《仕置人山崎雀 登場人物紹介》
裏稼業。「仕掛」「仕置」「始末」「仕事」などと呼ばれるが、要するに、金で殺しを請け負う者たちの総称。しかし、殺す相手が悪人でなければならない、という暗黙の了解がある。全国に「始末屋」と呼ばれるグループがたくさんあり、それを束ねる組織がある。そこでは組織の元締めが配下の仕置人を統合している。基本的に、仕置人は元締めの支配下に置かれる事となる。近畿では京の「龍の会」、大坂の「寅の会」が大所帯だからか有名。
龍の会は、京に本拠地を置く、仕置人を束ねる組織である。元締めは辰蔵。月に一、二回、「辰の日」に屋敷で「会員制の句会」と称して仕置人たちを集め、そこで殺される人間を競りにかける。名前は、辰蔵の俳句によって示される。例えば依頼が百両だった場合は、九十九、九十八といったように、仕置人たちが値段を下げていき、一番低い値を付けた仕置人に落札される。
龍の会には厳しい掟がいくつもあり、それを破った者、裏切った者へは、赤目の鎌が容赦なく振るわれる。
<龍の会・烈グループ>
山崎雀(やまざき すずめ)
大坂生まれ。表の仕事は新選組監察。背は低く(150cm)、少し長めの髪に大きな
烈(れつ)
自称越後生まれ。表の仕事は祇園近くにある接骨院の主。背は180cmと、かなり高く、髪はかなり短く切りそろえている。目鼻立ちははっきりとし、特に目は大きく鋭く、役者顔の男前である。性格は豪放磊落で乱暴者、口より先に手が出るような性格。口調も荒っぽいが、人情には篤い。仕事はきっちりとしており、接骨院はある程度繁盛しているようだ。越後で生まれ江戸で育ったらしく、ばりばりの江戸弁を使う。どうして裏稼業の人間になったのかは定かではないが、その腕は一流。以前、龍の会の元締めや、如月と組んで仕事をしていたらしい。殺しの得物は、自らの手である。その並外れた握力で、相手の首や背骨をへし折る。その技からか、「夜叉の烈」と呼ばれる。
如月勘十郎(きさらぎ かんじゅうろう)
江戸生まれ。旗本の次男坊であった。表の仕事は京都見廻組である。背丈は烈より頭一つ小さく、顔つきはかなりの童顔。冷静であまり感情は表に出さない。次男であったため、武者修行に出ると称して家を飛び出し、各地を流浪して剣術を極める。この時に仕置人となったようだ。たまたま江戸に戻っていた頃、兄の命がもう長くないという知らせを聞き、家に戻り家督を継ぐ。殺しの得物は当然刀である。様々な剣術を駆使しているが、特に抜刀術を得意とし、更に不意打ちをかけて冷徹に始末する。刀身が120cmはある長刀を使用した、居合抜きの抜刀のスピードは、通常の人間の目では捕らえられない程で、その間合いに入った敵は、一瞬で真っ二つにされる…が、本人は「不意討ちで殺せれば一番いい」と思っており、不意討ちや騙まし討ちの方が多い。
<龍の会・幹部>
辰蔵(たつぞう)
「龍の会」の元締め。左目に眼帯をした鋭い目つきの男で、通り名は「骨唐傘の辰蔵」という。元々は某藩の役人であったが、ある事件をきっかけとして脱藩し仕置人となったという。後に片目を失い仕置人を廃業するものの、その人徳は周囲の仕置人を集め、ついに京で「龍の会」を結成するに至る。性格は義理人情に
雷蔵(らいぞう)
能面のような顔をした男。以前は大坂の商人で、温厚な人柄で知られていた。しかし裏の顔は、階級を問わぬ依頼人から内々に金を貰い、傘下の仕掛人を動かし人殺しをする暗黒街の顔役である。大坂では山崎雀をその傘下に入れていた。数年前に店を息子に譲り、京で隠居生活をおくっているが、「龍の会」に足を運び、俳句を読み上げたり、その他の雑務を行っている。
赤目(あかめ)
辰蔵の護衛であり、龍の会配下の仕置人たちの監視役を務める、最強の仕置人。笠や黒い布で顔を包んで居る為に顔は見えないが、その奥から赤い目だけが光っている。顔つきは男とも女とも分からず、なぜ彼が辰蔵の右腕となっているかは不明である。得物は仕込み鎌と組紐で、裏切りや掟を破った仕置人の首を斬り捨てたり、吊り上げたりする。
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