No.6 「影のメロディー」 ’68/ 5/11

君の身体に流れる日本人の血が、私と言う人間を信じてくれるはずだ」

ムンガ秘宝展の≪ターナーの奇蹟≫が、すり替えられた。
タイムリミット午後3時までに、ムンガ共和国と日本の協定を阻止する謀略を、未然に防げ!



東京でムンガ秘宝展が開催されると同時に、
国際スパイ・ハンスが、殺し屋の秘書キリーを連れて来日した。
啓子と黒木がマークを開始、風間の手引きで会話を盗聴する。
日本とムンガ共和国の協定破棄を狙った、
ムンガの秘宝≪ターナーの奇蹟≫のすり替え事件が発覚。
風間はユミと、怪しいゴーゴークラブの店長をマーク、
手がかりを探すが捕らえられ、危機一発!黒木と啓子が救出する。
ムンガ共和国美術長官の羽田到着は午後3時、タイムリミット迄後わずか。
事件の鍵を握るのは、「明美」こと黒木が助けた「シモーヌ」。
シモーヌが黒木に秘宝の隠し場所を教えると、
秘宝展に煙幕を張りすり替え走り去る、我らがキイハンター。
禿げ鷹・ハンスは敗北と言う屈辱を抱いて、日本を去った。


スタッフ プロデューサー 近藤照男 坪井久智
監 督 島津昇一 脚 本 小川 英
撮 影 西川庄衛 原 案 河野典生
録 音 岩田広一 照 明 酒井信雄
美 術 北郷久典 編 集 大橋四郎
記 録 とうまひろ子 助監督 山内 柏
擬 斗 日尾孝司 音 楽 菊地俊輔
進行主任 古村晴夫 衣装デザイン 大塚キミ子
現 像 東映化学工業(株)






キャスト 黒木鉄也 津川啓子 谷口ユミ 風間洋介
ナレーション:芥川隆行

ゲスト 楠 郁子 上田忠好 田武謙三 フランツ・グルーバー
水原仗ニ 岡野耕作 三島 耕 カール・ヘンリー
都 健二  チャーリー・ギルモア 他


プロフェッショナル キイハンター
≪赤いシグナル≫



プロフェッショナル キイハンター 次の赤いシグナルは・・・
美しく怪しい魅力の混血女、どこから来たのか誰も知らない。
某国から日本に運ばれた、世界的秘宝”双頭のスフィンクス”
これを狙って影に犯罪のメロディーを奏でるのは、名の売れたプロ一味。
迎え撃つキイハンターもご存知熟練の腕前。
ダイヤモンドをちりばめたターナーの奇蹟を巡り、いずれが最後に笑うのか。
キイハンター、次のシグナルは、「影のメロディー」



 ストーリー 

 真夜中のムンガ秘宝展会場、見回りに来た警備員が、非常ベルのボタンを外し時計を見て、窓を開け「もう大丈夫だよ」と言うと、サングラスに覆面をした男がバックを手に入って来た。警備員に出て行くように合図し、《双頭のスフィンクス》のケースを外して、中から『ターナーの奇蹟』を取り出すと、偽物を置いて去る。
 マンションの部屋で軽快な音楽に合わせ足でリズムをとる女のもとに、昨夜の警備員が「指図どおりにやったが何も無くなってない、まるで狐につままれたみたいだ」と笑いながら跪き「明美、約束は果たした、薬(ヤク)をくれ、俺の女になってくれる約束だ。」と言って、足に縋りつく。「ヤクはやらない、死んでもらう。」と言う女・明美の言葉にうろたえる警備員。サングラスの男が現れて「お前にはもう用は無い!」と、鎖を手に警備員に襲い掛かかった。息絶えた警備員の横で、煙草を片手に足でリズムを取リ続ける明美は、大きな宝石の付いたリングチェーンのブレスレッドを手に取った。 

