ヒトラー以前の書籍

国家社会主義ドイツ労働者党が誕生する母体となった思想にはどのようなものがあったのでしょうか。

例えばシオン長老の議定書のようなものも国家社会主義が浸透するのにはかなり役立ったと思われます。

その他にショーペンハウエルやニーチェ、ダーウィンのような一般的なものを含めると

それもかなり膨大なものになってしまうと思われます。

キリスト教思想あるいはキリスト教道徳の行き詰まりより、哲学者のニーチェは新しい価値観の創造を唱えました。

この思想は神に代わる道徳で超人思想と言われました。

一方で反ユダヤ主義の母体となったのはルターやシェークスピアでもありました。

マルチン・ルター Martin Luther

Die Bibel (Standardausgabe schwarz). Mit Apokryphen

Das Neue Testament. Studienausgabe I/II

シェークスピア Shakespear

ベニスの商人

ニーチェ Friedlich Nieztsche

ツァラトゥストラはこう言った 上 岩波文庫 青 639-2

■ツァラトゥストラはこう言った 下 岩波文庫 青693-3

ニーチェ全集〈11〉善悪の彼岸 道徳の系譜

ニーチェ全集〈12〉権力への意志 上

ニーチェ全集〈13〉権力への意志 下


このニーチェに甚大な影響を与えたのは哲学者ショーペンハウエルと、作曲家ワグナーです。


ショーペンハウエル Arthur Schopenhauer

意志と表象としての世界〈1〉

意志と表象としての世界〈2〉

意志と表象としての世界〈3〉


ダーウィン  Chares Robert Darwin

適者適存の進化論を社会学者たちも取り入れ人間社会にあてはめようとしました。

ナチズムにおいても同様の現象が起こっています。

種の起原〈上〉

種の起原〈下〉

カール ビンディングK. Binding

アルフレート ホッヘ A. Hoche

このふたりは「生きるに値しない命を終わらせる行為の解禁」という書を

書きました。この書は安楽死であるとか優生思想であるとかの問題を非常に

冷静に解決しようとしました。現代日本でこのような本を書けばたちまちにして

非難が興るであろうという内容です。

この書は今世紀に入ってから

「生きるに値しない命」とは誰のことか―ナチス安楽死思想の原典を読むという

タイトルで翻訳され出版されました。ナチズム登場前夜の

ドイツの一法学者、一医学者の論文は

ナチズム研究に役立つものと思われます。

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icon 「生きるに値しない命」とは誰のことか ナチス安楽死思想の原典を読む

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人種論については特にワグナーと同じサークルであったフランスのゴビノーや

ワグナーの娘婿のチェンバレン(イギリス出身)の書籍が好まれました。

私の知る限りゴビノーの人種不平等論は和訳されていません。

ただし森鴎外が人種哲学梗概という書籍の中でその思想を紹介しています。

この書は古書店でもかなり高値で取引されています。

既に著作権も切れているため国会図書館の近代デジタルライブラリーにも収録されていますので、

興味のある人はこれを読んでみる事をおすすめいたします。

人種不平等論テキスト

ゴビノーの人種不平等論はドイツで翻訳されましたが、本国フランスより多数売られたとのことです。

一方チェンバレンはヒトラーによってナチズムの父と評されました。

チェンバレンとゴビノーはニーチェ、ショーペンハウエル以上の影響を

国家社会主義に与えた事は否めませんが、現在も含めて日本語への完訳はなされていません。

チェンバレンは戦前翻訳が2冊出ました。両者とも19世紀の基礎の部分訳です。

なお、これらの著作は極めて重要であるために本サイトから

それぞれのテキストが掲載されているサイトにリンクを貼りました。

ゴビノー  Arthur de Gobineau

人種不平等論はゴビノーの代表的書籍のひとつですが、
全6巻ものです。しかしながら、ここの分量はそれほど多くなく
下記で紹介している書籍には全てが収録されています。

■The Inequality of Human Races 人種不平等論(英語版)
Howard Fertig; Reprint版  232ページ ISBN-10: 0865274304

■Essai sur l'inegalite des races humaines, deuxieme edition precedee d'un avant-propos et d'une biographie de l'auteur   

人種不平等論(フランス語版)

人種不平等論テキスト人種不平等論(フランス語版)

リヒャルト・ワグナー Richard Wagner

■Das Judentum in der Musik(音楽におけるユダヤ性)The Dinur Center刊

同書においてワグナーはユダヤ人を徹底的に排撃している。この思想をヒトラーは現実化したとも言われている。

人種不平等論テキストワグナーの著作集(主にオペラ台本)

左の本はナチスのユダヤ人差別についてワグナー起源のものが明らかにされています.。

H・S・チェンバレン Houston Stewart Chamberlain

新世界観の人種的基礎  近代ヨーロッパの生成 Die Grundlagen des neunzehnten Jahrhunders 十九世紀の基礎 1巻・2巻

■新世界観の人種的基礎  栗田書店  1000部

近代ヨーロッパの生成  二見書房    1000部  

DIE GRUNDLAGEN DES XIX. JAHRHUNDERTS  Verlag F. Bruckmann  Muenchen

リーヒャルト・ワ”グナー

19世紀の基礎テキストDIE GRUNDLAGEN DES XIX. JAHRHUNDERTS

ゴビノーとチェンバレンの2人の思想はやがて国家社会主義ドイツ労働者党の

御用哲学者アルフレート・ローゼンベルクに受け継がれます。

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