毎週火曜日発行
>>過去のマルタケ

 自宅の浴室のシャワーが回るので困っていた。この家を建てて以来だから、30年以上前からの事である。

 シャワーヘッドを、壁のホルダーに挿し込んで固定しようとしても、ホースの反力で回ってしまうのである。そのため、シャワーの水が自分の体に当たらず、ずれた方向に飛んでしまう。そのずれ角度は、日によって差があり、実用上問題が無い程度の事が多かったが、時にはとても不快に感じる事もあった。特に寒い時期は、ホースの柔軟性が下がるので、反発が大きかった。

 それを改善するために、シャワーヘッドに輪ゴムを巻いたり、またホルダーにビニールテープを張ったりして、摩擦でしっかり固定するように試みた。しかしこれらの方法も、スマートな解決策とはならなかった。ホテルの浴室のシャワーなどで、ヘッドとホルダーのかみ合わせ部分が多角形になっていて、好みの角度で固定されるようになっている物を見たことがある。なぜ我が家のシャワーはそのような配慮がされていないのか。設計をした人を恨んだりしたものであった。

 それが、つい最近になって、解決を見た。シャワーヘッドとホースの接続部において、ヘッドが自在に回る事に気が付いたのである。変な話だと思われるだろう。何故30年以上も、その事に気が付かなかったのかと。

 気が付かなかった理由はこうである(と推察する)。水栓をひねってシャワーに水を通すと、水圧によって接続部が回らなくなるのである。シャワーが勝手な方向に向いてしまうトラブルは、シャワーを使う時、すなわち通水している状態で発生していた。そのような状態では、ヘッドが回らず、ホースに固定されていると思い込んでいたのである。

 通水を止めれば回転することが分かったので、角度が悪ければいったん止めて調整する。それで解決である。

 言うまでもないが、なんだこんな事だったのか、と一番感じているのは、私自身である。