A8LR オーディオ基盤の調整
( 2013/11/12 作成 )
インプットレベル&VUメーターの調整

 まず、ミキサーの任意のチャンネルのインサート端子に、オシレーターのOUTをつなぎ、ミキサーのPANを左に振っておく。
 オシレーターより、1KHzを送出し、ミキサーのチャンネル・フェーダーを0VUに合わせておく。

 オシレーターをミキサーの別のチャンネルにインサーションし、
 最初にオシレーターを入れた任意のチャンネルのインサート端子には、デッキのOUTを入力し直しておく。

 ミキサーのBUSSより、オシレーターの1KHz=0VUを送り、デッキ側のインプットに入力する。

 デッキ側のオーディオ基盤にある「REC CAL」にて、ミキサー側のメーターが0VUになる様に調節する。
 これで、ミキサー送りとデッキの回路を通った音のレベルが、同じ0VUになった事になる。
 「REC CAL」の調整を追い込んだら、オーディオ基盤の「METER CAL」にて、
 デッキのメーターが0VUを指すように調節する。


 なぜミキサーのINPUTでなく、インサート端子を利用するか…は、
 ミキサーのヘッドアンプ&イコライザーといった、調整には不要な電子回路を極力通さない為である。

Reproduce (再生)の調整
Reproduce (再生)の調整には、
調整用アライメント・テープが必要不可欠となる。

アライメント・テープは、
MRL社の「21J203 (250nWb/m)」を使用する。

また、この調整をする際には、テープ走行系&ヘッドの掃除と、
厳密には、消磁も事前に行っておく必要がある。

まず、デッキの「NR」をOFFにしておく。
アライメント・テープの500Hzを再生し、オーディオ基盤の「REP CAL」にて0VUに調整する。
次いで、10KHzを再生し、「REP EQ」にて、同じく0VUになる様に調節する。

63Hzに、約+3dB程度のピークは出るものの、これで12.5KHzまでは、ほぼフラットになっている筈である。
15KHz以降は、なだらかにハイ落ちしていくが、元々 コンシューマー・モデルなので、…こんなものである。
(そうは書いても実は、予算の少ない仕事内容の場合、プロの現場でも、CM音楽やTV音楽の制作などに使われてたりしていた)


FOSTEXのメンテナンス・マニュアルには、再生基準 0VU は400Hz で調整…と記載されているのだが、
MRL社の「21J203 (250nWb/m)」には400Hzは記録されていない為、500Hz で基準0VUをとる。

STUDER社などプロ用機は、高域側+低域側の再生EQを持っている為、基準は「1kHz」でとるのだが、
コンシューマー・デッキの場合は、殆ど400Hz〜500Hz基準+再生EQ=1つ…と思ってよいと思う。

録音バイアスの調整

 録音バイアスとは、録音使用するテープに対し、適正な録音補正をする為の「直流電流の調整」…と思って構わない。
 使用するテープによってバイアス値は違うのだが、以下はAMPEX社「456」と同特性のテープ使用の場合を記載。

   1.まず、デッキの「NR」をOFFし、「BIAS LEVEL」を左いっぱいに回しておく。
   2.録音に使うテープを乗せ、オシレーターより「10kHz」をデッキに入力する。
   3.録音しながら「BIAS LEVEL」を、ゆっくり右に少しだけ回していく。
   4.録音を止め、録音した部分を再生し、メーターの針の動きを注視する。
   5.メーターの針がゆっくり右へ上り、少々停滞があって左へ下り始めた「右振り最高レベル値」をメモしておく。
   6.3〜4を繰り返し、メーターの最右値から数えて「-3dB」落ちるポイントまで「BIAS LEVEL」を右に回す。
     最高レベル値を超えて落ち過ぎてた場合は、「BIAS LEVEL」を左に回し、追い込む。

録音レベル&録音EQの調整方法


 「入力レベルの調整」→「デッキのメーター調整」→「再生の基準化」→「録音バイアスの適正化」
 ここまで終了したら、録音に関する調整(オーディオ基盤の最後の調整)となる。

   1.まず、デッキの「NR」を「ON」しておく。
   2.オシレーターより、400Hzを送出し、録音。
   3.録音部分を再生、オーディオ基盤の「REC LVL」にて0VUになる様に録音・再生を繰り返し、調整を追い込む。
   4.オシレーターより、10KHzを送出し、録音。
   5.録音部分を再生、「REC EQ」にて、同じく0VUになる様に録音・再生を繰り返し、調整を追い込む。

 これらを、全8トラック分 行う。


 リファレンス再生時の段階で、12.5kHz再生時に-3dB 以上のバラつきが出る、
 電源オン時と30分後の使用中のレベルが極端に違う…などの場合は、
 該当トラックのオーディオ基盤のコンデンサー類の劣化が影響しているので、
 それ以降の調整をする前に、電子パーツ類交換の必要が出てくる。
 一緒に、各調整ボリューム抵抗パーツの交換もしておくと尚よい。

 当然ながら、電子パーツ類を交換となれば、オーディオ基盤の調整は、一番最初からやり直し…となる。

 古い機材となった今、どのレベルで妥協調整するかは、個人使用・業務使用によって異なる。