A8LR リール台の調整
( 2014/5/29 作成 )
A-8 のリール台の仕様について


 まず…「FOSTEX 1/4インチ 8トラック」、この機種は「コンシューマー・モデル」という位置づけを忘れてはなりません。
 よって、業務用機と同レベルには、個々のパーツ代や調整時間も、かけて作られてはおりません。
 過去に数台、調整してきた限りでは… 固体の多少の精度のバラツキも多い気がします。

 本題に入りますが、リール台の高さの調整度においても、多少のバラツキが有ります。
 あるデッキでは、テープのエッジをこする事が無いのに、あるデッキでは異様にこする…。

 このデッキは、結構、テープエッジのギリギリまで録音トラックを利用している為、
 テープエッジを擦られるのは辛いものがあります。

 対処方法として通常は、リール台にスペーサー(紙など)を敷いて、リール自体を浮かせるのが一般的です。
 他の老舗メーカーのモデルによっては、リール台の表面にネジが有り、それで高さを調整できるデッキも存在します。

 左は「FOSTEX A-8 LR」から実際に取り外したリール台ですが、
 これの何処を見ても、高さを調整できる箇所は… 
 残念ながら有りません。

 後継機種の「MODEL-80」も同じ作りだったと思います。

 更に次機種の「R8」に関しては、
 あまりにもコストダウン化が顕著な機種なので、
 ここまでの修理&調整をした事もないので、不明です…。

リール台の調整方法


 まず、テープのエッジ擦りが、デッキを正面から見て「手前側」か「奥側」なのか…を観察します。

 エッジ擦りが奥側の場合、リール台が高いという判断になるのですが、これは「A-8」「MODEL-80」では…
 リール台の調整では、どうにも出来ません。
 テープ・テンション・アーム側での「テープ送り調整」をするしか有りません。
 ただし、これは、小型マイナス・ドライバー1本で簡単に位置の調整固定は出来ます。
     *「R8」はテンション・アームの軸に単にパーツが差し込まれているだけで…ネジ固定すらされていません。


 問題は、エッジ擦りが手前側の場合の、リール台が低いという状況で、
 これは、テンション・アーム側のテープ送り高さでも調整できません。デッキの分解&調整作業が必要となります。

 巻き取りリール台の取り外しの場合、
 まず、主電源基盤を外す作業になります。
 この作業を行う場合、必ずコンセントから電源を断っておきます。 (厳守!)

 主電源基盤は、本体シャーシにネジ2箇所で固定されています。
 本体内にネジを落とさない様、慎重に外します。
 主電源の基盤を外すと、
 リール台の固定ネジ(3箇所)にアクセス出来る様になります。
 本体内にネジを落とさない様に気をつけながら、リール台の固定
 ネジ(3箇所)を外します。
 リール台パーツの根元、ネジ穴部分に新たにワッシャーを追加、
 それをセロテープにて貼り付けます。

 詳細としては、ワッシャーは金属製を使い、
 ワッシャーの穴のサイズは「3mm 直径」のもの、
 ワッシャーの厚みは 約「0.5mm」を2枚使用します。
 (ワッシャーは東京・秋葉原にある"千石電商"さんにて入手)

 ワッシャー2枚自体を、まずセロテープでズレない様に固定し、
 更にリール台の根元に、やはり、リール台の取り付け直し時に、
 本体内に誤ってワッシャーがズレ落ちない様に固定する…
 という事です。

 ワッシャーをリール台に固定できたら、
 セロテープで埋もれたワッシャーの穴を、
 ネジが通りやすい様に空け直しておきます。
 本体にリール台を戻す際、
 まず最初に、2本の駆動ベルトをリール台にかけておきます。

 次に、写真の赤矢印にある「リール・ブレーキ」を外しておきます。
 (ネジ1本で簡単に外れます)

 リール・ブレーキの金属板でベルトを傷つけない様に
 慎重に、元の位置にリール台を設置します。

 本体シャーシのネジ穴部分と、リール台のネジ穴部位を合わせ、
 ネジ山が壊れない程度でキツめに、3箇所のネジ固定をします。

 リール台が固定できたら、リール・ブレーキも元に付け直します。