MAKING OF KEYHUNTER
こうして「キイハンター」は生まれた
キーワードは、ハードボイルド・エージ!
多くのハードボイルド作品が作られた時代に、
挑戦するように生まれたキイハンターの、
TBSテレビ番組宣伝、テレビニュース、新番組紹介の、
「キイハンター」紹介記事を、以下要約し紹介してみると・・・
4月6日(土)から登場する ハードボイルド・エージの決定版! 「キイハンター」非常なアクションとお色気もたっぷり 丹波哲郎、野際陽子ら5人の冒険者が国際的な活躍 という見出しで紹介された「キイハンター」は、放送予定は26回となっていた。 書かれている3つの【特 色】は・・・・・・ その一《ハードボイルド》 ことしはテレビのハードボイルド・エージといわれる。ハードボイルドの面白さはスピード、スリル、サスペンスを要素に、意表をつく恐ろしい事件の展開やトリックの駆使による意外性、登場人物の命を顧みない非常なアクションの爽快さ、カラッとしたお色気など、およそ現実のわずらわしいさとかけ離れている点にある。その意味では現実の憂さを吹き飛ばす清涼剤的娯楽作品であり、いいハードボイルには、正反対のセンチメンタリズムやロマンチシズムを取り入れた、上手いバランスが必要な事を忘れず、ハードボイルド・エージの白眉となるような番組を目指している。 まさにキイハンターのカラーがそのまま表現されている。 ハードボイルド・エージ(エイジ)という言葉も、新鮮。 「命を顧みない非常なアクション」 は、風間のエピーソード 「カラッとしたお色気」 は、啓子、ユミのエピーソードに表現され、 「現実のわずらわしいさとかけ離れている」 「現実の憂さを吹き飛ばす清涼剤的娯楽作品」 という表現は、そのまま「キイハンター」の最大の魅力となった。 その二《プロット》 ハードボイルドに不可欠なのは、卓抜でバラエティーに富んだアイデアである。 そのためにこの番組では、都筑道夫、生島治郎、海渡英祐、河野典生など推理作家、SF作家、ハードボイルド作家にオリジナルプロットを依頼し、それを元にアクション物を得意とする脚本家、監督が映画に仕上げる。原作ものでない映画に、作家がオリジナルプロットで協力するのは、珍しい制作方法である。 バラエティーに富んだ「キイハンター」の裏に<原案>という形で 初期のモノクロ作品にスタッフ紹介されている作家達がいたことも、 キイハンターのスタッフの制作意欲を表わしている。 その三《タレント》 映画のアクションものでは世界的な代表作”007”で、一方の主演を演じた丹波哲郎が、「ここ半年はこの一本にかける」という意気ごみで、この番組の中心人物となる。知的なマスクと勝気な気性の野際陽子は、番組の性格にピッタリの個性で、大胆にクールなお色気もふりまく。日本体育大学を出た千葉真一は、機械体操を得意とし、長身でスマートな谷隼人はバスケットの選手、ともにアクション物にはうってつけである。二人ともテレビ出演の経験はあるが、主役的レギュラーははじめてで、既に東映が売り出しているので、テレビの大型ニューフェイスとして期待できる。 愛らしい大川栄子は、視聴者と同じ目を持ち、現実の世界とハードボイルドの世界の橋渡しの役目をする。このようにすべて個性に敵った適役のレギュラーの活躍のほかに、外人タレントも多数ゲスト出演して、グローバルなムードをもりあげてゆく。 丹波哲郎、野際陽子の二人がキャスティングのメインとなり、 千葉真一、谷隼人が、アクションを担当する新人扱いだったことを再確認! 千葉真一はテレビの変身物やニュー東映で主役、東映でも準主役と、 多数の映画出演がありながら、まだまだブレイクできずにいたのが良くわかる。 出番が少なかったユミちゃんが、現実とかけ離れたストーリーに 観客に引き込む貴重な役どころを担っていた事も、再確認! 【”キイハンター”の意味】 ”キイハンター”とは、このドラマの主役グループ、黒木鉄也(丹波哲郎)、津川啓子(野際陽子)、風間洋介(千葉真一)、島龍彦(谷隼人)、谷口ユミ(大川栄子)、この五人グループの呼び名として作ったTBSの新造語である。キイとは解決の手がかりであり、その手がかりにおどりかかるハンター、つまり、公の官憲が扱えない事件を、その痕跡すら残さず解決する事件の密猟者達の意味である。 ”キイハンター”という言葉が、ここから数年間、 お茶の間にインパクトを与える、合言葉になった。 