つれづれ---記憶
 あなたは、どんな顔をしていたでしょうか?

思い出せません。

とてもとても愛しているように思うのですが、なぜなのでしょう。

幾人かの男の中で、鮮明にある表情が記憶にこびりついている人がいる。

それは別れたから、なのでしょうか?

終わってしまったので私の頭の中で勝手に物語化できる心安さから、なのでしょうか?

だとすると、意識とはなんと身勝手に出来上がっているのでしょう。

現在進行中の事柄に関しては、期待が裏切られた場合の打撃を回避するためにか、

記憶---多分それはきわめて自分勝手な意味の付与---をセーブしている。

私たちは少しずつ物語るのでしょう。

越し方を行く末を。

少なくともそうすることが、自分らの身勝手さへの償いになるのではないでしょうか。 

2005.10.12
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