                           【影のメロディー】

 ゴーゴークラブで、生バンドにあわせて若者たちと踊るユミ。黒木に連れられ啓子と風間も入って来た。ボスの若返り作戦ね!と言う風間に、黒木はカウンターの奥の男を見て話し始める。店長の中国人、チャン・パイミンは、経歴その他一切不明、3年前から日本に住み客商売に盛んに手を出し、最近、ハンスと言う外人と頻繁に連絡をとっている。啓子が、世界的スパイね!とハンスの説明をすると、黒木は、奴は<殺人業者>といった方がいいと訂正した。顔を見合わせる啓子と風間に、階下のフロアーからユミが、一緒に踊ろうと声を掛ける。お子様は一人でやってらっしゃいと言う風間の言葉に、もう助けてあげないと膨れっ面。ユミを笑って見下ろしながら、俺たちの仕事は?と風間が訊くと、黒木が話し出した。黒木自身の直感による今回の捜査は、明日、秘書で殺し屋のキリーと共に来日するハンスの裏の目的を、探りだす事。あらゆる国際紛争をマークし巨額の金をせしめる禿げ鷹ハンスが、何の目的も無しに日本に観光旅行に来るはずが無い。早速、啓子と黒木が、羽田空港で秘書キリーと到着したハンスを確認し、車で待機した風間が啓子を乗せて二人の乗ったタクシーを追跡、滞在するホテルを突き止めた。
 黒木が向かいの部屋から望遠鏡で監視、啓子は盗聴器の横でスタンバイする。一方、ハンスたちも双眼鏡で黒木たちの部屋の下の階の部屋を見ていた。ホテルのボーイを買収した風間が、ボーイに成りすまし底に盗聴器を付けた食器を乗せたワゴンを、ハンスの部屋へ運ぶ。食器を丁寧に眺め始めるハンスを見て、風間はシャンパンをこぼして気をそらし盗聴器の発見を防ぎ、部屋を出る。スペイン語で話し出した二人の会話を、通訳して黒木に伝える啓子。邪魔な女・シモーヌの部屋に何か仕掛けると聞き、黒木はシモーヌの部屋を聞き出そうとフロントへ電話をかけると、フロント係がちょうど戻って来たシモーヌを呼び止めた。早速、黒木はシモーヌに接近、ホテルのロビーでコーヒーを片手に彼女の素性を聞き出す。フランス人とのハーフで、日本人の母を持ち、『ターナーの奇蹟』のファンだと言うシモーヌは、王宮の奥深くにあり普段は絶対に見る事が出来ない『ターナーの奇蹟』が、上野の美術館のムンガ秘宝展で特別公開されると知って、飛んで来たのだと話す。身分を訊かれた黒木は、外国の方に宝石を売る商売をしていると言ってハンスの写真を取り出すと、見覚えはないかと聞く。知らないと言うシモーヌに、彼らが貴方の妙な噂をしていた、貴方が邪魔だと言っていたと話して、彼女の身の安全の為に一緒に彼女の部屋の中を調べる。クロゼットの異変に気付きシモーヌを避難させた黒木は、ベルトとネクタイを結び、壁の影から扉を開けた。その瞬間、クロゼットは爆発した。
 シモーヌを安全な場所へ移そうと、黒木は、彼女が日本で唯一知っている古美術商”ヤナガワアート(YANAGAWA ART)”を訪ね、店主の好意でシモーヌは3階へ身を寄せることになる。シモーヌが店に飾ってある大きな仏像に目をとめると、店主は中国人が委託販売を頼んできたが、あまりの高値で売れるはずないと笑ったが、シモーヌは、見事だと言って真剣な顔で、仏像を見つめていた。
 3階の部屋へ上がると、黒木はムンガ王国と日本の間で重大な協定が結ばれようとしている事、もしムンガ秘宝展で事件が起きれば協定が破棄される、それを狙って利権を失いかけた国が体制を挽回する為の陰謀を計るプロの悪党たちが、秘宝展に毎日通う秘宝を良く知る貴方が邪魔者にな、り命を狙ったに違いないと話す。是非、明日一緒に秘宝展に行って、本物かどうかを確認して欲しいと頼む黒木に、貴方が嘘を言っている間は何もしないと、シモーヌは断わる。黒木は、シモーヌの肩を抱き、君の身体に流れる日本人の血が私と言う人間を信じてくれるはずだと訴える。黒木の熱く訴える声を聞き、シモーヌと呼んでくれたら、あたしの命を助けてくれた貴方を信じ、明日美術館に行きますと、瞳を閉じて黒木の胸に身を任せるシモーヌ。黒木は、彼女を見つめると、そのままそっとその身体引き離し、お休みシモーヌと言って部屋を出た。
 翌日、黒木、啓子、ユミの3人が、シモーヌとムンガ秘宝展にやって来た。皆本物、大丈夫と言うシモーヌだが、黒木はもう一度良く見て欲しい、『ターナーの奇蹟』をもう一度だけ見て欲しいと、繰り返し頼む。3人が見つめる中、暫く『ターナーの奇蹟』を見ていたシモーヌは、目を閉じ遂に、偽物だと言った。
 ヤナガワアートの3階では、キイハンター3人が、犯人は何時どうやって厳重な警備をくぐり抜け、偽物とすり替えることが出来たのかと、頭をひねっていた。突然、ユミの頭脳コンピューターが回転し始め、ムンガ秘宝展の警備員行方不明の記事を思い出した。啓子と黒木も、サイケのチャンが計画を立て、女を使って警備員を利用しすり替え、ハンスがその確認の為に日本にやって来たと、推理する。幸運な事に、見事な出来栄えの偽物に気がついた者は、まだ誰もいない。まだ、本物を見つけ出しすり替えるチャンスは残っていると、勢いづく3人に、突然、シモーヌが、無理です、ムンガ王国の美術長官が3時に羽田に到着し、必ず見破るだろうと言う。本物は、何処に?手がかり無し、残された時間は後僅か、考え込むキイハンターの3人。
 港付近の埋立地に、ハンスとキリーの乗った車と、チャンと明美が乗った車が止まり、計画の打ち合わせをしていた。我々の計画は完全だ。美術長官の発表で世界中が事件を知り、協定は潰れて我々には報酬がたっぷり入る、楽な仕事ね、安心してやってくれたまえと、ハンスは余裕たっぷりで笑う。明美に、ご苦労だがもうひと仕事、貴方の事だから絶対に失敗しないと思うよとハンスが言うと、二台の車は、互いに反対方向へと走り去っていった。
 ホテルのロビーの時計が、12時間10分前を指している。黒木が待ち構えるロビーに、ハンスはキリーを連れ戻って来た。黒木が呼び止めると、ハンスは身構えるキリーを制し、余裕でソファーに腰掛ける。黒木に、貴方を刑務所に入れてその名を高めてあげましょうと言われ、つまらない冗談だと笑い飛ばすハンス。キリーは後ろのカウンターでコーヒーを片手に、聞き耳を立てていた。
