モンチュクラの数学史




                          ,     
フランスの数学史家モンチュクラ(Jean Etienne Montucla,1725−99)の「数学史」第4巻(表紙:上)には、

「円積問題の歴史」(タイトル:中)が収録されている。ハンガリー生まれの天文学者 Franz Xaver von Zach

(1754−1832)は、640ページ(下)にあるように、18世紀の終わり近くに、オックスフォードにある、ラドクリッフ

図書館(the Radcliffe Library,Oxford)の作者不明の手稿(a manuscript)に154桁までのπの数値が

載せられているのを見つけた。その具体的な数字列は640ページのとおりで、152桁まで正しいものであった。


(参考資料) Zach男爵(Baron)の見た手稿(manuscript)については、次の3つの文献に記載がある。
        どの文献も、πの計算史について詳しく、出典も明示していて便利である。

1.W.W.Rouse Ball and H.S.M.Coxeter,Mathematical Recreations and Essays,13th ed.
                (Dover,New York,1987)pp.347−359.(see p.357)(入手可能)

  ※この本は、数学レクリエーションのバイブルとして名高い(15ドル)。手近に置きたい一冊であろう。

2.Thomas Muir,SQUARING(or Quadrature)OF THE CIRCLE
              (The Encyclopaedia Britannica,9th ed.,vol.22,pp.433−7,1887) 
       CIRCLE (The Encyclopaedia Britannica,11th ed.,vol.6,pp.384−7,1910) 


3.De Morgan,QUADRATURE OF THE CIRCLE (English Cyclopaedia,1861)
                                          (国会図書館蔵)

  *ド・モルガンには、円積問題の歴史についての著述がある。文献3によると、Zachの見たという手稿について

   調査したところ、ラドクリッフ図書館にそのようなものは見つからなかったという。Zachの、場所の記憶違い

   のために見つからないのか、リーフのようなもののために紛れてしまったのか、定かではない。

  *Augustus De Morgan(1806−71)はイギリスの論理数学者。集合におけるド・モルガンの法則で有名。