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党出版物など原著

ヒトラーが政治活動を行ない始めると夥しい数の書籍が出版されました。

アドルフ・ヒトラー  Adolf Hitler

mein kampf

ヒトラーが書いた公式的な書籍はMein Kampfのみです。

1925年に第一巻が発行され、1927年に第二巻が発行されました。

その後版を重ねましたが、重要な改編は行なわれていません。

石川準十郎氏の研究によれば明らかな誤植の修正や

aberのような単語の省略を除いたら文意を変更するようなものは

ないとのことです。戦後は篠原 正瑛氏がやはり変更について

ヒトラーの遺言でやはりMein Kampfの各版での比較を行なっていますが、

こちらは初版は用いていないようです。。

この他に我々がヒトラーの書籍に触れることの出来るのは

戦後発見されたものや会話や演説をまとめたものであり、ヒトラー自身が

出版しようとして発行されたものではありません。


このサイトではそれらもヒトラーの思想を伺えるものとして取り上げる事にします。


Mein Kampfは日本では「わが闘争」と訳されています。

戦前戦後を合わせると一体何種類翻訳されているのであろうと言うくらい

いろいろな訳があります。

興味深い事に翻訳する人の立場によっても訳し方は異なりますし、

参照した言語が英語かフランス語かドイツ語かによっても異なる

ようです。

Mein kampf左の写真はドイツ語版でZentralverlag der NSDAP, Franz Eher Nachf., GmbH, Muenchenのものを

1989年の生誕百周年に復刻したものです。文字は亀甲文字ではなくラテン文字となっています。

第一巻と第二巻の合本で781ページあります。

私はイギリスの本屋で購入しましたが、Amazon.co.jpでも買えるかもしれません。

■Mein Kampf: Original German Language





Mein kampf Mein kampf こちらはレプリカではない
Mein Kampfの1936年版です。
Zentralverlag der NSDAP, Franz Eher
Nachf., GmbH, Muenchen

亀甲文字です。
レプリカに比べると版型も小さく、
薄い本です。本文ページ数は変わらず
最後のページに広告が入っています。

当時の我が闘争のカバーは下の
「まいんかんぷ」の表紙と非常に
よく似たレイアウトでした。
私の持っている本はカバーが
なくなっています。
このカバーが現存している書は少ないと
聞いています。

Zentralverlag der NSDAP, Franz Eher
Nachf., GmbH, Muenchen

こちらもレプリカではありません。

2巻本で箱入りです。箱の背表紙側には
ご覧のようなタイトルが入っていますが、
表と裏は何も印刷されていません。

1939年刊で1巻が47版、2巻が44版となっています。

上の書物は青い布張りですが、
こちらは普通のソフトカバーです。

表紙が白っぽいのはパラフィンが巻いてあるからです。

2冊とも後にやはり広告が掲載されています。
Mein Kampf
こちらもレプリカです。
1943年版のものですが、
亀甲文字ではなく、ラテン文字です。
こちらもAmazonで購入しました。
合本です。
どこで復刻したものなのかは
わかりません。
立派な装丁で驚きです。
カバーは元よりついていない
裸本です。
Zentralverlag der NSDAP, Franz Eher Nachf., GmbH, Muenchenと書かれています。
こちらはヒトラーの演説集の原書です。
Der grossdeutsche freiheitskampf
Reden Adolf Hitlers
vom 1. September 1939 bis 10. Maerz 1940

Zentralverlag der NSDAP, Franz Eher Nachf. Muenchen
1942年
私の購入したものは第6版で、251,000-300,000部と記載されていました。
初版は1940年刊です。



■戦前の主なもの■

ここでは国内で出版されたわが闘争を初めとしたヒトラーの書を紹介いたします。この中でも眞鍋良一氏の翻訳がしっかりしたもので、また戦後秋田書店から出版された秋永芳郎著「マイン・カンプ<わが闘争>」の元になった本です。秋永版は眞鍋良一氏の翻訳を要約したもので原著からの翻訳ではありません。

眞鍋良一氏はドイツ語のエキスパートでしたので、名訳と思います。

しかしながら時局柄全訳ではありません。

ここで掲載した水野版・室伏版・奥野版・坂井版・花園・小宮版・大久保版のわが闘争は要約であり、全てを訳そうとしたものではありません。眞鍋氏のものが唯一全訳しようとしたものです。そのうち日本に関連して、日本に不利なものが削除されたものとなっています。