 一方、 啓子は780号室のハンスの部屋へ忍び込み、手がかりを探す。風間とユミはゴーゴークラブで、一時半になってもボス達が現れなければ、二人でチャンの事務所への潜入作戦を開始しようと、若者に紛れて踊っていた。
 ホテルのロビーでは、ハンスと黒木が対決中。どうやって私を捕まえるのかと、自信満々に聞くハンスに『、ターナーの奇蹟』の窃盗罪、そうでなければ、殺人未遂、シモーヌと言う女性を狙う話しを聞いたと、答える黒木。しかし、ハンスは、盗みは初耳だ、盗聴は証拠にならないと、相変わらずかわらず不敵の笑いを浮かべる。708号室の啓子は、まだ手がかりを見つけられず、電話のベルもそのままに探し続ける。日本と言う国をあまり見くびらん方が良い、お前らのような悪党を殺す法律ならいくらでもあると、迫る黒木に、君はスパイであるよりも前に人間だから私には絶対に勝てないと言って、ハンスは席を立つ。俺がもしあんたに勝ったら、その言葉を額にして飾っておこうと、黒木も立ち上がるが、キリーがいないことに気付く。780号室の戸が開き、ナイフを手に啓子に忍び寄るキリー、気づいていた啓子がスペイン語でプロなら鏡の使い方に注意したらとナイフを避けて、キリーの腕を掴むと投げ飛ばしナイフを投げかえして、ご免遊ばせ!と余裕の挨拶をして部屋を出た。
 ゴーゴークラブでは、時間を確認した風間が、帽子とサングラスをユミに預け準備万端、怖がるユミの鼻にチュ。ユミが風間を突き飛ばして戦闘開始!風間と客との乱闘が始まり、店員も降りて来て大乱闘。その隙に、ユミは事務所を捜索するが、チャンに見つかり資料を投げて応戦するも、多勢に無勢、最後には二人とも捕まり、事務所の椅子に背中合わせに縛られる。「俺は客だぞ!」と怒鳴る風間に「あの踊りが好きか」と聞くチャン。好きだから来てるんだと言い返す風間に、「そんなに踊りが好きなら、もっといいことを教えてやろう、一度やったら絶対止められないもっと素晴らしい事だ、もっともっと痺れるよ〜」と、ニヤニヤしながら注射器を取り出した。「麻薬か、それであの警備員を・・・」と思わず口を滑らせた風間に、ニヤリとして正体わかったと言って注射針を指そうとした時、ユミが叫び声を上げた。同時に、黒木と啓子が部屋へ飛び込み、黒木が、店員の銃を奪ってチャンたちに突きつけた。啓子がユミの縄を解く間に、隙を見てチャンが鎖を手に黒木に襲い掛かり、首を締め付ける。「ボスが死んじゃうよ!」と焦る風間も、縄を解いてもらって一緒にやっつけた。黒木がチャンを締め上げ『ターナーの奇蹟』の隠し場所を聞くが、チャンの口は硬い。啓子が焦って時計を見ると、すでに2時5分。その時、キリーのナイフがチャンの背中に刺ささり、チャンは息絶えた。
 キリーを見失い、手がかりを失ったキイハンターのメンバー。その時、ユミが、書類を投げられチャンが顔色を変えたことを思い出した。全員で書類を調べ、黒木が柳川美術の「委託販売預かり書」を発見。「ターナーの奇蹟」はあの変な仏像の中だと黒木が言った時、又も、キリーの銃弾が飛んで来た。弾ははずれ、キリーは逃走。黒木は、急いでヤナガワアートへ電話をかけ、店主に、危険だからすぐ近くの警察へ、中国人から預かったブロンズの女神像を届けて、避難するよう伝えるが、店主は何者かに襲われ電話は切れた。
 車でヤナガワアートに急行するが、すでにブロンズ像の中身は消えていた。倒れていた店主を助け、急いで3階へ上がって来た黒木を見て、シモーヌが抱きつき「下で荒っぽい物音がしてアメリカ人のような声がして怖かった柳川さんに何かあったのですか?」と聞いた。「それを俺に聞くのはおかしいだろ”明美”。」と言う黒木の言葉に、驚いて落としたバックの中から、宝石のついたリングブレスレッドが転がり出た。顔色を失いながらも、シモーヌとして振舞う明美に、黒木はキリーが店から辿り着くには早すぎる事、ここにいたハンスの仲間が店主を襲った事、ハンスが盗聴を見破っていた事、クロゼットの爆弾は実は黒木の命を狙っていた事を話し、チャンが麻薬で男や女たち、そして明美も操っていたのだと言った。遂に、明美は、自分は新宿のバーをうろつくハーフで、麻薬でチャンやハンスの言いなりになっていたこと認め、世界を驚かす事をやった、後悔していないと、開き直る。まだ終ってない、本物を取り返すと、自信有り気に言う黒木に、明美は、キリーを呼び、勝負はもうついていると言う。しかし、君は贋物だと教えた、悪女ぶるのはやめろと、黒木が迫る。シモーヌと呼んで見つめ訴える黒木に、思わず明美が隠し場所へ視線落とした時、キリーの銃が火を吹いた。銃弾を受けた明美を抱きかかえる黒木に、キリーの銃がむけられた時、ドアから啓子が、窓から風間が突入した。黒木と風間が2人掛かりでも、啓子が脇から応援しても、手ごわいキリーに苦戦。とどめを刺したのは、倒れたままキリーの銃の引き金を引いた明美だった。腹を打たれたキリーは、窓から転落。風間がキリーの死亡を確認した時、時計の音が鳴り、思わず啓子と黒木はペンダント時計を見つめた。
 羽田空港にムンガ王国の美術長官が到着し、長官の乗った車は、秘宝展会場へ向かって走り出す。
 明美は、『ターナーの奇蹟』の隠し場所を伝え「シモーヌ」と呼ばれながら黒木の腕の中で息を引き取った。
 美術館に向かうキイハンター。『ターナーの奇蹟』の入ったバックを持った黒木を先頭に、啓子、そして、ユミと風間が小さめのスーツケースを手に、展示してある部屋に入る。様子をうかがいながら、黒木の合図を待つ。長官の車が秘宝展会場へ到着する迄、あとわずか。『ターナーの奇蹟』のケースの回りで黒木が合図すると、ユミと風間がスーツケースを開きスイッチを入れ煙幕を出す。火事騒ぎの混乱中、啓子がケースの鍵を開け黒木が本物の『ターナーの奇蹟』を元に戻し、滑り込みセーフ任務完了!あたし達の勝ちねと、笑顔のユミ。黒木が「ハンスは屈辱を抱いて日本を去って行くさ」と言うと、キイハンターのメンバーも煙の中、笑顔で消え去った。



