No.5「必殺の瞬間」 ’68/ 5/ 4 

「これで世界中に平和が来るといいわね!

― 動乱の東南アジアの平和調停に望む外国高官が、会談の為に来日。
滞在時間は、4時間。狙撃者をマークし、暗殺計画阻止せよ!


国際警察特別室は、来日外国高官の暗殺計画をキャッチ。
風間は日本人狙撃者をマーク、啓子も外国人狙撃者に接近するが、
組織の罠にはまり、絶体絶命の危機に!
狙撃犯は何処から照準を合わせているのか、ユミも一緒に調査。
狙撃時間まで後わずか、負傷した黒木も出動、現場に急行する。
平和の使者・鳩が群れ飛ぶ空の下、間一髪、狙撃犯を発見!
笑顔で要人を送り出したキイハンターの願いは一つ、世界平和。
スタッフ プロデューサー  近藤照男 坪井久智
監 督 佐藤 肇
撮 影 下村和夫 脚 本 高久 進
録 音 岩田広一 照 明 山本辰雄
美 術 兼子元 編 集 大橋四郎
記 録 川村澪子 助監督 原田雄一
擬 斗 日尾孝司 音 楽 菊池俊輔
進行主任 深沢道尚 衣装デザイン 大塚キミ子
現 像 東映化学工業(株)






キャスト 黒木鉄也 津川啓子 谷口ユミ 風間洋介
ナレーション : 芥川隆行
ゲスト 西沢利明 八代万智子 秋月 竜 大槻 憲 小林稔侍
比良元高 美原 亮 斉藤 力 杉田 康 木川哲也
林 宏、ロバート・ダンハム、ハロルド・S・コンウェイ、他
プロフェッショナル キイハンター
≪赤いシグナル≫



プロフェッショナル キイハンター 次の赤いシグナルは・・・
外国の高官が狙われている。
インターポール特別室指令、日本における暗殺を阻止せよ!
だが、キイハンターの作戦はあくまでも裏面に限られている。
しかも、敵の正体は、二重三重にカモフラージュされている。
殺し屋の指は、何時何処で引き金にかかるのか、
必殺の瞬間、それは又、永遠の長さにも感じられる。
キイハンター、次のシグナルは、「必殺の瞬間」
 ストーリー ―
 夜、一台の車が停まっている。女が「ヒデユキ!」と叫びながら男達に両脇を抱えられ、車に押し込まれる。女の後追って「ジーナ!」と名前を呼びながら、拳銃を撃つ男。撃たれた仲間二人を置き去りにして、女と2人の男が乗った車は消えていった。取り残された男は、銃声を聞きつけて来た二台のパトカーに追い詰められ、警官たちに取り押さえられた。
                      タイトル 【必殺の瞬間】
  留置所の廊下を二人の警官に連れられ手錠をして歩いてくる、風間。廊下の鉄格子戸が音を立てて閉まると、突然暴れ出すが、遂に独房へ。向いの独房から、女を連れ去られた男「紅林秀之」が騒ぎを見ていた。風間はベッドの横の水仙の造花を見つける。造花の茎には指令の紙が巻きつけてあった。「向いの独房の男に注意せよ 黒木」紅林の独房を見る風間。拘置所の見回りの車の下に張り付いて来た組織の殺し屋が、警官を襲い鍵と制服を奪って拘置所の奥へ入ってくると、風間が眠っているのを確認し紅林の独房へ入り、怯え逃げ惑う紅林に鋭くとがった杖を振り上げ襲いかかる。眠ったふりの風間は造花の針金で鍵を開け、間一髪、殺し屋をやっつけた。組織に捕らわれた妻・ジーナを助ける為、脱獄に協力して欲しいと言う紅林。風間も刑務所はまっぴらだと、一緒に脱獄することになる。留置場の外へ出た二人は壁に隠れるが、紅林が見つかり風間が警官を倒し、屋上へ梯子をのぼる。見回りの警官が風間がいない独房を発見、非常ベルを鳴らした。サイレンが鳴り響く中、塀の外では一台の車が停車し、男が拳銃に弾を込めていた。屋根をつたい壁を飛び降り脱獄に成功、駆け出した二人の前に、車の男・黒木が待ち構えていた。道が閉鎖される、急いで車に乗れと言った時、前方から一台の車が銃撃してきた。左足を撃たれ倒れた黒木は、風間に車を出すように言うと、一人残りで戻ってきた車に向かって応戦した。
