開きたい。しかし、塩野義で、能力のある女性が、男性の補助者として差別されているのを黙っているわけにはいかない。私は良い上司に恵まれ、やりがいのあるポストを与えられたが、給料の面では、ずっと差別されてきた。会社に男女差別を是正させ、私が差別されてきた賃金の回復も求めたい。」と訴えられました。

2、それが、84年に作られた薬業の会が、中さんとともに初めて本格的な民事訴訟に関与することになったきっかけでした。この種の労働裁判としては4年というのは、決して長い期間ではありませんし、女性差別訴訟に経験知識の豊富な宮地弁護士やアメリカの裁判の現状や新しい理論を学んできたばかりの池田弁護士、そして後半から参加したフレッシュな小川和恵弁護士の4人で、今までの男女差別裁判について勉強し、討論を重ねた4年間は有意義な時間でした。

3、また、薬業の会は、当初から最後まで自らの問題としてバックアップし、訴訟進行につれ、支援の輪は薬業関係の人々だけでなく、ワーキング・ウィメンズ・ネットワーク(WWN)等の団体にまで広がったことが、早期に大きな成果を勝ち取ることにつながったのは間違いありません。

4、そして、何よりも、中さんが30年間、終始一貫して企業の中で男性に伍して仕事をやり遂げてきた実績と誇りを法廷でも遺憾なく発揮し、毅然として一人で裁判をやりきる姿勢を最後まで崩さなかったことが、間違いなく大きな勝因です。

5、今回の裁判中に、塩野義製薬は社内で女性従業員を昇進昇格させざるを得なくなり、少しでも会社に男女差別を是正させたいという中さんの思いも達成されました。また、裁判を起こすことが単に裁判所の中だけのことではなく、職場にも影響を及ぼせることも示しました。そして、裁判開始直後から和解をほのめかし、裁判所に和解期日(和解を話し合う日)を設定させながら、具体的な提案をせず、和解の話を立ち消えにさせた被告の塩野義製薬株式会社も、判決後には、多くの女性や世論に押されて控訴をあきらめ、裁判所の決めた損害賠償金を支払いました。

6、「会社には同じ職種を同じ量及び質で担当させた以上は、原則としてその時点から、同等の賃金を支払うべきであり、格差を是正する義務が生じる」というこの判決の趣旨は、女性が働くあらゆる職場において守られるべき最低の基準となるでしょう。
 その後も、中さんの裁判を通じて、強まった薬業の会はじめ支援のネットワークとともに、この判決の趣旨を日常的に守らせ、さらに、拡大していく試みが続いています。



たたかう女性に大きな朗報

 この判決は、「あとにつづく裁判への力強い励まし」(WWN世話人・正路さん)、「一連の男女差別賃金訴訟のトップをきって勝訴」(商工中金から男女差別をなくす会・さっちゃんニュース)と多くの人々から注目され、歓迎されています。実際に、「人事部との交渉にこの事例を挙げて、能力が活かせる部署への異動を勝ちとった」、「人事に適正部署への異動を前向きに検討する約束を取り付けた」等の報告もあります。また、新人事制度(成果主義賃金)が導入されている武田薬品では、同じ級にランクされている男性との格差の是正を会社に要求していくために、中さんの事例の活用が話し合われています。



判決で認められたこと

1. 大学新卒採用の入社時の採用区分の振り分けについては、男性は全員を基幹職とし、女性についてはほとんどを補助職として採用したことは、「男女をもって区別したといわなければならない」(が、この「区別をもって、不合理な男女差別とまでは認定することができない」)。

2. 中さんが製品担当(製担)に職種変更になった時点で、「基幹職を担当していた同期男性5名の能力給の平均との格差が少なくなかった」。

3. この格差は、採用時の「職務担当における男女の区別に起因するものである。」

4. 塩野義製薬は、中さんが製担となった時点で、「同じ職種を同じ量及び質で担当させる以上は、原則として同等の賃金を支払うべきであり」、2項の「格差を是正する義務が生じた」。

5. 塩野義製薬が「その義務を果たさないことによって温存され、また新たに生じた格差は不合理な格差というべきである」。

6. 仮に「不合理が生じる期間が数年であったとしても、その是正義務を免れるわけではない」のであって、本件では当初の数年を除いても10年近く是正義務を怠った。

7. 塩野義製薬が是正義務を怠ったことは、労基法4条に違反し、少なくとも過失による不法行為が成立する。中さんに対し損害を賠償すべき責任がある。その額は「男性との能力給格差の9割に相当する額」と認める。

   
   
会社との交渉、そして雇用均等室の活用  
  「おかしい?!」と声をあげて得た格付け
   成功のポイントをお教えします
NEW

【中途採用による不利益】
 1984年新入社員としてS製薬株式会社に入社し5年間在籍した後、あからさまな男女差別を目の当たりにして、当時、女性でもその能力が充分に活かせると言われていた外資系L社に転職しました。L社においては、中途採用時の待遇の設定が、前社の低賃金を引き摺っていたため、平均以下の給与・格付でのスタートでした。その後、採用時の格差が是正されるに至らず、仕切りなおすべく、1997年O製薬株式会社に再度転職致しました。
 O製薬株式会社では、「入社時の待遇は、同年齢の平均に設定。男女格差もなし。」という説明を受け、当初は気づかずに3年間が過ぎましたが、現状では、遥かに年下の社員の多くが、役職に就いていることに気づきました。
 そこで、直属の上司達に問い合わせるも、「特に格差はない」、または「格差はあり是正しようとしたが、力が及ばなかった」などの情けない回答しか得られませんでした。