そして、メンバーのチームワークを表わす言葉にもなっていった。 【内 容】 現代は「知力戦の時代」と呼ばれる。国際的にも、国内的にも、政治、経済、化学、軍備、あらゆる分野で、その主導権をめぐって、非合法な、そして知られ座主戦いが行われている。ことに東京は、国際犯罪者の天国と言われ、スパイの甘い猟場と言われている。 このような現状を背景に、架空の国際警察特別室を設定しその室長・村岡(仲谷昇)だけが知っている、特殊スタッフ・黒木鉄也をキャップに集った5人の冒険者。大東京を舞台に、底にすむ人々の平和を脅かす組織や陰謀や犯罪の鍵、反映の敵である悪の鍵に敢然と踊りかかる”キイハンター”の、スリルとサスペンス、スピードとアクションにみちためざましい活躍を、ハードボイルドタッチで描くものである。 「知力戦」という言葉は、 ネット社会の現代でも、形は変わっているが通じるものがある、 「東京が国際犯罪者の天国」という今でも続く現実問題として、 「キイハンター」の変わらぬ魅力を感してしまう。 【”キイハンター”の結成】 黒木鉄也は元外事局の諜報部員。上司の命令に命をかけるより、命の自由をおう歌する事を選び、ヨーロッパで敵の女スパイを愛し、失敗を犯す。人間的な失敗が許されぬ組織にイヤ気がさし、自由の身となったが、将来の冒険好きと、悪を黙って見過ごせぬ彼は、平凡な生活が退屈でたまらなかった。そんな彼の周りに、いつか、同じような類の、新聞社という組織に安住できなかった元社会部記者の風間洋介、黒木と同じ諜報部員だった父を無くし、就職も出来ずにいるカーマニアの若者、島龍彦が集まる。彼らが、スイスからきた美少女エレナの死からひろがる、スイス銀行の預金者リストをめぐる国際事件にまきこまれ、ジュネーブの諜報部員・津川啓子を知り、協力して事件を解決する。 (第一話『裏切りのブルース』)。 事件を解決した津川啓子がスイスに帰ろうとした寸前、彼女をオトリにしようと企む女があらわれ、勝気な啓子がわざと企みにのると、その裏に数年前の百万ドル強奪事件が絡んでいた。犯人達との死斗に勝ったが、気を緩め問題の女の存在を忘れ窮地にたち、黒木たちに助けられた啓子は、スイスに帰ることを断念、仲間に加わる。 (第二話『非常の唇』) かつて黒木の同僚で、今は国際警察特別室長の村岡は、かねて、有能な黒木が野に放たれているのを恐れ、惜しんでいた。 村岡は思い切って黒木に困難な事件の解決を依頼した。京都で開かれた宇宙科学総会に出席した、世界の図のうち割れるゲルハルト博士が誘拐され、ブリタニア大使館に連れ込まれた。治外法権の大使館から博士を無事に救い出せというのだ。誘拐の首謀者を知った時、黒木はビクットした。ニコラス・ルーミス、誘拐を専門にする国際犯罪者であり、黒木が現役の諜報員の頃苦杯を飲まされた相手である。 黒木の血が踊った。啓子には相手がプロなのが、気にいった。こうしてこの事件を解決した時、村岡と黒木の間には男同志の密約が出来ていた。村岡の縛りつけはしないという条件で、黒木は国際警察特別室特殊スタッフという地位を受け入れ、村岡との協力関係にはいった。しかしこれは村岡と黒木の間にだけ了承されていることだった。 (第三話『誘拐の城』) やがて、何かと黒木たちの部屋に入り浸っていた、谷口ユミも、マスコット的秘書の形でグループに加わることになり、ここにそれぞれ異なった前歴と、際だって強い個性をもった五人のグループが成立した、そして誰からともなく、彼らは自分たちの事を”キイハンター”と呼ぶようになった。 キイハンターの結成は初回から3回まで、たっぷり時間を使って描かれた。 一話では、黒木、風間、島、ユミと啓子の出会い、 二話で、啓子が仲間に加わり、 三話では、村岡と黒木たちの繋がり、村岡の指令により 事件解決に向かって”キイハンター”という5人グループが 一つになって戦う姿が描かれている。 【”キイハンター”のメンバー紹介】 黒木鉄也(丹波哲郎) ― ”キイハンター”のキャップ 元外事局の諜報部員。国際警察特別室特殊スタッフという彼の肩書きは、室長ン村岡以外誰も知らない。そんな立場なので、村岡の指令にもとづき、危険な大仕事に命をかけねばならぬと気もあるが、又彼の正義感から、なもない一市民を守る為、命を張る自由も持っている。射撃の名手。唐手(空手)の達人。 いつももてあそんでいるコインは、指ではじくと、杉の五分板をブチ抜く武器ともなる。