 黒木の部屋では、長椅子に横になった黒木の治療したばかりの足を、啓子とユミが掴み、風間の拘置所潜入と負傷の訳を問いただす。黒木は、読んでいた雑誌表紙のジョージ・エドワード氏の写真を指し、今回の任務を説明し始めた。数年続いた東南アジア動乱の調停に乗り出した、ジョージ・エドワード氏が、2時の飛行機で来日、日本の高官と会談した後、6時に東南アジアへと出発する。国際警察特別室が、危険分子を洗い暗殺計画を察知、国内随一の狙撃手紅林をマークしたが、彼は組織を裏切り拘置所に留置され、組織から命を狙われていた。今回の作戦は、彼を泳がせ、風間が殺し屋たちを送り出す組織のボスを暴く事。風間は見事に潜入したが、これからが大変と、黒木は宙を睨んだ。
 海辺の廃墟となった建物の奥に、風間と紅林はランプを一つ灯し身を潜めていた。物音に怯える紅林、様子を見に行った風間は、突然出て来た鼠に思わず煉瓦を落とし、こんな時に出てくることネエだろ!とドキッ。時折り、土砂が崩れてくる廃墟の奥で、裏切りで痛む胸を抑える紅林に、組織を裏切った訳を問いただす。組織にさらわれた妻のジーナとイタリーのシシリーで知り合い、ギャングだった彼女の父兄弟から殺しを教わった事、ギャングを嫌う彼女と結婚する為、自分も足を洗い日本に来た事、日本で新しい殺しの依頼を断わった為に、組織に彼女を連れ去られた事を話す。風間が殺す相手と依頼主を問いただすが、ばらせばジーナが殺されると、紅林の口は硬い。船の汽笛に怯える紅林を残し、風間が外に出て見ると沖に一艘の客船。その頃、潜水服姿の二人の男が海から上がって、拳銃を手に廃墟の周りを調べはじめた。風間が一人を倒すが、もう一人は廃墟の奥の紅林に迫る。追い詰められた紅林を風間が見つけ、飛びかかり男を締め上げ、依頼人の名を聞き出そうとした時、紅林が殺し屋を撃つ。驚いて見つめる風間に、お前も命を狙っていると銃を向けるが、格闘の末、銃を取り上げられる。風間は、殺し屋が砂に書いた「リスマン」と言う文字と、潜水服の中から『ジーナがいる。品川 コンテナ、Aー10172』と記されたメモを発見する。
 品川コンテナ置き場。A-10172のコンテナを探す啓子の後から、サングラスをかけた外人の男が付け狙う。コンテナを見つけると、中にジーナが倒れていた。助けに来たと言う啓子に、紅林秀之の事を聞き会いたいと言うジーナ。啓子が居場所を話すと、生きていると知って喜ぶ。酷い目に合わせたのは誰か、リスマンは何処にいるのかと啓子が聞いた時、コンテナのドアが閉る。出て来た啓子たちをリスマンが狙うが、近づいてきた警備員を見て消えた。啓子は警備員相手に何とかその場を切り抜け・・・・?(いきなり、次のシーンへ)
 ホテルのロビー、ミニのチャイナドレスに泣きぼくろを付け、コールガールに変装した啓子がやって来ると、ジーナは立ち去る。啓子は座って煙草に火をつけ、テーブルの灰皿の下から『C-43』と書いたメモ見る。C-43号室では、啓子を狙っていた外人リスマンが地図を見ていた。啓子がノックすると、隣の部屋から覗き地図を片付ける。啓子はハロー!と言いながら入ると、呼ばれたコールガールだと言って、リスマンに猛烈アタック、その隙にポケットの地図を抜き取ろうとするが失敗。リスマンはなかなか誘惑に引っかからず、追い出されてしまう。
