はあっとはく息も凍りそうな雪降る日・・・

その雪を眺めながらファイヤーソーサラーは1人玄関先で佇んでいた。

帽子の下から覗く延々と舞う雪を眺めていた青い瞳がわずかに見開かれる。

その瞳に雪の中を歩いてくる影が映った。

その影は一瞬驚いたように立ち止まり、すぐに駆け寄ってきた。


「どうしたの?」

雪が降る寒空の下、佇む少女に向けた問いである。

問われた方は帽子のつばを上げて何かを言いかけるがすぐに沈黙してしまった。

言葉の代わりに帽子に積もった雪の粉が舞った。


(もしかして外で待っててくれたのかな。)

そう思いながら帽子に積もった雪をはらってやる。


「別に雪見てただけ・・・」

俯きながら素っ気無く答える。

帽子に隠れた頬が少し赤らんだように見えた。


「そ、そうなんだ。」

寒くないのかなと軽くファイヤーソーサラーの手を握る。

冷たいっ!

想像以上の手の冷たさに驚いた。

その体温が自分に移ったような気がして慌てて握った手を摩る。

その摩られた方のファイヤーソーサラーは固まったように動かなくなった。


「どうしたの?」

なぜか微動だにしなくなったファイヤーソーサラーを抱っこするように抱えて

ようやく家の中に入った。


「ハア、ハア」

(あのまま立ってたら雪だるまになるな)

と考えつつ、ファイヤーソーサラーの服についた雪を落としてタオルで拭く。

そして、風邪をひかないように暖かくして寝るように言って自分の部屋に行こうとすると


ぎゅっと

引っ張られた。

振り向くと自分の服の裾を小さい手が握っていた。

ファイヤーソーサラーの手だった。

俯いたままで帽子に隠れて表情が見えない。


少しの沈黙の後、裾を握り締めたまま小声で搾り出すようにつぶやいた。


「・・・寒いなら・・・いっしょに寝ても(ボソボソ)・・・。」


ようやく口から出せた言葉だった。


だが、小さい声だったので肝心な所は聞こえず

『寒いなら・・・』しかマスターの耳に届かなかった。


「・・・・・」

そんなことは知らずファイヤーソーサラーはマスターが答えるのを緊張して待つ。


「これ穿いて寝るから大丈夫だよ。」

「!?」

案の定、マスターはファイヤーソーサラーの予想を裏切る答えを言いながら

白いなにかを取り出した。


ファイヤーソーサラーには見覚えがあった。

なぜなら・・・


「・・・それ私のタイツ・・・。」


「えっ?」


「・・・伸びてる・・・。」


自分のタイツを手に取りながら

俯いたまま沈黙する。

相変わらず帽子に隠れて表情が見えなかったが

今度はなんとなくわかった。


「もしかして怒ってる?」


「ファイヤーブラスト(ボソ)・・・。」


ボッと手から拳大の炎弾が打ち出された。


ちゅどーんっ!!


「ぎゃあああーーーっ!!」


真っ黒焦げになって暖まったマスターは

ファイヤーソーサラーさんへのホワイトデーは新しい白タイツを買うことに決めたのだった。


ファイヤーソーサラー




















































ファイヤーソーサラー


ホワイトデー・・・ホワイト・・・ホワイトタイツ・・・

白タイツ!!


ということで今回のホワイトデーはファイヤーソーサラーさんの出番です。


「こんなのなら出番ないほうがよかった・・・ファイヤーブラスト(ボソ)・・・。」


ちゅどーんっ!!!


「ぎゃあああーーーっ!!!」





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