― Tik局長の感想記 ―

キイハンターの台詞はクールで、オシャレで、カッコイイ!そして愉快?!
局長の感想と、セリフと一緒にまとめてみました。
セリフ・・・・
黒木鉄也津川啓子谷口ユミ風間洋介
島竜彦・・・今回お休み)
ムンガ王国(何処にあるのか?!)の秘宝すり替え事件を、いち早く察知し動き出すキイハンター。黒木は、美しいハーフの女性・シモーヌといいムードだが、手ごわい敵・スパイのハンスとはクールに火花を散らす対決シーンも見物。啓子はスペイン語の通訳や室内捜索と、スパイの腕をフルに発揮、風間はボーイやフーテン兄ちゃん?に扮装、最後は捨て身の大乱闘。ゴーゴーを踊る姿が一番似合うユミは、子ども扱いされ膨れてもコンピューター頭脳をフル回転、秘宝の隠し場所の謎を解く手がかりを掴むが、荒っぽいお仕事はまだちょっと苦手?タイムリミットを睨んだスパイとの攻防、謎の女・明美の正体が最後に判明し謎が解けるサスペンス仕立ての展開は、ラスト4人の笑顔でキイハンターのチームワークの勝利!今回もお休みの島ちゃんは、スマイルもお預け。黒木ボスの長台詞の見せ場を中心に紹介。
サイケなゴーゴークラブ。ユミはゴーゴーダンス中、黒木、啓子、風間も入って来る
生バンドの歌に合わせて、ユミが若者たちとゴーゴーダンス。モノクロ 『キイハンター』と言えばゴーゴー!?と言うくらいお馴染みのダンスシーン。(笑)そこへ場違いな?!スーツ姿の黒木ボスを先頭に、花柄のミニのワンピースの啓子と同じくスーツ姿で風間君登場。階段を降りながら「驚き!」なんともウキウキ啓子ちゃん!(笑)「我々のボスにこんな趣味があろうとは・・・(笑)」地下一階が、カウンターバーやレジ、オフィス、ユミが踊るダンスフロアーは地下二階。金網の手すりにもたれ、ゴーゴーダンスの若者を見下ろし「ノーノーノーノー、趣味にあらず。我輩の観察によればだね、これは、ボスの若返り戦法のようね。」「フフフ・・・」二人の会話を聞き流し「おい、あのカウンターの中を見てみろ」と黒木。風間が何気なく左へ視線を向けたカウンター、レジの横、サングラスをかけサイケなファッションをして電話をかけている、何とも怪しい禿げかかった痩せた中年男、怪しげな役ならこの方、上田忠好!(笑)「チャン・パイミン。3年前から日本に住みついて客商売に盛んに手を出しているんだが、経歴、資金源、その他一切不明だ。」黒木に視線を戻し「何?ボス、仕事の話なのぉ?」「最近、アメリカのある男から彼の所に頻々と手紙が来ている事が解かったんだ。その男の名は、禿げ鷹ハンス。」「はん・・・?なんですか、それいったい?」「日本語を含めた6か国語に精通し、世界中に独自の情報網を持つと言われるプロのスパイ。どう?たいしたもんでしょう、私の専門的知識!」黒木は前をむいたまま「ご名答と言いたい所だけどもな、ハンスって言うのは、スパイと言うよりも、れっきとした殺人業者言った方が正しいだろう。」風間の顔を見る啓子。ゴーゴークラブに似合わぬマジな黒木ボスに、事件の匂いを嗅ぎ取り、ちょっと残念そうにお遊びモード返上の啓子ちゃんと風間君です。階下のフローアーで踊りながら、ユミが何も知らずに「ネェー、踊らない?最高よー。」風間は笑って「いいからいいから、お子様一人でやってらっしゃい。」ユミがふくれて「イ〜だ!なによ、子ども扱いして。又、今度手伝ってくれって言ったって、知らないから。」「フフフフ・・・」風間が真顔になって「それでボス、俺たちの仕事は?」と黒木を見る。お店は、壁に文字が書かれていたりして、今でもありそうな感じだが、壁に書かれた”女200円、男300円”の文字は、安い!時代を感じます。(笑)
羽田空港から、ホテルへ 
羽田空港でのロケ、そして、首都高速道路は、風間の運転する車の中から撮ったシーンとロングショットで二台の車が映し出される。映像をバックに黒木の声。羽田空港に飛行機が着陸「そのハンスが、明日日本へ来る。秘書で殺し屋のキリーと言うプエルトリコ人と一緒にな。」デッキから見下ろし、飛行機から降りて来たハンスを確認した黒木が、啓子に合図。「そのハンスって男は、ユダヤ人でありながら。ナチに魂を売った男だ。戦後はすぐにアメリカに寝返り、アメリカから見放されると、悪辣なスパイ業を始めた。」気配を感じたか、ハンスもデッキを見上げる。ハンスとキリーのツーショットの写真のカットの連続。「あらゆる国際紛争をマークし、隙あらばまさに禿げ鷹のように飛びついて巨額の金をせしめる。これが奴の手口だ。」キリーと空港出口でタクシーを拾うハンス。「表面上は公然たる観光旅行だし、奴を張り込むほどの手がかりはなんにも無い。」二人がタクシーに乗り込んだのを確認した啓子が、ハンドルを握り待機する風間に合図を送る。「だが、これは俺の直感だ、何の計画も無しに禿げ鷹ハンスが日本に来るはずが無い。」風間は合図を返し、サングラスをかけると啓子を乗せ尾行開始。「早く追って」『非常のライセンス』の軽快な音楽が流れ・・・二台の車は高速へ。それを黒木が出口で見送る。バックに一般客が大勢いると言う事は・・・羽田空港はゲリラロケか?首都高速道路を抜け、二人がホテル(今は無きホテルニュージャパン)に到着したのを確認し風間は車を出す。