 紅林は一人廃墟の奥で手足を縛られ、近づいてくる足音と人影の恐怖に、風間を呼び、知りたかったことを言う、リスマンは、高速道路わきの建築現場から狙撃する計画だと白状する。現れた風間は、本当の事を言ったなとニヤリ。
 黒木の部屋、横になったまま黒木が電話を取る。風間から狙撃現場を聞くと、紅林を連れて現場に行き、暗殺者をおびき出すように言い、パールホテルの啓子に連絡。啓子はリスマンは動いていない、再度、アタックして見ると言って、錠前外しのテクニックでC―43号室へ入るが誰もいない。部屋を探るが、手がかりは見つからない。バスルームのドアを開けると、落ちていたパールのイヤリングを拾い上げ、カーテンをめくる。浴槽の中のリスマンの死体を見つけると同時に、隠れていたジーナが叫び声をあげた。叫び声を聞きつけて騒がしくなったホテルを、啓子はジーナ連れ急いで抜け出すと裏口に止めてあったスポーツカーに乗り込んだ。リスマンの殺された訳を聞く助手席のジーナに、正体を見破られ、啓子自信にも罠にかけようとしたのだと言うと、自分も殺される、殺される前に秀之に会わせてほしいと頼むジーナを連れて、狙撃現場へ向かった。
 建築現場の屋上にやって来た風間と紅林。風間が、そろそろエドワードが羽田につく頃だと言うと、殺し屋に怯え帰ろうと言う紅林の目の前に、ジーナが啓子と現れた。再会を喜び抱き合う二人は、腰をおろすとジーナがバックから煙草を取り出し火をつけ紅林に渡した。一口吸うとそれを眺める紅林。立ち上がった時、二人の目つきが変わた。投げ捨てた煙草に『P-16:00』と言う文字が書いてあるのを見つけた啓子。ジーナが拳銃を啓子に向けたのに驚いた風間も、身動きができない。紅林は、自分がマークされているのを知って裏切り者になる捨て身の作戦で国際警察を罠にはめた、これがプロフェッショナルのやり方だと自信満々に言う。風間は、やってみなけりゃ解からないと言い返すが、紅林は、エドワードに必殺の銃弾をぶち込む為、狙撃現場へ向う。ジーナに銃を突きつけられて、身動きが取れない二人。リスマンを殺したのはあなただと啓子は拾ったイヤリングをジーナに渡す。受け取ったジーナは、三つ数えるうちにビルから飛び降りるように迫る。実は高いのが弱いのと泣きつく啓子に、風間は手を繋いで一緒に飛び降りるようにいう。お嬢さんお手をどうぞと、手を差し出し、僕を愛しているなら絶対に手を離さないで!と言う風間に、啓子も愛してる!と手を繋ぎ、銃声と同時に足場に向かって飛び降りたが、啓子が足を滑らせ、風間が必死に引き上げた。再び二人に、ジーナが銃を向けた時、高圧電線に足が触れてジーナは感電死する。
 黒木の部屋では、キイハンターのメンバーが煙草の吸殻の文字の意味を解読できずにいた。ユミが英和辞典の「P」の欄を読み上げ始めると、電話のベルが鳴る。風間が電話を取り黒木に渡す。エドワード氏が、直接横浜へ向かったと言う黒木の言葉に、「P」がPort、港だと啓子が気が付いた。16:00は午後4時、会議の終る時間、煙草の文字は暗殺の指令だった。
 紅林の車が横浜港に到着。(バックに横浜新港倉庫)紅林は、大きな布を抱えビルの屋上へ階段を上り、サングラスを外すと会談が行われている船を見ながらライフルと三脚をセットする。黒木と風間も到着。黒木の時計は3時45分を指していた。周りを見回す黒木、紅林は、準備は完了、会議終了まで後10分。風間は、グランドホテルへ向かう。船の周りを見回る黒木に警備員が後4分少々と伝える。紅林は、車や黒木にも照準を合わていた。後3分を切った時、紅林の近くで一羽の鳩が飛び立つと、一群となった鳩が、港の上空を、縁を描いて飛び始めた。