2/17ニュース(「中国新聞ホームページ」掲載より一部引用)
被爆者援護法に基づく在外被爆者への健康管理手当をめぐる訴訟で、ブラジル在住の被爆者三人に対し、時効を理由に支払われていない計約二百九十万円を広島県に支払うよう命じた広島高裁の判決について、県は十六日、最高裁に上告する方針を明らかにした。二十一日、県議会二月定例会に議案を提出する。…(以下、略) |
サンパウロ 2006年2月16日
広島県知事
藤田雄山 様
在ブラジル被爆者健康管理手当等請求控訴上告の撤回を求めます。
昨日夜、(日本時間16日)、私たち在ブラジル被爆者協会役員は、サンパウロのサンタ・クルス病院(日本に行けなくて健康管理手当の申請が出来ない被爆者の検診を無料で行って下さっています)の健康診断病棟の開所式に招かれて出席し、招かれていたブラジルの各界の代表者から、今回の裁判勝訴の祝いの言葉を受けていました、この時間の少し後広島県では、裁判の上告(をする方針の表明)をなさっていたのですね、まことに残念です。
上告内容を見ますと、福岡高裁の広瀬裁判、長崎市民としての裁判と、ブラジルからの外国に居住権が有ると言うだけで訴えを退けられた裁判を、判決に食い違いが有ると言うだけで上級審の判断を求めると言うことは、訴えが異なるのですから司法判断が異なるのは当然で、我々としては受け入れることは出来ません。
世界で唯一の被爆国日本の、広島市を統括する首長として貴方様は上告を決意されたわけですが、貴方は広島に生きる人として、全世界に向けて戦争を無くし、原爆を全廃するように向けて発信する要になる人です。その方がただ外国に居住権が有ると言うだけで、差別を受けている被爆者を救済しなくて、何のための広島の首長ですか。何のための平和都市ですか。
当協会にはイギリスの放送局などからも、この裁判にについての感想など求められています。今世界は相互依存で成り立っています。同じ人間同士の連帯の上に成り立っているのです。韓国の被爆者、北朝鮮の被爆者、アメリカの被爆者、ブラジルの被爆者、或いは世界中に散らばって住んでいる広島、長崎で被爆した、たった5000人という、被爆者を救えないのですか、日本在住被爆者と差別しているその壁を破るのは、広島県知事、長崎県知事、広島市長、長崎市長、世界ひろしといえども、あなた方4人しかいないのです。
今、世界は広島県知事、貴方の言葉に期待しています。30数年間402号通達という壁に阻まれた在外の被爆者が、ようやく壁を乗り越えられるか?或いはこのまま上訴されて又何年間か、壁に阻まれて判決を待たなければならないのでしょうか、私は今ベルリンの壁が崩壊したときのことを思い出しています。あの時世界中の人々がどんなに喜び祝福したことでしょう。もし上訴されますとその間援助を受けられずお亡くなりになる方が何人いるでしょう。そしてその裁判の結果この壁が崩壊したとしたら、その方達のために貴方はどうするつもりですか。その事をお考えになられましたか。
全ては貴方様の手の上に有ります。世界も注目しています。被爆国の県知事として、力強く、勇気と、決断力をもって、捨ておかれた在外の被爆者を援助しますと、大きな声で宣言して頂きたいとお願い致します。
在ブラジル原爆被爆者協会会長 森田 隆