医学の心得もあるが、女好きが弱点。 自由を手に危険な仕事にも命をかける黒木ボス、 その必殺コイン投げの技は、 放送当初良く見られた技だったが、カラー編ではほとんど知られていない。 医学の心得についても、以外だった。 津川啓子(野際陽子) ― 元ジュネーブの諜報部員。 英、仏、独、中近東の言葉に詳しい。 天才的な奇術師で、彼女の指先にかかると、どんな金庫でも開いてしまう。最大の武器は、男に反撥と魅力を同時に覚えさせる、つんと澄ました美貌であろう。大変オシャレと、恐ろしく勝気な所が弱点ともなる。 中近東の言葉を操る姿は見ていないが、 カラー編でも中近東地域の事件を担当している。 奇術師に実際に扮し、黒木と一緒にマジックをしたこともある。 鍵開けはお手の物、恐ろしく勝気で、キイハンターの姐御として君臨!?! 風間洋介(千葉真一) ― 元敏腕の社会部記者 事件に対する臭覚と推理のカンは抜群。軽業師そこのけの身軽さと、タフな筋肉を持っている。恐ろしく我の強いところと、ギャンブルに目がないのが弱点。 タフな肉体ならぬ”筋肉”の持ち主という言葉に注目! 恐ろしく我の強い所は、女性(啓子)の前では見せないが、 敵との一対一の対決ではなくてはならないもの。 ギャンブル好きは、第一話のオープニングのセリフで解かる。 島龍彦(谷隼人) ― 黒木の助手。 事件で諜報部員だった父を亡くし、早くから黒木の所にころがりこんでいた。無類のカーマニアで、スタントカーそこのけの運転をする腕を持っている。”キイハンター”の重要な機動力。スマートなハンサム・ガイだが大変そそっかしい。 諜報部員だった父の話しは、当初は出てこない。 そそっかしさは、”ぼうや”の相性で仲間に可愛がられるキャラクターにも繋がっている。カーキチの腕は、オートバイの運転でも発揮される。 谷口ユミ(大川栄子) ― 黒木の秘書 ”キイハンター”のマスコット的存在だが、電子頭脳なみの記憶力を持っていて、思わぬ手助けをする。非常なオシャベリなのには迷惑な事も多い。 黒木の秘書というより、可愛いメイドといったキャラクターは、 大家の娘の設定も入って、 おませな大人びた物言いのオシャベリ娘になっているが、 ”記憶の天才”という愛称で表わされる 情報源としての重要な手助け役も受けもつ。 憎めない明るいキャラクターは、欠くことの出来ないマスコット的存在。 【 丹波哲郎の話 】 TBSは初出演と言う事でもあり、私が責任を取らされる以上、とてつもなく面白いものにしなければと思って「女の警察」「七人の野獣」などの映画を断わって、この一本に集中する事にしたんですが、さてヒマができたら、この番組の設定から内容、タイトルまで、モーレツうるさく注文をつけるようになったのですが、立場が違うのか、なかなか受け入れてもらえなくてね。 それはおくとして、我々はプロフェッショナルとして活躍するのだから、いかに恐ろしく殴られるか、いかに恐ろしく車をぶつけるか、いかに恐ろしいはなれ技アクションをやって見せるか、われわれはそれを研究したいね。 当時の丹波ボスのアクションへのこだわりは、 画面を通して確実の伝わってきている!と実感。 「恐ろしい殴られ方」「車のぶつけ方」「はなれ技アクションのし方」 と言う表現に、拍手!!(笑) まさにこの作品の大きな魅力の一つとなったものである。 【 菅原プロデューサーの話 】 従来の事件もの、ハードボイルドものは、事件や仕掛けが主人公、人間は非人間的でアクションの機械のようで、たとえ人物がだれであっても、面白さにかわりはないような作り方のように思えます。この番組では人物的個性を与えることによって、この番組のユニークさを狙ってみました。 丹波哲郎をキャップに、野際陽子、千葉真一、谷隼人、大川栄子ら、彼らでなければやれない役柄の個性を設定するために、人物設定は七転,八転しました。事件に巻き込まれる過程や、事件に対する処し方が、際立ったそれぞれの強い個性にふさわしく、血の通った人間としてハードボイルドなアクションが一層生きる、そんな作り方をしたいと思います。 苦心の末の人物設定だった様子が、そのまま”役柄の個性”となり、 バラエティーに富んだ作品の数々にも反映し、 血の通った人間のアクションは、痛みを感じるアクションとして、 いまだ局長を魅了してやまないキイハンターの最大の魅力となっている。 SPECIAL THANKS to ”睡蓮75”様 |