黒木がそれを目で追うと、ライフルを構えた紅林が視線に入る。車に飛び乗る黒木、しかし、タイヤは撃たれ、車を捨てて走り出し、階段を駆け上がる。会議が終った。船から現れたエドワード氏の姿をライフルの照準が捕え、紅林の指が引き金にかかった時、黒木の拳銃の銃声が一瞬早くなり響いた。驚くエドワード氏。2発目が黒木を狙って振り向いた紅林の手を打ち抜いた。殺し屋もこれで終わりかと言い残し紅林は身を投げる。ビルの真下に、銃を持ったまま大の字に倒れた紅林の死体が無残な姿をさらしていた。
 エドワード氏を乗せた車が走り出した。黒木は、群れ飛ぶ鳩を見上げ、海の彼方へ視線を落とす。戻ってきた啓子と風間に、エドワード氏は無事に立ったと言うと、笑顔で、世界中に平和が来るといいわねと言う啓子に、風間も頷く。黒木は、良くやったと肩を叩いて歩き出す。お嬢様お手をどうぞと手を差し、カッコをつけた風間に、本気にしてたのと、笑いながら走り出す啓子。笑って追う風間。黒木を囲んで、3人並んで笑顔で歩き出す。
 Tik局長の感想記 ―

キイハンターの台詞はクールで、オシャレで、カッコイイ!そして愉快?!
局長の感想と、セリフと一緒にまとめてみました。
セリフ・・・・黒木鉄也津川啓子谷口ユミ間洋介村岡室長
(島竜彦・・・・お休み)
今回は、島ちゃんはお休み。いきなり風間が留置所で暴れ出すシーンにビックリさせられ、そのままスリリングな脱走シーンが続く前半から、肉体派風間洋介の見せ場がたっぷり!黒木の拳銃を構えるポーズも、決まってます。ユミは出番は少ないが、アップのヘアースタイルに対照的は大きな花のついた襟のAラインの超ミニのワンピースで華を添え、啓子ちゃんも負けじと、ボブのヘアースタイルにリボンを2つ両脇につけたかわいい髪形でパンツルックになったかと思うと、胸元にビーズをタップリ縫い付けたミニのチャイナドレス、右頬には泣きぼくろまで付けて大人の魅力で迫るたりと大ハッスル。危機一発シーンの、相変わらずの風間と啓子の微妙な仲のよさ?!にもちょっと注目だが、黒木がラスト敵を走って追い詰めるシーンは見応え十分。
留置所からの脱走
手錠を掛けられ、二人に連れられ入って来る風間。ワイシャツにノーネクタイの風間君の胸元にドキッ!(笑)鉄格子が閉まり歩き出すと、突然鉄格子に駆け戻り暴れ出し叫ぶ。「やめろー!、放してくれ!おい、頼むよ出してくれよー!おい止めてくれよー!」「おい出してくれよー!」独房に入れられてもドアを叩いて叫ぶが、静かになってベッドに飾られた一輪の水仙の造花を取り、茎に巻きつけた指令の紙を見る。「向かいの独房の男に注意せよ 黒木」
独房に造花の水仙で指令を送る黒木、洒落てる!オシャレ!?キイハンターらしいです。
造花の針金で鍵を開け、紅林の独房の組織の殺し屋をやっつけ紅林に「おいしっかりしろ!大丈夫か?」怯えて声を上げしそうになる紅林の口を手でふさぎ「しっ、心配するな、俺は殺し屋じゃない。奴は眠らせた、何者だ。」「俺の女房が奴等にさらわれた。俺はその時、奴らの仲間を二人殺したんだ」「そいつが復讐に着たのか?」「手伝ってくれ」「おいどうするんだ?」「ジーナを助けたいんだ」「ジ―ナ?」「俺の女房だ」「脱獄するのか?しかし外に出たら逆に消されるぜ」「何処にいたって安全じゃなくなった。何時殺し屋がくるかわからない。」「よし俺も一緒に逃げる。こっからムショに送られるのはまっぴらだ。」ニヤリ、ウィンクする。
