2004年5月6日発売 リピート・シンドローム リストカット、ドラッグ、摂食障害……少女たちの心の叫び 土筆文香著 キリスト新聞社 定価900円(税込み) 1)題名の意味するところ 自分の意志に反して同じことを繰り返してしまう症状……小説の中ではリストカット、過食、ドラッグ使用が取り上げられています。 特にドラッグは、どんなに強い意志を持ってやめようとしてもやめられない恐ろしさがあります。 2)「はじめに」より あなたは、自分のことが好きですか?十代のころ、わたしは自分のことが大嫌いでした。人のことも嫌いでしたが、いちばん嫌いなのは自分自身でした。 自分のことを好きになりたいと思い努力しました。 それでもだめで、ますます嫌いになる一方でした。 自分の存在価値がわからなくて、死んでしまいたいといつも思っていました。 3)「リピート・シンドローム」を書いたわけ この小説には実際にモデルとなる人物はいません。実際に起こったことをもとにしたのではなく、フィクションです。 また、私自身の周りでドラッグの問題で困っている人がいるわけでもありません。 私にとってドラッグは、全く知らない世界でした。 2001年9月つくば市のノバホールにて行われた「ストップ・ザ・ドラッグ」のコンサートに行ったことから始まります。 そのとき、中高生がいとも簡単にドラッグに手を出してしまう現実を知り、愕然としました。 それまでは、覚醒剤といえば、やくざの知り合いがいなければ手に入る物ではないと思っていました。 値段も高くて学生の買える物ではないはずです。 しかし、現実には街を歩いていて売人に声をかけられたり、友達に誘われて断りきれずに、あるいはその場のノリで吸ってしまう若者が後をたちません。 お金は女の子なら援助交際をし、男の子ならカツアゲなどの犯罪を犯してまでドラッグの虜になってしまいます。 この小説では主人公の七恵に援助交際をさせたくなくて、男友達と組んでの犯罪によってお金を得ることになっていますが……。 彼らは、ドラッグに手を出すと廃人になるかもしれない。死んでしまうかもしれないという知識は持っています。 学校でも覚醒剤撲滅のための講演を聞いたり、ビデオを見ているはずです。 そんな恐ろしい物と知っていて、なぜ彼らは手を出してしまったのでしょう……。 それは、彼らの心にどうしようもないほどの空しさ、さみしさがあり、それを埋めるものを求めていたからなのではと思います。 たとえ一時的ではあっても、心の空しさを埋めてくれるドラッグに惹かれていく。 その時さえよければ、あとはどうなってもかまわないという自堕落的な彼等……。 七恵の場合は、母親に捨てられたというさみしさと、母親へのにくしみがいつも心を支配していました。 誰も自分のことを本気で愛してくれない。誰も自分のことを気にかけてくれない。 その深い悲しみからリストカットを繰り返し、やがてドラッグに手を出してしまいます。 家庭崩壊が起きている今の時代、七恵のような少女が現実にいるのです。 「自分は愛されている」ということを知っていれば、起こらなかった悲劇があちこちで起こっています。 たとい親に愛されなくても愛してくれているお方がいるということを伝えたくて「リピート・シンドローム」を書きました。 |