| 彼らが世界をどう感じているか見ているか考えているか ◇ | ||
このキャンペーンワールドに住む標準の人間（つまり 通常のNPC たち）は原則的に;
ワールドの世界観的には, 科学が未発達で現代日本人からすると相当教育が行き渡っていません。 靴屋のせがれは靴屋をつぎ, 農家のせがれは農家をつぎ, 金持ちはえんえんと金持ちのままです。 社会科の教育がゆきとどいている現代日本人の我々からみればずいぶんと窮屈で不自由を強いられている暮らしにみえるかもしれませんが, 彼らは靴屋をつぐことを当たり前というよりももはや, 疑う発想すらもちあわせていません。 もはやそのことは, 当たり前以上に当たり前すぎるのです。 私たち日本人が, 食事のときにお箸を使うことについて, 非常に疑問に思う人はいますか？ 私たち日本人が日本語をしゃべっていることをどうにも納得できないほど疑問に思っている人はいますか？ 日本語で, 昼間青くて夜黒い, 太陽や星が見えている頭上のものを "空" という日本語をあて, "そら" と呼ぶことにどうにも納得できない日本人はいますか？ もはや, 彼らにとってはそれらと同じほどに普遍的なことなのです。 つまり, 義務教育を終えた日本人からすると, 鈍臭く愚かな人々に映ってしまうのです。 しかし, それが悪いことなのではありません。単に彼らが そういう世界に生きている というだけのことです。忘れないでください, ここは, あなたが何十年もすごしてきた慣れ親しんだ土地, ニッポン とは全く違うのです。違うので, あなたがもっている japanese common sense はここではどちらかというと非常識で愚かに映ります。 あなたは, 火にかけた水が沸騰すること を説明できますか? 『水が, 加熱により沸点に達したから』ですよね。 （ついでにいうと, "蒸発" は, 液体表面で分子が粒子間ポテンシャルを振り切って飛び出す現象 で, "沸騰" は, 蒸発した分子による圧力（蒸気圧）が大気圧以上になり, 液体内部からも蒸気が気泡となって発生する現象 です。 "沸点" とは, 蒸気圧と大気圧が等しくなる液体の温度のことです） そんなん誰だって知ってますよね? 常識ですよ。 そんな風に答えてしまったあなたは, なんて 愚か なのでしょう！ いいかい？ 水が蒸気になるのは, 火の精 と 水の精 が混じって 火が勝った からなんだよ! 火が負けた時は お湯 になるんだよ? そんなことみんな知ってるし教会でそう習ったんだ。 そんなことすら間違えるなんて, キミたちほんとにバカだなぁ! ■ 迷信深い, 信心深い, すぐにイモータルの名前を語るという特徴
我々ほど科学教育が行き届いていないこのワールドの住人たちはすなわち, 非科学的な迷信じみたお呪いやらなにやらを本気で信じ込んでいます。 彼らの心の中には ”神”と呼ばれる存在が実在しているからです（ワールド的にも, イモータルが実在しており現代日本人よりもずっと, 神格を間近に感じることができる点で, 彼らの世界のほうがうらやましいのかもしれません）。 しかしながら, これまた現代日本人ほどに "神" を神格化しているわけでもなく, ニッポン人がすぐに演じたがる典型的プリーストキャラクター, あるいは「嗚呼！神様！」な, プリーストが率先して神様にたよりっきりでちっともワールドの住人のお手本になれないべったりべったりなベタなものではありません。 このワールドの住人にとって神は実在しており, また, 会話の端々にすぐに引用されるほど, 彼らの生活・習慣に深く根付いています。 それは, 彼らにとって神格を間近に感じることが 常識 だからです。 従ってこのワールドの住人（平均的な 教養 と 賢明さ をもつ場合）には, "無神論者" などという, 相当現実離れした（つまり, 馬鹿げた）考えをもつ者はいません。 我々日本人にとっては無神論だったり無宗教だったりすることは言論の自由や思考の自由の範囲内でおさめられるでしょうが, このワールドの住人にとってはそれは, 食事のときにお箸ではなく手を使ったり, YESという意思表示のときに首を横にふったりする文化並に, "現実離れ" しているのです。 彼らはまた, 自身に何かよくないことが起これば, 邪悪なイモータルの名前をだしてそれのせいにし, 逆に予期せぬ良いことがおきれば, 善良なるイモータルの名前をだして祝福します。 