サイレンが鳴り響く中、黒木が塀の外に車をつけ拳銃の用意をし風間達を待つ。階段を駆け上り、屋根伝いに塀に飛び移ると、下では警官やパトカー集まっている。サーチライトを避けながら、風間は上着を脱いでロープ代わりにすると紅林を塀の外へ下ろし、自分も飛び降り、塀の横の道路を走り出す。緊迫の脱走劇のラストは、黒木。「風間よくやった。」「ボス!」「道が塞がれるぞ、早く乗れ!」運転席のドアを開けた途端、走ってきた車から撃たれ、左足を抑え倒れる黒木。車の陰から「ボス!」気遣う風間に黒木はシビアに指示。「風間、早く逃げろ!」「しかしボス!」「いいから早く逃げろ!」風間と紅林が車に乗って走り去り、道路に倒れながら、戻ってきた車に向かって、拳銃を撃つ黒木のストップモーション!この黒木ボスカッコいい!ホント渋いです。
黒木の部屋で怪我の治療
軽快な『非常のライセンス』が、バックに流れる黒木の部屋。黒木の怪我の手当てを終え、ピンセットで弾丸を摘んで見る啓子、ユミは黒木の足に包帯を巻き終えて「あーあ、これじゃさすがの黒木さんも開店休業ね。」「何よこれくらいの傷で休業なんて、らしくないわ!」とぽんと、包帯の足を叩く「さっ白状しなさいよ、何で打たれたのか、風間さんが拘置所に潜入したのも何か関係があるんじゃない?」「黒木さん、はっきり答えないと、もっと痛い目に会わせすわよ〜。」楽しそうに足をくすぐる啓子とユミ。「答えはね!これだよ」雑誌の表紙を指す。「ジョージ・エドワード!」「ちょっとまって・・・ジョージ・エドワード(考えて)2日前の第一面記事よ。世界平和を、守る人。ジョージ・エドワード。10数年続いた東南アジア動乱の調停に乗り出す!」「そのミスターエドワードが、今日午後二時の飛行機で来日する。」「そう」「待望の平和がいよいよ実現するのね。」「エドワード氏は、日本の高官と会談する。そして、午後6時には、飛行機で東南アジアへ飛ぶ。」「随分慌ただしい会談ね。でも世界平和取っては貴重な4時間だわ。」「だから国際警察特別室では、危険分子を洗ったんだ。その結果エドワード氏暗殺計画をキャッチした。」「暗殺!」一瞬、画面は爆弾と銃弾の音が流れ、戦場で泣き叫ぶ人々の写真が写り、黒木の部屋のシーンへ戻る。「そして、一人の暗殺者をマークした。」「風間君が一緒にいるのが、その暗殺者なのね。」「その男の名は紅林秀之。狙撃の腕に賭けてはこいつの右に出る者は、今の日本では見当たらん。紅林はつまらん事件で拘置所に入り仲間に襲われた。」「何で?」「裏切ったからだ。」「裏切り者は消せか。」「それが奴らの掟だ。」「ちょっと待ってよ!じゃもう紅林は暗殺出来ないわけでしょ。それじゃ誰が一体エドワードを殺すの?」「解からん!」「簡単よ!組織のボスを探せばいいじゃない!」「それが問題なんだよ!紅林に暗殺者を差し向けたのは、いったい誰だ!俺が知りたいのは、全ての糸を操っているその影の男だ。」「解かった!裏切った紅林を泳がせておけば、殺し屋たちが集まってくる。風間君はそのよってくる殺し屋を捕えて、影の男を暴く作戦なんだ!」「その通り!しかし、これからが大変だ。」いつもと変わらぬユミに比べて、風間が気になる黒木のアップ。
廃屋の中、風間と紅林
廃墟の奥、ランプ一つで一夜を明かした風間と紅林。廃墟の建物は、どことなく「ファンキーハットの快男児・2000万円の腕」(深作欣二監督、若き千葉真一主演)の軍艦島のセットを思い出す。迷路のような廃墟の奥へ影が迫ってくるシーンは、サスペンスムードを盛り上げる。突然現れた野良鼠にビクつく、結構、怖がりの風間も、墟の外では、殺し屋相手に、足場の悪い中を、駆け回り、飛んだり跳ねたり飛び降りたり、パワフルに動き回って、お得意のアクションを披露して名誉挽回!
