ピラミッド・マーク


  箱物家具には、その本体はもとより、引出しなど、4枚の板を組み合わせた箱の形が付きものである。また、扉のように、箱ではないが、やはり4つの部材を四角に組み立てたものもある。

 引出しにしろ、扉にしろ、はたまたキャビネット本体にしろ、それを形作る4ヶの部材の位置関係と表裏を、間違えないようにしなければならない。部材を加工する途上で、誤って部材を取り違え、間違った場所に穴を開けたり、溝を突いたりという失敗は、当然想定されることである。

 また、組み手のように現物合わせで加工する場合は、部材どうしの関係は一対一で決まるから、表裏を間違えただけでも、正しく組み立てられなくなる。

 扉の場合などは、木目のパターンで部材の上下、左右の配置が決まるから、あらかじめ決めた位置関係が崩れては、意図した見え方が台なしになる。

 そのような間違いを避けるために、部材の配置を決めた段階で、マークを付ける。その方法にもいろいろな流儀があるとは思うが、私が採用しているのは「ピラミッド・マーク」、画像のものである。(ただしこの画像では、はっきりと写るように誇張して書いてある。実際は鉛筆で直接部材に記入する)

 この方法を、私はJ.クレノフ氏の著書の中で知った。氏は「このピラミッド・マークが、一番信用できる」と書いている。

 引出しがいくつも付くようなキャビネットの場合は、このマークに添えて、セットごとの記号を書く。

 このマークが記入されているだけで、作業のミスは格段に減る、と私は思う。これを使わずに済ませたことは無いので、比較してみたわけではないが、このマークに助けられたと感じることはしばしばあった。作業中に、半ば無意識にこのマークを目で追うこともある。

 他のやり方は知らないが、私はこのマーキングに満足している。



(Copy Right OTAKE 2009.10.27)




→Topへもどる