日本人の「困ったときの神頼み」という感覚を, このワールドの住人はもっていません。 彼らが神に頼むときは, 困ったときだけではないからです; 「今日晴れますように」これらどうでもよいことすべてに対し, このワールドの住人はイモータルを感じるのです。 「今日晴れますように」 → 「ナイトアローンが天気をよくする」 「今日も誰かと話ができますように」 → 「今日はきっと, ラウニィが新しい客人を私のまえにつれてくるのだ」 「明日はきっといいことがおきますように」 → 「ケ＝ヴィシュの野郎がしゃしゃりでてこなければよい」 「今日はついてなかったけど明日はついている」 → 「今日はメルビットに見られていたが明日はユウエアが私を見ている」 「肉と野菜とどちらから先に買いにいこうかしら」 → 「ユウエアが肉と野菜のどちらを先に私のもとへもってくるのだろう」 「金貨を拾った」 → 「ラウニィからのプレゼントだ」 「毎日つらいなぁ」 → 「ディマンが私を試している」 日本人発想的 "神の神格化" や 女性崇拝的な盲目性 はみじんもありません。どこにでも出てくる 普通の言葉 なのです。 そのイモータルを特に熱心に信奉しているクレリックですら, ついてない日にチェッという感覚でもって「ひどいな, うちのイモータルは！」と毒づくことだってあるのです！ しかしながら, 普段から身近に感じているとはいえ, その言葉はまがりなりにもイモータルの名前です。 特別な感情を込めてその語を発することも多々あります。 カオスサイド, またはエントロピーのイモータルの名前は特に, 相手を強烈にののしる場合に使われます; 「メルビットの娘め！」（悪女に対して言う） ■ ほぼ全ての NPC がメリケン人であるという特徴
イモータルの名前を口にすることのほかに, DnD ゲームはアメリカ生まれのゲームですから, NPC は大半が アメリカ人志向 です。 それはつまり, アメリカ人がいまだにニッポン人がサムライ文化をもち, 失敗をつぐなうときはハラキリし, スシ, ゲイシャと誤解しているのと同様に日本人が誤解するアメリカ人, すなわち メリケン人 です。 まず, 身振り手振りが大げさ, オーバーで, アメリカンジョークに敏感に反応します。 次に, アメリカ映画に出てくる太ったお母さん が誰かに命令するときはかならず2回繰り返し, 2度目はどぎつくはっきりと言うのと同じ要領の 頭の悪さ を持っています（「ミザリー, 17時には家に帰りなさい。か え り な さ い」「ジョン。何回言ったらわかるの, ミルクはダメ。水にしなさい。み ず に し な さ い」）。 そして, 補語や形容詞がやたら多く具体的である, ということです（形容の仕方が日本人とは完全に異なるということです。例えば『金の亡者』ではなく『黙れ金ぶくろ！』です。また, 『長い話になる』ではなく『丸一日もかかるまい』です）。 物主構文を日本語に直訳するのがセオリーです。 ■ ほぼ全ての NPC が PC よりも優れていないという特徴
理由は簡単です。NPC が PC よりも優れていたら, PC の出番がないからです。 従ってこのワールドの一般人は, 確実に PC より役立たずです。 ■ ライバル NPC は PC よりも格段に優れているという特徴
ところが, 役立たずではなくむしろ PC たちを窮地に立たせるほどの能力を持った NPC がいます。 それが悪役 NPC たちです。 最後の障害となりうる強力なライバルが, イニシアティブを取られてあっさり全滅, では, いまいちもりあがらないからです。 このキャンペーンで登場するライバル NPC は, 数値をいじって強力な存在ということにしてあります（全てのアビリティスコアが +1 以上で長所が +3 とか）。 PC は, そんな NPC に単身挑むわけではなく, 大抵はパーティで挑むので, 悪役たる NPC にはそれくらいのアドバンテージを持たせないといけないし, 第一, 非常に優れた能力（※性格以外の知能や体力）を持っていたからこそ, そこまで大いなる悪事に手を染め, そして人々から恐れられたり PC たちの目標になりえたりするのです。 従ってこのワールドにおける悪役 NPC は, 確実に強力です。 ■ おわりに
こんな世界に住みたいとは思わない。 |
| モドル |
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