品川、コンテナ置き場&パールホテルの啓子高速道路わきの建築現場 
ジーナ&紅林 VS 啓子&風間
紅林とジーナの罠にはまった風間と啓子は、ジーナに銃を突きつけられて、狙撃現場へ向かう紅林を見送るしかない。「ハッハッハッ、貴様達は見事に俺たちの罠にはまったな。俺は完全に国際警察にマークされていた。このままじゃ暗殺は不可能だった。そこで俺は捨て身の作戦を取った。自分を裏切り者に仕立て上げ逆に貴様達の保護受けて安心させたと言う訳だハハハ、こいつがプロフェッショナルのやり方だ。」良くある手口さ。ちょっと甘いんじゃないプロフェッショナルさん。」「ハハハッ」「勝つか負けるか、やってみなきゃ解からないのがプロフェッショナルの面白ささ。」「負け犬は吠えろ。俺は今からお前達が探していた狙撃現場へ行く。」「なんだと!」「エドワード氏に、必殺の一弾をぶち込む為にな。」「紅林!」紅林を追おうとしてジーナに止められる風間。「気を落ち着けなさいよ!これから面白いことが始まるのよ。」「そのとおり。リスマンを殺したのはあなたでしょ。(リスマンの部屋で拾ったイヤリングを取り出し)イヤリングは、ペアで使うものじゃなくって?お返しするわ。」イヤリングを、啓子から受取り「ありがとう。さあて、今度はあんた達の番ね。後ろ向きなさいよ!向きなさいよ!(銃を二人の足元に向かって撃つ)さっ、今度はもっと上を狙うわよ!」しぶしぶ後ろを向きながら「大人しくしたほうが良さそうよ。」「怖い人。」後ろを向く二人に「そのまま前に歩いて。」屋上の端まで来た二人。「あたしね、今だから白状するけど、高いとこ弱いのよ。」急にしおらしくなる啓子ちゃん。「景色が良くっていいじゃない。」頼もしい風間だったが、下を見下ろして口をあんぐり。「しかし、随分高いねぇ〜」やっぱり風間もドキリ、ビビってる。ロングショットで写すとかなりの高さです。「何よ、さっきは強そうな事言ってたのに、何とかしてよ!」啓子が泣きつくと「逃れる方法は一つ、飛び降りるのよ。」「エッ、本気?」「あそこ見てごらん。(下の方に組んである足場を指す)」縁に立つ二人に「三つ数えるうちに、飛び降りるのよ!さもないと、撃つわよ!ワン!」啓子に手を差し出し「お嬢さんお手をどうぞ。」「ツー!」「絶対に手を放さないで、僕を愛してたら。」とウィンク。危機が迫れば迫るほど、肩の力を抜いたような台詞は風間君の十八番!手を出すが、視線は飛び降りる先を見たまま、緊張した啓子は、助かるんなら何でもOK状態?!で「愛してる、愛してる。」「スリー!」銃声と共に、一緒に飛び降りたが、啓子が足を踏み外し宙ぶらりん、風間は繋いだ手で、滑りそうになりながらも必死に引き上げる。見るほうも、手に汗握るシーン、風間君と啓子ちゃんの真剣な表情、見ものです。二人をジーナが見つけて「こんな事だろうと思ったわ!」と銃を向けるが、突然倒れる。顔を見合わせる二人、登ってきて倒れているジーナを見つけ「どうしたの?」風間が、《高圧危険》の表示を見つけて「これだ、俺たちこれで助かったんだ!」と胸をなでおろす、隣で啓子も頷いた。ここは、『お助けマン、風間洋介』の見せどころです。
黒木の部屋で暗号解読中
