丸棒脚の角度出し
ピアス、アームチェア06、SSチェアなどの脚は、丸棒である。
その丸棒に、座枠やストレッチャーのホゾ穴を開けるのだが、脚の配置は台形なので、ホゾ穴が交わる角度は直角ではない。たとえば、ピアスでは82度の角度で交わる。
この角度を厳密に出す(決める)ことが難しい。角度が1度狂えば、40センチ先では7ミリのずれとなる。こんなにずれると、見た目にもそれと分かるし、ひどい場合には組み立てられなくなったりする。
直角ならば、丸棒の端に外接する正方形の板を仮止めして、角度を決めることができる。しかし、そのような方法は、直角以外の場合は使えない。
脚端に目印の直線を描き、角度定規で合わせるという手もあるが、それでは正確な角度が出ない。理屈では出来そうでも、やってみれば予想外に難しい。
この角度出しについて、私が考案した、かなり精度が良く、しかも外れの無い方法がある。今回はそれを紹介しよう。
まず、4本の脚の配置と向きを決める。判断の根拠は、木肌の色合いや表情、そして木目のパターン。 それぞれの脚の下端に、正面を示すマークを記す。 正面のマークを基準にして、秘密のマーク(マークX)を付ける。 縦線がマークX。脚の底には、ポジションとセット番号が記入されている。 専用の治具を使い、横切り盤で脚下端に溝を切り込む。 そのときの目印が、マークX。 それぞれの脚に溝が切り込まれた。 次に使う治具。脚がスッポリと入る穴が開いていて、内側に爪が2本出ている。
その爪に、先に加工した溝をはめ込み、2本目の溝を切る。この時も、目印はマークX。目印を爪の位置に合わせる。
爪は2本あるので、どちらに合わせるか、治具に記入されている指示に従う。
それぞれの脚に、2本の溝が刻まれた。溝のなす角度が、所定の82度になっている。 次なる治具は、ブロックに薄い木片が埋め込んであるもの。
木片の厚みは、脚下端に切り込んだ溝にピッタリ合うようにしてある。
このブロックに脚をはめ込めば、角度が決まるというわけ。
ブロックで脚の保持角度を決めて、角ノミ盤でホゾ穴を開ける。
2本の溝のそれぞれを使えば、正確な角度で振り分けられた穴が開けられる。
この角度出しの方法だと、後脚と前脚のずれは、2ミリを越えることは稀である。その程度の差は、実質的に問題ない。ホゾ穴加工が終わったら、脚下端を10ミリ切り落とす。脚は、あらかじめ丈を10ミリ長くしてある。
(Copy Right OTAKE 2010.6.20)