番号制度の利用事務を規定した番号利用法別表第一の具体的な事務内容(一部を除く)を規定する省令案のパブリックコメント募集が、2014年8月1日から始まっています。意見・情報受付締切日は8月14日(木曜日)です。
2013年8月終わりの自治体向け説明会では、2013年11月にパブリックコメント募集を行い、2013年内には省令を公布する予定だと説明していました。その後、2014年2月5日の都道府県主管課長説明会では、3月中にはパブリックコメント募集を開始すると説明していました。
それが今になってやっと別表第一について開始です。情報連携事務を規定する別表第二については、まだ始まっていません。事務の大部分にかかわる自治体では、準備の遅れに悲鳴があがっています。
東京の特別区長会は、2014年2月18日に「社会保障・税番号制度の円滑な導入のための緊急要望」を国に提出し、「制度の詳細が未定であるため、システム改修の仕様確定や経費算定が遅滞しており、調達方針の決定が困難な状況である。」と指摘していましたが、7月22日の来年度予算に関する国への要望でも、番号制度について新たに一項目を設けて、同様の要望を行っています。
パブリックコメントの受付期間は、原則として30日以上設けなければなりませんが、再び14日に短縮されました。
理由書では「関係者の準備のためには、マイナンバー法別表や本命令の内容を受けた事務要領等についても、本命令の制定後、早急に整備する必要があり、早期に本命令を公布する必要があります」と述べていますが、白々しい言い訳のように聞こえます。
番号制度のパブリックコメントの受付期間は、政令案のときも14日間に短縮されました。このときも同様の理由を述べていましたが、政令案の内容は以前お知らせしたように、番号の利用を治安管理や警察に認めるもので、反対が広がらないように受付期間を短縮したのではないかと疑いたくなります。
急遽、反対意見の提出を呼びかけた結果、短期間にもかかわらず意見全体の三分の一を占める120件くらいの反対意見がありました(政令案に対する意見募集結果参照)。他方、番号を推進する側からも、問題を指摘したかったのにもう期限が終わっている、という批判がされたほどでした。
今回は別表第一に列挙された事務を多少詳しく述べた内容で、すでに法律が成立しているので、意見を述べる余地はあまりないかもしれません。
しかし、利用事務のなかには、例えば精神保健福祉法による措置入院(省令案第14条)や、法改定で強化された生活保護法の調査への利用(省令案第15条)などがあります。もちろん身体・知的障がい者へのサービス提供や入所処置、母子世帯への手当支給などの事務も含まれています。
利用事務について意見を述べることのできる機会は限られています。パブリックコメントを通じて、このような事務に利用されることについて当事者の方から問題指摘がされれば、今後の反対運動の内容を豊かにすることにもつながるのではないでしょうか。