ブラック・マジシャン・ガールとマジシャンズ・ヴァルキリアが言い争っていた。


「ガールが悪いんですよ!」


「なんで私のせいなの!?」


名前を3分の一くらいに略されたブラック・マジシャン・ガールは憮然とした表情になった。


「そんなエッチな格好してるから、マスターもだんだんエッチになっちゃうんです。」


「別にエッチな格好じゃ・・・」


スカートの裾を引っ張りながら、自分の服を確かめる。


ひらひらしてるけど、とくにおかしいところはないと思う。


「肌色が多いのはエッチなんですっ!」


「肌色!!?」


自分の手や足を交互に眺めると・・・

確かに肌色は多かった。


「あと闇属性はなんかエロい感じがします。」


「そんなことないっ!」


よくわからない理屈で怒られたブラック・マジシャン・ガールは

とりあえず元凶を正すことを決意した。


「マスターのせいで私まで怒られたじゃないですか!」

の一言を皮切りにくどくどと説教する。


最後に

「いいですか!エッチなことは今後一切禁止ですからね!」

と念を押して締めくくった。


それまで黙ってじっと聞き入っていた元凶ことマスターがはじめて口を開いた。

「パンツ見たりするのはエッチなことに入らないよね?」


ボカッ!!





それからしばらくして、懸命な教育(ボカッ!!っとすること)のかいもあって


マスターはとりあえず真面目というか普通になった。


マジシャンズ・ヴァルキリアは喜んだが


ブラック・マジシャン・ガールはなにか腑に落ちない。


真面目になったけど覇気が感じられない。


これではデュエルで勝てないし


なによりこんな元気のないマスターは嫌だった。


これなら前の方がましだ。


元気を取り戻させるにはどうしたらいいか・・・

方法はすぐに思いついた。


いつものマスターに戻ってもらえばいいんだ。


よしっ!と決心すると同時に

これはマスターのためで私がエッチなわけじゃないんだからと自己弁護もする。


「コホン」

わざとらしく咳払いして、注意を引く。


「あの・・・マスター」


呼びかけて、視線がこちらへ向くのを確認すると


ブラック・マジシャン・ガールはゆっくりと前に倒れるように両肘をついた。


ほとんど四つん這いのような形になる。


そして、躊躇いがちにおしりを少しだけ持ち上げた。


「この前のデュエルでミスしたので、反省として・・・」

そこで一旦、区切って、恥ずかしさを押さえ込んで言葉を継ぐ


「その・・・お、おしりをペンペンしてほしいというか」

自分が言ったセリフで顔が真っ赤になる。


ブラック・マジシャン・ガールの突然の行動に固まっていたマスターはその一言で我に返った。


「えーーーっ!」


恥ずかしさと緊張で顔を上げられないブラック・マジシャン・ガールは

顔を伏せたまま視線を合わせずに声を放つ。


「ス、スカートの上から軽く」

と言いかけたところで、ガチャリとドアが開く。

そのドアを開いたマジシャンズ・ヴァルキリアの瞳に

ブラック・マジシャン・ガールのパンツが見えそうなくらい四つん這いの姿が映った。


「な、なにやってるんですか!??」

わなわなと肩を震わせて、二人に詰問する


「これは違うの、ええと」


ブラック・マジシャン・ガールはなにか良いいい訳がないか考えて

そうだ!転んだことにすればいいんだ、そう言おうとしたところ


「ブラック・マジシャン・ガールがおしりを叩けって言って。」


先に本当のことを言われてしまった。


正直に言わなくてもいいのにとマスターを恨みつつも精一杯の抵抗を試みる。


「ち、違うの!変な意味じゃないんだからっ!」


「変な意味以外になにがあるって言うんですか!?」


「やっぱり闇属性はエロなんですね!」


「ちがーうっ!!」


ブラック・マジシャン・ガールの叫びが空しく響き渡った。





「とりあえず二人のおしりをペンペンすればいいのかな。」


「そんなわけあるかーっ!!(×2)」


こっちはこっちで元に戻っていた。



ブラック・マジシャン・ガール





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