 音楽が鳴り止むと、ホテルの部屋。カーテン越しに、黒木が双眼鏡を覗きハンスたちの部屋を監視している。テーブルの盗聴器のアンテナをいじっていた啓子も、煙草を消し立ち上がり黒木の隣へ。「ね、どんな様子?」「仲良くお話し中だ。それも笑いながらね。おっ双眼鏡を出した。」「えっ、まさか敵もこっちを?」急いで、カーテンの陰に身を隠す二人。「大丈夫、目標はこっちじゃなさそうだ。」キリーの隣で、ハンスが双眼鏡で下の方に向けて覗いている。「角度から言って、3階か4階らしいな。」「一体誰を張ってんのかしら?」「その内にわかるだろうね。上手く行くけばの話しだが・・・」双眼鏡を覗きながら言う黒木を見上げ怪訝そうに「上手く行くって?」ホテルの廊下をボーイが料理をワゴンに乗せ運んでいく。突然ドアが開き、風間がボーイ捕まえ、部屋に連れ込む。「あっ、何するんです」 驚くボーイに、「しーっ!」一万円札(もちろん聖徳太子!)をちらつかせ「水心あれば何とやら、どう?」「えっええ」 困惑するボーイ。ボーイの服装に着替えた風間が、人気がないことを確認し、廊下で詰襟ボタンをきつそうにはめると、ハンスの部屋780号室の前へ。周りを見回してカレーの器の底に盗聴マイクをセット、髪を撫で付けドアをノックする。「Come in !どうぞ」 部屋の中へ「お待ちどうさまでございました。」「オー美味しそうですね」 「ええ、当ホテル自慢の料理でございまして・・・」「フフなるほど」 黒木が、テーブルで盗聴装置のスピーカーの二人の話を聞き、啓子が双眼鏡で覗きながら「へへ、なかなかいい手つきよ、風間君。彼は失業しても、困んないわね。」黒木と風間二人共々失業していたのを知ってか知らずか、キツイお言葉!黒木がテーブルの横で「俺だけは潰しが聞かないと言いたいんだろ。」と苦笑い。「ご名答!フフフッ(笑)あら?ハンスが食器を調べてる。」「どうしたって?」急いで駆け寄り、双眼鏡を取り上げ覗く。「フン、なかなかいい食器ですねぇ」 カレーの器を嘗め回すように見るハンス。「はっ、それも当ホテル自慢の食器でございまして、えっ・・・」盗聴器が見つかりそうになり、焦ってしどろもどろの風間に、目ざとくキリーの視線が。突然、シャンパンの栓を抜き、ハンスたちにふりかける風間。「ヘイ、ユー!」 「すいません!どうもすいません。手が滑りまして、大変失礼致しました。どうも申し訳ございません。」ナプキンで拭きながら、どさくさに紛れてカレーの器をワゴンに乗せる。「大丈夫ね。シャンパンおめでたい酒です。頭から振りかけられても私怒りませんよ。」 と、ハンスは余裕の笑顔。「どうやら、ピンチを切り抜けたらしいぜ。」と双眼鏡を見ながら言う黒木。風間はフーッと胸をなでおろし「どうぞ、それではどうぞごゆっくり。」と、カレーの器をもう一度テーブルに置いて出る。風間が部屋を出ないうちに話し始める二人の声を、盗聴器で確認する啓子。双眼鏡を手にしたまま「スペイン語のようだな、スペイン語は君のレパートリーの一つだ。」「たいしたこと無いけど・・・」早速、啓子がテーブルで通訳を始める「シモーヌは部屋にいないぞ、ハンスの声ね。」「シモーヌ、その女を張ってたんだな。」「しっ、なんとしてもあの女が邪魔だ。部屋にいないのは、もっての幸いだぞ。今度はキリーの声よ。ちょっとひとっ走り行ってこよう、このホテルの鍵はチョロイ。(凄い訳!)黒木が双眼鏡で覗くと、キリーがスーツケースを持って出て行った。「うん?こりゃいかん。」フロントへ電話をかける黒木。
美術館から戻って、ヤナガワアートの3階
 『ターナーの奇蹟』が偽物だと教えられた黒木、啓子、ユミの3人は、シモーヌとヤナガワアートの3階で思案中!襟に花のモチーフをくるり並べた無地の長袖超ミニAラインワンピースが良く似合うユミが、歩きながら頭をひねっている。「一体どうやってすり替えたのかしら、あんなに厳重な警備の中・・・ちょっと待て、カチャ、カチャ、カチャ、・・・・」啓子が奥のテーブルで「フフッ、我らがコンピューター活動開始!」「そうだわ!今朝の三面紙の小さな記事《ムンガ秘宝展の警備員行方不明》」ソファーの肘掛に座っていた黒木が叫ぶ。「それだ!」シモーヌもユミを見る。「のげとしお、32歳、失踪の動機その他、皆目不明。最近、明美と言う女性と関係を結んでいたらしく、当局はこの女の行方を探している。」啓子も勢いづいて「女を使って警備員を抱きこんだって訳ね!」「犯行は3日前、つまりハンスが来る前だ。」「やったのは、サイケのチャンと考えていい。」「ハンスがやって来たのは、品物を確かに国外に持ち出すっていう事を確認する為だ。」「不幸中の幸いは、偽物が見事な程上手く出来てるって事。」「お蔭で世界中の人々は、まだ誰も気が付いちゃいないんだ。と言う事は、我々にまだ最後のチャンスが与えられているって事だ。」突然シモーヌが「無理です。」 「無理じゃないよ、シモーヌ!」シモーヌは前を向いたまま続けて「いいえ、取り戻すなんて絶対に出来ません。」 「どうして?」 「今日の午後3時に、ムンガ政府の美術長官が日本に来るのです。」 「なに?」「えっ。」啓子が立ち上がり「えっ。」 「長官は、必ず偽物を見抜くことが出来ます。」 「何時ですって?」胸ポケットのぺンダント時計を見る啓子。「午後3時。」 「はっ黒木も腕時計を見る。「お金で時間が買えたらな〜。」3人の表情が険しくなる。このシーンは、いつもなら霞ヶ関の黒木の部屋の会議シーンになるところでは?今回は、霞ヶ関の部屋は、一度も出て来ません! 
