NHK少年ドラマシリーズとは?

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 1972年(昭和47年)1月1日土曜日午後6時20分、NHK総合で

「タイム・トラベラー」を第1回作品として製作され、以来10年以上の

長きに渡り、途中幾度かの編成替えを経ながら、実に99タイトルが,

世に送り出されたシリーズであります。

とりわけ筒井康隆、眉村 卓、光瀬 龍ら一流のSF作家が学年誌に連載

していたSF小説等を、映像化した一連のSFドラマは斬新で、メインの

視聴者である青少年に絶大な支持をもって迎えられました。

 当初は毎週土曜日の放送であったが、1973年4月より、毎週月曜日

から水曜日の週3回放送に、さらに1976年4月からは、毎週月曜日から

木曜日の週4回放送の帯番組となり、そして1978年3月、報道番組優先

という時代の風潮に伴い「寒い朝」の放送終了で、少年ドラマシリーズは、

一旦シリーズとしての幕を閉じることになり、その後は生放送の情報番組

「600(ろくまるまる)こちら情報部」に、その座を明け渡します。

そしてこれ以降の「七瀬ふたたび」「家族天気図」といった作品は、

子供たちの夏休み、冬休み、連休等に合わせた特集番組として製作、放送

されることになります。

 その後、1984年7月、シリーズの大半を製作していた青少年幼児部は

、NHKの大規模な組織改正により姿を消すこととなります。これに伴い、

青少年幼児部が製作していた各番組は、その番組の性格に応じて、ドラマ部

、社会教養部、学校教育部、音楽芸能部等の各部に分散・吸収されていき、

この時点で、「少年ドラマシリーズ」は完全に消滅することになりました。

 それ以降は、1996年3月、「ジュニアドラマシリーズ」と銘打って

「クラインの壷」を放送したものの、残念ながらシリーズ化にはつながり

ませんでした。

 またそれとは別の流れとして、1991年からは「ドラマ愛の詩」として

「のんのんばあとオレ」「いちご同盟」「ズッコケ三人組」「双子探偵」

「ズッコケ三人組2」「六番目の小夜子」「浪速少年探偵団」

「幻のペンフレンド2001」「ズッコケ三人組3」といった作品が制作

されました。

 「タイムトラベラー」をはじめとしてその大多数がVTR作品である

「少年ドラマシリーズ」は、放送用VTRをほとんど消去してしまった為、

現在見ることが出来ません。

 「何故NHKは、VTRを残さなかったのか?」という声が多いのですが

、その理由として、

 ひとつには、当時はちょうど、放送用のマテリアルが、一度撮ったら

再利用が利かないフィルムから、再利用(重ね撮り)が出来、編集も簡単な

VTRテープに切り替わる時期にあたり、放送用VTRテープが非常に高価

であった事にあります。今でこそ、家庭用の2時間録画が可能なテープでも

安いものは1本数百円程で購入可能ですが、当時の業務用VTRテープは、

1本で車が購入出来るほど高価であった事です。

 次に、保管スペースの問題が挙げられます。

当時、放送用の1インチVTRテープは単純にテープ幅だけとってみても、

VHS、ベータの2倍、ケースまで含めると、1巻で10枚組LDボックス

並の大きさになりまして、NHKの場合、当時でも総合・教育2チャンネル

分の番組を放送しており、その全てを保管しようとした場合、膨大な

スペースが必要となり、現実的には不可能であった事です。

 次に著作権の問題。NHKでは、原作者や出演者に放送料を支払う場合、

契約内容に放送回数が設定されている場合が多く、規定の回数の放送が

済んだものについては、作品が残っていたとしても、原作者や出演者等と

再度契約し直さない限り放送出来ない、という事です。

 そして最後に、二次利用が考えられなかった事です。

当時は、現在のように放送後、番組がすぐソフト化されるなどという状況が

到来する事などを予見する者など誰一人として居りませんでした。

家庭用VTRの登場する1975年以前と以降では、社会情勢が大きく

異なっていたという事です。

 以上、NHKにVTRが残っていない、という主な理由を、簡単に御紹介

致しましたが、いずれにしても当時の作品を、もう一度、という声は今も

途切れることは無く、ネットでもHPを開設しておられる根強いファンは

数多く居られます。

 近年、「タイムトラベラー」の最終回のVTRが、奇跡的に発見され、

DVD化されました。ひょっとしてまだ他に・・・と思うのは、私だけでは

ないのでは、と思います。

参考:「HHK少年ドラマシリーズのすべて」

文中解説に、加筆致しました。



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