藤のテーブルに集まって、手にした煙草の吸殻を見つめる黒木、風間、啓子。「やっぱり紅林が暗殺者だったんだ。」「しかしその《P》って言うのはどう言う事なんですかね?」「何かの頭文字じゃない?」「(分厚い英和辞書をぽんとテーブルの上に、投げると)え〜と、P、P、P、P、あっ、P。P....順に読むから関係のある言葉があったら言ってね!」「OK!」Pではじまる単語を読み上げ始める。さすが学生さん!?ユミちゃん、でもそんな悠長な事一やってる場合ではない?電話のベルが突然鳴り、風間が片手で電話を取り上げ(電話に取り方にも注目!当たり前の取り方してません!笑)「はい、もしもし、は、ボス」黒木に受話器を渡す。「何?エドワード氏がコースを変えて横浜に直行した。解かった。」電話を切ると「あっ、そうだ!それよ!《Poot》港の事じゃない?」「それだ!」「16時ってのは午後4時の事か、会議の終る時刻だ。」「なるほどこいつが暗殺指令って訳だ!」色めき立つキイハンターのメンバー。
― 横浜港 ―  暗殺者・紅林と黒木、風間、啓子
会議の終了時間が迫るが、紅林が見つからず焦る黒木は、ふと見上げた空飛ぶ鳩の群れが、輪を描いて飛ぶ方向に紅林を見つける。何と言う展開!平和の使者の鳩の群れが教えた狙撃犯の居場所。鳩と狙撃犯、二つを結びつけたストーリー展開。車に飛び乗るが、パンクさせられ、車を捨てて走り出す黒木。足の痛みは何処へやら、黒木が走る!走る!階段を屋上まで駈け上る。何時にも増して体張って見せるボスの迫真の演技です!狙撃寸前、紅林の手を撃ちぬく黒木。狙撃手紅林は「狙いは確かだな、殺し屋もこれで終わりか。・・・・・・黒木さん、あんたの勝ちだ。」と、言うとその場から飛び降りる。ここで一瞬、ちょっとSF風の音楽!?港のコンクリートに叩きつけられた、紅林の死体を見下ろす黒木。(落ちていくのは、もちろん!お人形です。笑)
 黒木が見上げる空に、群れ飛ぶ鳩、海の彼方を見つめる黒木の所へ、風間と啓子がやって来て「黒木さん。」「ボス!」振り向き「エドワード氏は、無事に立ったよ。」「これで世界中に平和が来るといいわね。」「うん。」笑顔が自然とこみ上げ「二人とも良くやった。」風間の肩を叩き「さっ、行こう。」と、海を背に歩き出す黒木。歩き出そうとする啓子に片手をポケットに入れカッコをつけて「お嬢さんお手をどうぞ」手を差し出す風間「あら、本気にしてたの?」と啓子に言われ、ガクッ。「エッ?!」笑って、黒木を追いかけ走り出すミニスカートの啓子を、笑って追いかける風間。啓子と風間を両脇に笑顔で歩く黒木。3人の笑顔でストップモーション!
留置所に風間がやって来るシーンから、どんでん返しのストーリー、危機一発の飛び降りシーン等、殺し屋とキイハンターの駆け引きまで、スリルとサスペンスをタイムリミットのおまけまで付いて、たっぷり楽しめる今回。4回も衣装を変えた啓子ちゃんのファッションも、見物。風間君と啓子ちゃんの仲は、仲間以上恋人未満で継続中。(笑)平和のシンボル鳩を使ったクライマックスシーンが、とても印象的。「世界中に平和が来るといいわね。」啓子やユミの台詞が出る今回以降、世界平和、暗殺、と言う言葉が、何度も出てくる「キイハンター」。何度も聞いているうちに、いつの間にか、世界平和と言う言葉が、幼い局長の中に自然と入っていったのも事実。これは、「キイハンター」に感謝している事の一つ。(コンテナ置き場のラストの切れ方は、時間上の都合でカット?)


 Tik局長、ゲスト考察記 ―
西沢利明 裏切り者として殺し屋の追っ手に怯える男から、策略家で自信たっぷりの狙撃手へ変身する所は見もの。
八代万智子 大柄でスタイル抜群の不思議な日本語を話すシチリア美人?!ジーナと、怖い女殺し屋を好演してます。

- by tik. 2004. 6. 9.-

tik局長 鑑賞ノート