チャンの店の事務所
ユミと、風間は捕まって事務所の中で、背中あわせに椅子にくくりつけられる。「なんて事しやがるんだよ、俺は客だぞコノヤロー!」怒鳴る風間を笑ってみるチャン「客?フフフ、あんな踊りすきなのか?」 「あたりメエじゃねえか好きだから来てんだよ、ねえ」とユミに振るが「えっえ、え・・」と怯えて返事も上の空のユミに、風間もちょっと心配顔。「そんなに踊りが好きなら、お前達もっといい事教えてやろう」 「いい事?あ〜あ結構ですねぇ」チャンを見る風間の前に、チャンがパイプを置き、代わりに注射器を出す。「はははは、そうだよ。(注射器の薬を見つめながら)一度やったら絶対止められない、素晴らしい事だ。フフフ・・・」 「麻薬か・・・」「あんな踊りなんかより、もっともっと痺れるよ〜」 今でも、子供心に、注射器や薬のシーンが出てくると怖かったのを、思い出してしまいます。「貴様、その麻薬であの警備員を、アッ、レロレロレロ・・・」顔をそらすがバレバレの風間。「警備員?あ〜ん、お前たち正体わかったぞ。ははははは・・・」 「(舌打ちして)ばれましたか、フィー(と口笛)」「狙った相手、あのサイケな雰囲気で気持ちおかしくさせ、麻薬引きずり込む。男に女、女に男あてがうね、みんな言う事聞くよぉ、ハハハ、人間なんて簡単なもんだ。ははははは。」 風間の前に注射器が、風間の額に汗が滲む。ユミが堪らず叫び声を上げた。「きゃあ〜」「ユミちゃん・・・」声を聞きつけ黒木と啓子が入って来て店員と格闘、銃を手を取り上げ突きつける。「ボス!」「そう簡単にいかん人間もいるぜ!」決まった、ボス、クール!思わず注射器を落とし手を上げるチャンと店員達。「何突っ立ってんのよぉ、早くしてよ、早く!」「ああ」「壁に向かって立て」「あーあ、なーにこのザマは」啓子がユミの縄を解き、黒木がチャン達に拳銃を突きつけ「助けてくれ〜」と、 大声を上げる店員に向かって「うるさい!殺すとは言っちゃいねえよ。」その隙に、チャンが首のチェーンを外すの見て「ボス!」しかし、チャンの反撃で、事務所は再び大乱闘、啓子は店員二人を相手に苦戦。それでも姐御、強すぎます!チャンが黒木の首をチェーンで絞める「早、早くしろ!早く!」「そんなこと言ったって・・・」「ボスが死んじまうよ〜。」緊迫感を和らげるのは、やっぱり風間君の台詞!(笑)ユミが慌てて風間の縄を解いて、やっと風間も参戦。黒木はチャンの足を踏みつけ形勢逆転!チャンの首を締め上げ「ターナーの奇蹟は何処へ隠した。何処へ隠した。」ペンダント時計を見て「二時か。時間はどんどん経っていくわ。」フロアーでは、何事もなかったように客がバンドにあわせて踊っている。キリーが事務所の中を覗く「ターナーの奇蹟は何処に隠した。言え!何処に隠した。」チャンが話そうとしたとき、キリーのナイフがチャンの背に刺さる。チャンは息絶え、風間は二階から飛び降り、キリーを探すが、キリーはカーテンの陰に隠れて、その様子を見てニヤリ。全員による、手に汗握るスリル、アクション共にたぷリ味わえる事務所のシーン、やっぱりボスは決まっています。黒木ボスの格闘シーン身のこなしは、空手風で力強くパワフル、見ごたえ充分!
ヤナガワ美術3階
 黒木たちが駆けつけた時、既にターナーの奇蹟は消え、ヤナガワアートの店主は気を失っていた、黒木は急いで3階へ駆け上がる。今回、黒木の第二の見せ場、謎解きのシーン。女性相手は黒木の十八番?!「シモーヌ!」「あっ、黒木さん。」 黒木の胸に飛び込むシモーヌ。「私とっても怖かったわ。顔は見なかったけどアメリカ人らしい男の人の声が聞こえて、下のお店で荒っぽい物音が・・・」 黒木が何か気が着いたように、シモーヌの顔を見る「柳川さんに何かあったんですか?」 「それを俺に聞くのはおかしいだろう、明美。」シモーヌが、離れバックを落ちる。中から例の宝石のついたリングのブレスレッドが。黒木を見て「!?・・・。はっ、あけみ?何のことですか?」 「図星だったようだな。顔から血の気が引いたのがなによりの証拠だろう。」背を向ける明美の周りを歩きながら黒木が話し出す。「キリーがサイケからこの店へ辿り着くまでは、どんなに早く見積もってもても30分だ。僅か3分後に俺が電話した時には、ハンスの仲間の誰かがここにいたんだ。その事実と君と結び合わせて考えてみた時に、謎は解けたよ。君は最初から、ハンスの仲間だったんだ。チャンに麻薬で飼育されて、奴の仕事を手伝うようになったんだ。