一方で東亞研究所のものは完全訳を行なったものです。

国際事情版は当時一部で頒布された国際事情という小冊子で時々掲載されたMein Kampfの部分訳でかつ要約です。しかし、ページ数を合計すればそこそこ読みでのある量となっています。

ヒットラーの我が鬪爭 ヒットラア 我が鬪爭 要約マインカンプ
ヒットラーの我が鬪爭
昭和15年9月発行
水野宏一編著
研文書院
ヒットラア 我が鬪爭
昭和15年6月15日
(戦時体制版)
室伏高信 訳
第一書房
ヒットラー
要約マインカンプ
昭和16年11月
奥野七郎
朝日新聞社
アドルフ・ヒトラー 吾が鬪爭 上巻 眞鍋良一訳 アドルフ・ヒトラー 吾が鬪爭 下巻 眞鍋良一訳 石川準十郎 ヒトラー『マイン・カンプ』研究
アドルフ・ヒトラー 吾が鬪爭 
上巻 昭和17年5月3日第三版
眞鍋良一訳
興風館
アドルフ・ヒトラー 吾が鬪爭
下巻 昭和17年8月19日第二版
眞鍋良一訳
興風館
石川準十郎
ヒトラー『マイン・カンプ』研究
(合冊普及版)昭和18年5月
国際日本協会
ヒツトラー 余の鬪爭昭和7年2月16日発行 坂井隆治訳 内外社 ヒットラー まいんかむぷ 昭和14年4月8日発行 花園兼定 小宮山凡禅訳   ヘラルド雑誌社 ヒットラー わが鬪爭 昭和16年3月大久保康雄訳

ヒツトラー 余の鬪爭
昭和7年2月16日発行 坂井隆治訳 内外社

ヒットラー まいんかむぷ
昭和14年4月8日発行 花園兼定・
小宮山凡禅訳   ヘラルド雑誌社
英語対訳のわが闘争。巻末にはナチス党綱領も掲載されている。
ヒットラー わが鬪爭
昭和16年3月大久保康雄訳
三笠書房

ひと
ヒトラー わが鬪爭の展開
高山洋吉編
栗田書店
昭和15年10月1日発行
ヒトラーの演説集
ヒットラア 我が新秩序
堀真琴編 訳編
青年書房
昭和17年10月10日発行
3000部の印刷。ヒトラーの1922年から1939年までの演説が掲載されている。
アドルフ・ヒトラー
ナチとは何か
佐藤荘一郎訳
昭和14年5月23日
青年書房
1922〜24年のヒトラーの演説が翻訳されている。巻末にヒトラーの箴言集がついている。
ヒトラー総統演説集
工藤長祝 訳
鉄十字社
昭和15年10月1日
アドルフ・ヒットラー著 國民的世界觀
内外社編集部訳編
昭和7年8月17日
上記の坂井隆治訳「ヒツトラー 余の鬪爭」を改訂し、幾分解説めいたものが掲載されている。坂井の書が304ページ。こちらの国民的世界観は454ページなので、それだけ、資料は多いが価値のほうはよくわからない。
獨逸對米宣言 戰爭の責任はルーズベルトにあり!