【苦節17年を経てついに立ち上がりました!】
 この17年間、いくら能率的に仕事をこなしてもそれだけでは決して評価されることのない、また、男性であれば無条件に認められる会社という組織に、常に疑問を持ち続けながらも、立ち上がる術が分からず、「そんな不条理は、社会が認めても私は認めない」という精神力だけで、ただひたすら自分自身を支えてきました。(そして、未だ多くの女性が、こうした厳しい環境に居ることでしょう・・・)。
 2001年ようやく、「万一退職するにしても一度闘ってからにしよう」と覚悟し、人事部に同年齢の平均給与・格付の情報開示を求め、疑問点を追求した結果、会社は「私が不利益を蒙っていること」を認め、格付のみですが是正がなされました。

【成功のポイント】
 今回の交渉が成功したポイントは、@昇格・給与制度の明確な把握・分析(会社は、不都合なことを敢えて不明瞭にしたり、評価者が難解な制度を理解していないことも多い)、A自分の位置付の明確な把握、B上司・社内の支援者との良好な関係、C外圧(労働局、弁護士)、D疑問点の文書による追求(相手に言い逃れさせないため)などがあると考えられます。
 また、数ヶ月間にわたる交渉は、精神的に厳しい戦いでもありましたが、これまで常に疑問に思ってきた「会社」の表と裏が勉強でき、苦しかった分だけ、新たな実力がついたと思います。また、会社により、その交渉の仕方は異なると思いますが、薬業の会には百戦錬磨の先輩が沢山いらっしゃいますので、一度、ご参加されては如何でしょうか。何かのヒントが得られるかもしれません。 (ペンネーム:ジャンヌダル子)


大手製薬会社の女性:雇用均等室を活用しました

 私は、F薬品に勤務して26年になります。私の出身校の2年、3年後輩の男性は、5年以上前に、経営職(課長職)に昇格しているにもかかわらず、私はいまだに平のままです。

 均等法が施行された時には、すこしは改善されることを期待して様子をながめていましたが、若い特定の女性に対してはある程度改善されたものの、その以外の大勢の女性たちや、それ以前につけられた格差に対しては、なんの改善も、是正努力もなされずに、現在に至っております。

 大半の女性は、そのような状態に不満を持っているにもかかわらず、組合も差別の存在を認めない態度をとっているため、何を言ってもどうにもならないと諦めているようです。しかし、諦めてしまっては「女性差別は存在しないのだ」という会社の言い分を認めているのと同じことになってしまいます。裁判所ですら女性差別の存在を認めている時代です。どうか気弱にならず会社と対等に話し合ってみてください。雇用均等室に申し立てをすれば、調停の話し合いの場が設定されます。そこでだめなら裁判という手段もあります。

 私も雇用均等室(当時は女性少年室)の仲介で数度の話し合いを持った結果、ごくわずかですが、変化がありました。一人ではどうにもならないと思っていることでも、公的な機関が介在すると、会社は対応せざるを得なくなります。もちろん、現在も全然満足できるような状態ではありませんので、これからも雇用均等室を介しての話し合いは必要であると考えています。時間と体力は必要となります。しかし、不満をかかえたままの会社生活を続けるよりは、ずっと前向きで心が明るくなりました。皆さんも一度話私たちの様子を見にきてみませんか?私達と一緒に方策を考えて、実行してみませんか?きっとなにかのヒントを得られると思います。


外資系製薬会社:配置是正について雇用均等室に申し立てています

私は大阪大学大学院で医学博士号を取得し、国内外の研究機関で研究を行った後、ドイツ系製薬会社である日本シエーリング(株)に入社しました。入社後17年目になりますが、この間に4年半にもわたって図書業務に従事しました。この時は均等法に従って大阪婦人少年室(現、雇用均等室)に申し立てを行い、室長にたいそうご尽力いただき、その結果、学術業務に配転になりました。

 ところが一昨年(1998年)、今度は管理部門に異動になってしまいました。これでは医博としての能力を生かせないので、昨年、人事部長や所属部門長と交渉を行いましたが、配置是正には至りませんでした。そこで再び大阪女性少年室(当時)に申し立て、半年経ちますが、未だ是正には至っていません。

 私は「製薬会社なら医博の資格が生かされる業務が多くあり、自分の能力が充分に発揮できる。また外資系なら男女差別はないだろう」と考え、この会社を選びました。また、入社後は第
種放射線取扱主任者、甲種危険物取扱主任者、第1種情報処理技術者などの資格を取得し、また、国内外の学会に出席するなど、能力の向上に努めてきました。しかし、昇進はおろか配置さえもいまだに能力を生かせる状態ではなく、男性医博に比べますと、配置・昇進とも格差は開いていくばかりです。

 私のケースも、多くの働く女性の昇進・昇格・賃金差別も、根っこは同じだと思います。おかしいのではないかという、自分の思いを声に出していきましょう。弁護士や経験を積んだ先輩たちは、あなたが道を切り開けるよう、ささえてくれます。