「応援してくれ。」

「応援?」
ブラック・マジシャン・ガールはわけがわからずマスターに聞き返した。

「そう応援してくれないとデュエルに勝てないんだよ。」

「意味がわからないんですけど・・・?」
デュエルに勝てないのはまじめにやらないからだ。
いつもパンツパンツ言って、本当にダメなんだから。
と心の中で呟いたが口には出さなかった。

「応援してくれない→デュエルに勝てない→闇のゲームで負ける→死・・・」

「ほら、凄く大変なんだよ。」

「なんなんですかそれ!?」
ますますわけがわからない。
そもそも応援しただけでデュエルに勝てるわけないし。

「命かかってるんだからお願い!ブラック・マジシャン・ガール先生!!」

「誰が先生ですか!?」
とツッコミつつ応援するくらいならまあいいかなと思い始めた。

「応援たらっ応援応援おうえん(省略)」
この後、マスターの必死の説得?が続き

「わかりました。応援すればいいんですね。」
結局しょうがないなあと渋々、承諾してしまうのでした。

とはいったもののどう応援したらいいのかわからなかったので
とりあえず感情のこもってない声で投げやりに
「がんばれ〜」
と応援してみる。

「なにそれ!?」
するとすかさずマスターから抗議の声が上がった。

「なにって応援じゃないですか。」
気持ちのこもらない応援なのがばれたかと思ったがどうも違うようだった。

「チアガールみたいに応援してくれなきゃダメ!」
応援それ自体ではなく応援する格好のことを言っているらしい。

「え〜!?」
ち、ちあがーる?
一瞬、意味がわからず固まってしまった。
応援するだけだったのにいつそんな流れになったのかわからない。

「はいこれ持って。」
といってどこから出したのかポンポン(チアガールが手に持つふさふさした物)を渡す。

それを受け取らず
「もうそれなら応援なんかしません。」
ときっぱり断った。

「そこをなんとか。」

「やらないったらやりません。」
重ねて拒否する。

「しょうがないなあ。あきらめるか。」

「・・・・・」
変だな。やけにあっさり引き下がる。
いつもなら延々と駄々をこねるのに。

「マジシャンズ・ヴァルキリアに代わりに応援してもらおう。」

「えっ」
マスターが自分とは別の者の名を上げたので動揺した。
マジシャンズ・ヴァルキリアがチアガールとか承諾するとは考えられなかったが
なにか無性にいやだったので

「わたしが応援します!」
とつい言ってしまった。

「ほ、本当!?ありがとう!ブラック・マジシャン・ガールが応援してくれれば絶対勝てるって信じてるんだ。」
そんな心の動きを知らずにこちらは無邪気に喜んでいる。

「べ、別にマスターのためじゃなくて他の人にこんな事させられないし迷惑かけちゃダメだから私がやるんですからね!」
そんなに自分に応援してもらうのが嬉しいのかと胸が熱くなり、後半なにを言ってるのかわからなくなってしまった。

まあ、これでがんばってくれるなら少しくらい恥ずかしい事も我慢しようと決意するブラック・マジシャン・ガールだった。


ブラック・マジシャン・ガール


が、しかし・・・。

「チアガールなんだからもっと足あげなきゃダメだよ。」

「え?もう無理ですよ。これ以上あげたら下着が見えてしまいます。」

「チアガールなんだから大丈夫。さあはやく足上げてパンツ見せて。そうすればデュエルに勝てるから。」

「!!?・・・・・」
聞き捨てならない言葉にピクッとブラック・マジシャン・ガールが反応する。

「あれどうしたの?応援は?」

「マスター・・・今、パンツ見せてって言いました?」
両肩がわなわなと震えている。

「ギクッ、い、言ってないよ。」
その肩の動きはブラック・マジシャン・ガールがこれから怒る時のサインである。

「最初からパンツが見たくてチアガールさせようとしたんですね!?」

「あわわわ・・・」
どうしよう、謝る、いや逃げるかと思ったその瞬間

ガシッと両足を掴まれた。

「うわっ、な、なにする気?」

「チアガールの見本を見せてもらおうと思いまして。」
言葉使いが妙に丁寧な時はブラック・マジシャン・ガールがこれから凄く怒る時のサインである。

そのまま凄い力で足を引っ張られる。

「うわっ、いたたたっ!?もう無理上がんないです。」

「がんばればもっと上がるでしょう。」
微笑を浮かべたままさらに引っ張られる。

「あ、足が裂けちゃう、ぎゃあああああ〜」

グキッと妙な音を立てて、意識を失いながら
応援って本当に命にかかわるなと納得するマスターだった。



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