獨逸研究所編
昭和17年1月1日
ヒトラーの演説2題とリッベントロープ、オットー大使の演説が掲載されている。
総統アドルフ・ヒトラー われ等の建設
記者 安居憲太郎
青年書房
昭和14年2月23日
ヒトラー総統著、マイン・カンプ
ウィーンの巻
「国際事情 555」外務省情報部 
昭和14年8月25日
マイン・カンプ第一巻第3章要訳
ヒトラー総統著、マイン・カンプ
ミュンヘンの巻
「国際事情 549」外務省情報部
昭和14年5月14日
ヒトラーの東進政策論要訳
 ヒトラー総統著、マイン・カンプ
獨逸と佛蘭西
「国際事情 538」外務省情報部
昭和13年10月10日
「マイン・カンプ」外交編最後の章要訳
ヒトラー総統著、マイン・カンプ
新三國同盟論
「国際事情 536」外務省情報部
昭和13年9月5日
戦後におけるドイツの外交政策要訳
ヒトラー総統著、マイン・カンプ
世界大戦の巻附、大戦と宣伝
「国際事情 553」外務省情報部
昭和14年7月15日
マイン・カンプ第1巻第5章要訳
ヒトラー総統著、マイン・カンプ
政党と政綱の巻
「国際事情 565」外務省情報部
昭和15年8月15日
ヒトラー総統著、マイン・カンプ
国家の巻(1)
「国際事情 567」外務省情報部 
昭和15年9月20日
ヒトラー総統著、マイン・カンプ
国家の巻(2)
「国際事情 568」外務省情報部 
昭和15年10月10日
我が少年時代
吉田六郎 訳注
大学書林
昭和13年11月1日
Mein Kampf冒頭Im Elternhausから抜粋
大学書林文庫Nr.114
平成の今では絶対に出版されないだ
ろうと思われる「Mein Kampf」を用いた
中級ドイツ語学習者用対訳本
勝利への序曲
荒木時次訳注
大学書林
昭和16年1月16日
こちらも大学書林文庫Nr.124
ヒトラーの演説Wir muessen siegen!「勝利への序曲」の訳注本。中級ドイツ語学習者用対訳本
獨佛版 マイン・カムプ
編者 頭本无貞 
ヘラルド雑誌社
昭和15年2月10日
この本はドイツ語原書のコピーと仏蘭西語訳のMon Combatおよび、Oxford Pamphlets on World Affairsの記事の抄(英文)よりなる珍しい本だ。日本語は一切ない。この本がこの時代日本で発行されたのも驚きだが、一体誰が読んだのかも興味深い。
獨逸青少年訓
ヒットラー述・シーラッハ編
池田林儀訳
日独文化出版局
発行年不明
セルパン8
特集ヒットラア 我が闘争
第一書房
昭和18年8月1日
第一書房からは室伏高信氏訳の我が闘争が
発行されているがこれとは異なる訳である。
獨逸の決戦態度
〜ヒトラー総統最近の宣言〜
工藤長祝訳
鉄十字社
昭和18年3月
我が闘争第一巻(上・下)第二巻(上・下)

伊藤斌
東亜研究所
昭和19年
西村隆三郎編
ヒットラー語録
ヘラルド雑誌社
昭和14年発行
和綴じ本で表紙や本誌の紙質にもこだわったもの
凱歌の門
ヒトラー
昭和17年3月
下村亮一訳
第一公論社
ヒツトラーの言葉附ナチス綱領25項
ヒトラー
西村隆三郎
昭和19年
新元社
初版10000部限定
ヒットラー語録とそっくりの内容。


この他にも戦前発売された邦訳は多数存在する。


■戦後発売された主なもの


上記のわが闘争 続 生存権と領土問題と大幅に変わるところはないがテキストととした資料が

異なる

■ヒトラーのテーブル・トーク1941‐1944〈上〉
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ヒトラーのテーブル・トーク1941‐1944〈下〉


この2冊は次の永遠なるヒトラーと同様会話調であり読みやすい文体となっている。

また、しばしば言われているがわが闘争は本心ではなくむしろ本心はその他の資料に

現れているらしい。あるいはヒトラー自身の思想の変化もあったのかもしれない。

いずれにせよ、これらの本の中ではわが闘争について一部批判的に述べられている。


■永遠なるヒトラー

ヒトラーが語った内容をのちに亡命する事になる側近ヘルマン・ラウシュニングが記したもの。ナチズムの本質に迫るものであるが一方でオカルトとの関連も指摘されている。

永遠なるヒトラーは天声出版より出版、そして後に、八幡書店より出版されたが、これはドイツ語のものからの翻訳である。

同じ訳者はその前に英語訳から翻訳し学芸書林より発刊された。



■ヒトラーとの対話




永遠なるヒトラーの原典がドイツ語であったが、
こちらは同じ内容だが英訳からの翻訳である。
前述の学芸書林から出版のもの。






■ヒトラーは語る―1931年の秘密会談の記録


政権獲得直前のヒトラーの思想と政策を伝える速記禄による対談集


ヒトラー=ムッソリーニ秘密往復書簡


ドイツ・イタリアの両巨頭が互いに書き綴った手紙だが

どちらかと言えばムッソリーニの方が

ヒトラーにお熱と言った印象がある。

当時の政治家の生の記録であるだけに

貴重な資料と言えよう。

ただし、内容的にはあまり興味深いものはない。

ヒトラーの遺言―一九四五年二月四日‐四月二日


我が闘争の原書は多くの場合非常に高価に取引されています。また、本国ドイツでは印刷・発行が禁じられています。

一方で、英語版はいくつか訳がありまた廉価で手に入りやすいといえます。

イギリスと米国で発行されたものが定訳となっています。

Mein Kampf: Original German Language

Mein Kampf

Mein Kampf

  

2008年にはヒトラーの『わが闘争』は漫画化されました。

発想はユニークであると思います。

我が闘争1巻Mein Kampf Teil 1    我が闘争2巻Mein Kampf Teil 2


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