「犬を飼いたい」


リクオはぽつりと呟いた



「急にどうしたんですか?」


脈絡もなく、変な事を言い初めたリクオを無視するのもかわいそうなので

一応つららは聞き返した。


「四国の玉章くんがいつも小さい犬抱っこしてるからうらやましくて」


「そんな理由で・・・」

「うん、そんな理由で・・・」

生き物を飼うという事がおそらく分かっていないであろうリクオに

現実を知らしめようと矢継ぎ早に質問する。


「だいたい世話とかどうするんですか?私はリクオさまのお世話で手一杯ですよ」

「ボクって、犬と同じ扱いなの?」

「それに犬ってすぐ大きくなりますよ。」

「むぐ、確かにそうだけど・・・・・」


つららのもっともな意見にしょんぼりするリクオ

その様子に少し言い過ぎたかなと思ったつららは

何か元気付けようと考える。


かわいい犬のぬいぐるみじゃダメでしょうか?

でも女の子じゃあるまいし、

う〜んと考えていると

つららにゃんで使った猫耳カチューシャのことを思い出した。


そうだ、アレを使って・・・

「ちょっと待っててください。」

「?」


きょとんとするリクオを残して、自分の部屋に閉じこもる。

そして30分くらいして、つららは再びリクオの前に現れた

特に何も変っていない


頭に犬耳のような物を生やしている以外は・・・


「リクオさま・・・ほら、」

そう言いながら両手を握って前に持ってくるようなポーズをとる


「・・・わん、わん・・・」



「・・・・・」

リクオは呆然としていた。


犬が飼いたい

それだけなのに

目の前で起こっている現象はなんなんだろう?


一方つららの方はこうすればリクオさまに抱っこしてもらえると

当初の目的とあきらかに違うことを考えていた。



つらら(及川氷麗)





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