(台詞と共に回想シーン)ホテルでハンスは、君の部屋を双眼鏡で覗いていたんだ。それを見たのが、間違いの第一歩だった。奴は君を狙ったんじゃないんだよ、ただ、まだ会った事の無い君を確かめただけだ。ちょうどその時、ハンスは我々の盗聴マイクに気がついた。そして、何食わぬ顔でそれを逆用したんだ。あの時の限爆弾がそうだよ。あれはねえ、君を殺す為のものじゃないんだよ、この俺を殺す為のものだったんだ。」シモーヌの背後から話しかける「君に割り当てられた役目は、混血娘・明美として警備員を誘惑する事、そしてもう一つは、フランス娘シモーヌとして、例の女神像をある場所まで運ぶ事がそうだったんだ。違うかね?」開き直った明美は、声も変わって「見事だわ。そこまで見抜かれたんじゃしょうがない。あたしはね、新宿のバーを流れ歩いていただたの混血娘よ。麻薬で飼育されてチャンやハンスの言いなりにされた事も本当よ。でもね、あたしは後悔なんかしてない。だって世界中を驚かせるような仕事をやったんだもの。」 「いや、君の仕事は終っちゃいないぜ。」「何故?」 「ターナーの奇蹟はこの俺が必ず取り戻すんだからな。」「ハハハハ・・・・、馬鹿ねぇ何処までお人よしなのかしら、貴方って。後ろ御覧なさいよ!」 キリーが銃を構えて黒木を狙う「いかが?これでも負けを認めないっていうの?」 明美とキリーの間に立ち「認めないね。」「何故?」 「君は既にハンスを裏切っているからだ。」「何言うのよ!キリーは二人を見る「それで無ければ、何故ターナーの奇蹟が偽者であることを俺たちに教えた!」明美は、視線をそらす「君はあの時、あの一言をいわなかったら、我々は完全に騙され続けていたはずだ。」「何言ってんのよ!あの時私、あんたがあんまりしつっこいから・・・、ねえキリー、あたしハンスさんにも言ったわよね。言わないと疑われそうだから言ったって。」 キリーが銃を構えて明美のほうへ近づく、明美は不安になって「キリー、あんたまさか・・・」 二人の間に立ったまま明美を見つめて「悪女ぶるのは止めろ!麻薬で踊らされていても、心の底ではハンスやチャンを憎んでいるからこそ、本当の事を言ってくれたんだ。」 「違う!違うわ。」 「君には立ち直るチャンスがあるんだぞシモーヌ。」 黒木の視線から逃れるように、椅子にしがみ付く「止めて!あたしはシモーヌなんかじゃない、明美よ。」黒木がシモーヌの側により、じっと見て「シモーヌ、さっ言ってくれ。」黒木を見つめかえすシモーヌ「ターナーの奇蹟は、何処にあるんだ。」黒木を見つめたシモーヌの視線が、部屋の端へ・・・その瞬間、キリーがシモーヌを撃ち、驚いてシモーヌを抱きかかえる黒木「シモーヌ!」シモーヌを抱いた黒木をキリーが狙う。そこへ、啓子がドアから、風間が窓から入ってきて、キリーに飛びかかった。激しいドラムの音が格闘シーンを盛り上げて、黒木と風間が交互にキリーと戦う殺陣のシーン。二人で戦ってもキリーは手ごわい。椅子に飛ばされた風間を、啓子が顔を叩いて「こらっしっかりしろ、ばか!」この二人だけちょっとコミカルになっちゃう。倒れていたシモーヌがキリーの銃を拾い、キリーを撃つ。撃たれて窓から転落したキリーを窓から見下ろす3人「ちょっと」と、黒木と啓子の間から風間が飛び降りて、「おい、おい。」キリーを揺するが、さすがのキリーも死んでいた。3時の時計の音に黒木と啓子が顔を見合す。
 羽田空港出口、ムンガ王国美術長官が、たくさんの記者団に囲まれながら、車に乗り込んだ。
 黒木がシモーヌを抱き上げ「言ってくれ、ターナーの奇蹟は何処にあるんだ。」「ターナーの奇蹟は・・・」 シモーヌが指差した箱から、啓子が物像を見つけ出す。「もう一度、シモーヌと呼んで」 「君のお蔭で日本は救われたぞ、シモーヌ。」瞳を閉じ、胸の中で息を引き取ったシモーヌを、じっと見つめる黒木。しっとりとした音楽をバックに、薄幸の混血娘・明美と黒木の切ないシーンでは、渋さで見せる黒木です。
ムンガ秘宝展会場へ入るキイハンター
黒木を先頭にユミ、啓子、風間、が会場へ。ターナーの奇蹟のケースの回りにやって来る。く黒木と啓子が周りを見回し、ユミは不安そう、風間は黒木を見る。美術長官が車で会場に向う。バックに明るいマーチ風の非常のライセンスが流れて、周りを見回し、胸ポケットのスカープで黒木が合図すると、ユミが頷き、風間とユミが持っていた小さめのスーツケースを置き、中の機械のスイッチをひねると煙幕が噴出した。火事騒ぎの中、啓子が素早くケースの鍵を開け、黒木がバックから本物のターナーの奇蹟を取り出し、すり替えた。煙幕で何も見えない会場から、急いで逃げ出すキイハンターのメンバー達「滑り込みセーフ!」「でも、きわどい勝負だったわね。」「私達の勝ちね!」「ハンスは敗北と言う屈辱を抱いて、日本を去って行くさ。」駆け出すキイハンターのストップモーション!
軽快で明るい音楽をバックに、緊迫感の中にも決して笑顔を忘れないメンバーたちの台詞と、渋い黒木の決めゼリフで、ストップモーション!これぞ元気印のキイハンターといったエンディングに、見終わった気分は爽快です!
 
