槍沢から槍ヶ岳
登山実施  実施日(2002年4月30日,5月1日)  実施者 中村@多摩
 昨年8月に新穂高より槍ヶ岳に挑戦しているが悪天の為、敗退しているが今回槍沢から
再挑戦し、前回歩けなかった岐阜側に下ってみた。4月30日はまた悪天となり頂上付近では
突風とみぞれ混じり雨及び視界20mくらいのホワイトアウトでだいぶしぼられた。この時期では
雪が多く登り下りとも、大雪原の登高となる。

4月29日
  23:00 新宿都庁駐車場よりさわやか信州号上高地行きに乗りスタート。
4月30日
   6:00 
沢渡にて低公害バスに乗り換え、
上高地に到着。朝食及び登り始める準備をし、
   6:30 傘をさして雨の中歩き始める。
   7:10 明神到着。すでにこの道は何回も来ているのでそのまま歩き続ける。
        対岸が見えるあたりで一休み。
   8:00 徳沢園、雨が上がらず、軒下で雨宿り。
   9:00 横尾着。涸沢からの下山者が本谷橋より多い。槍ヶ岳方面からはいない。
   10:00 一の俣 鉄製の橋を渡る。雪解け水が多い為か流れが速い。この辺より
        残雪がある。蝶が岳への分岐標識あり。
   10:30 槍沢ロッジ着。小屋の人が除雪車で行きを飛ばしている。ここからは
        本格的な登山となる。雨傘を折り畳み雨具のフードをかぶる。まだこの時は
        風が強くなる気配がなく、もう3〜4時間は根性出すことにした。
   11:00 旧槍沢小屋跡には天幕2張。今日の雨の為停滞している。これからは雪原だ。
        数人の下山者に出会った。
   11:45 大曲り。東鎌尾根が近づいてくる。段々傾斜がきつくなってくる。この辺より
        雪面に赤旗が取り付けられ、ルートを確認する。風が強くなり、視界が1つ先の
        赤旗しか見えなくなってくる。
   13:30 傾斜がきつく、突風が吹き出す。アイゼンをつけ、ストックで3点保持しながら
        やり過ごす。すでに3000m近くまで来ているので50歩歩き息を整える。
        久しぶりの3000mなので息がパクパク。空気が薄い。おまけに寒い。
        現役の時でもこの状態なら停滞だ。今回は小屋泊まりだ。ヒュッテまで
        行かなければならない。
     14:50 待望の殺生ヒュッテに着く。全身濡れ、ストーブの火に1時間かぶりつく。
        テントではいつも寝袋の中で震えているところだ。山小屋のありがたさが身に
        しみる。6:00夕食と翌日6:00の朝食をお願いする。

    
   殺生ヒュッテは昔をしのばせる山小屋だ。裸電球が灯り、蚕式の寝室となっている。
        この天候では明日は登る事は無理だ。小屋に4名の登山者が停滞していた。
        小屋のテレビの天気予報も明日は雨を告げている。
   19:30 布団に入る。明日天気の具合でどうするか、地図と検討する。
         夜中は風と雨がさらに強くなっているのが聞こえる。

5月1日
     5:30 起きると雨風が強い。天気の良くなるのを時間待ち。朝食を終え、外の状態を見て
        いると急に風がやんできた。しめた行ける!。
     6:40 雨は降っているが急いで準備し、出発。完全装備で出かける前に小屋の人に
         ありがとうございましたと挨拶すると奥から出てきて声をかけてくれた。
        昔ながらの雰囲気に感謝。
    7:40 稜線到着。相変わらず、視界が悪い。
       昔の記憶ではこの時期はまだ頂上に雪が
       着いていると思い、ザックから アイス
       ハンマーを取り出し、アイゼンのまま、登る
       事にする。
    8:00 槍登頂を始める。ガスで全体が見えない
        ので慎重に登る。鉄の梯子や岩角に
        アイゼンを乗せ凍った雪はハンマーの
         ピックで支点にし、登る。
    8:30 頂上には祠のみ。狭い頂上からは霧で
       なにも見えない。東鎌、北鎌尾根が時々
       わずかに見えるのみ。少し待つとお日様が
       顔を出し始める。遠く稜線が見え始める。
       お昼にはよい景色が見られるだろうに。
       槍上部は登り下りがルートが分かれている。
       渋滞解消だろうが、するすると歩けないから
        これでも渋滞はするだろう。
    9:10 戻り、下山を始める。テント場をすぎ、
       飛騨乗越。ここから飛騨沢の雪原をまっすぐ
       下る。傾斜は槍沢上部程ではない。前日の
       雨にも関わらず足跡が残っていた。
   10:50 槍平小屋に到着。まだ屋根まで雪に
       埋まっている。ここまでに会った人1名。
       このほか下山まで人にも会わない。
       静かな山旅ができる。

  12:00 滝谷出合。ここまで沢沿いに進んで来るが夏道がデブリで埋まり、デブリの上を
       わずかな足跡を頼りに進む。滝谷出合の沢が雪に埋まり、急流となっている。
       夏あった橋がない。100m程登り、スノーブリッジの上を渡り、元の場所に下る。
       沢沿いに進み、夏道と思われるルートをを見失う。
  14:45 蒲田側右俣発電所に到着。白出の出合で上流を渡るべき所を沢沿いに進んで
       しまったので夏道と違うルートとなってしまった。昔のルートの様だが藪こぎや
       枝沢を越えるのに苦労する。
  15:30 新穂高に到着。松本駅直通バスがない。バス切符売り場の窓口で聞くと、平湯経由
       ならば帰れるとの事。15:47出発。
  16:20 平湯バスターミナル着。松本直通が17:40との事。駅前ターミナル3Fの露天温泉で
       汗を落とす。緑色した、天然温泉だ。600円は得した気分でゆったりし、恒例の
        ビールを飲んで待つことにする。
  19:15 松本駅前に到着。20::00発のあずさで帰る。  
 


飛騨沢下部の雪渓

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 今回は雨の中無理したが晴れていれば絶好のルートだ。殺生ヒュッテまで入れれば1泊2日の
行程だ。だが蒲田側(岐阜県側)に下るとすればルートがはっきりしない。
泊まるべき槍平小屋も営業していない。
相当時間の余裕を見て行動しないと槍平冬季小屋でビバークにならないとも限らない。