今回は、一度も霞ヶ関の黒木の部屋が出て来ません。ユミはミニのワンピーススタイル、当時流行の超ミニAラインワンピースを着こなし奮闘するも、風間との荒っぽい捜査で捕えられ、麻薬の注射器を見せられ怖がっている姿は、まだまだ初々しいです。啓子は、スペイン語を披露し、黒のベストとミニスカートのスーツ姿で、大の男二人を相手にして戦う姿は姐御そのもの。風間は、ボーイになりすましたり、変な踊りを踊ったり、高い所から飛び降りたり派手な格闘シーンと見せ場があっても、イマイチ決まらない。緊迫感の中にもちょこっとユーモア添える3枚目。そして、今回のメインは、ボス黒木。黒のソフト帽をかぶり、スマートに、そしてクールに、時に熱情のこもった台詞で決めます。シモーヌとのシーンは、渋い大人の魅力たっぷりの甘〜いムードで〇〇〇泣かせの諜報部員時代の本領発揮!それでもヤッパリ、ラストは重苦しい雰囲気が一転、マーチ風アレンジの♪非常のライセンス♪をバックに、全員で事件解決し駆け出す、元気印のキイハンター。ストップモーションが爽やかです。 


 Tik局長、ゲスト考察記 ―
楠郁子 薄幸の混血美女明美とシモーヌ二役を、Aラインの超ミニワンピースとかつら?で熱演!シモーヌ役では、フランス人ハーフのお色気たっぷりマドモアゼルで黒木に迫り、明美のシーンではあばずれ娘の迫力で、黒木と対決する。
上田忠好 ニタニタ笑いが似合い過ぎ!?トレードマーク?の頭と髭で、変な日本語を使う怪しい中国人を怪演。怖いシーンも不思議とユーモラスになるのは、子供だった当時はにはありがたかった。(笑)
●フランツ・グルーバー 今回は、抜け目無い自信家の憎々しい国際スパイを好演。黒木との対決シーンは、見ごたえあり。しかし、憎々しく話す日本語の台詞は吹き替え!?

- by tik. 2004. 10. 7.-

tik局長 鑑賞ノート