No.7 「ギャング同盟」 ’68/05/18
俺達今日からギャング稼業ねぇ」

― ギャング団と同盟を組み密輸団の数億の金を横取りし、密輸団壊滅を狙う
倉庫会社重役失踪事件の裏に隠された密輸の調査依頼を、
黒木が村岡室長から受け、啓子と風間が捜査を開始。
喫茶店”HYOTEKI”のマスターと店員二人のギャング団は、
常連客の話を盗聴し、数億の密輸の金を狙っていた。
啓子は、情婦と間違え接近してきたギャング団・相模から、情報を入手。
風間は、貿易会社部長・武藤の情婦のヒモになり、武藤に金を要求する。
現金受け渡し場所に現われた、殺し屋達を尾行した黒木と風間は、
密輸グループのボス”J.A.アルバレイー”の屋敷を突き止める。
ギャング団に捕えられた啓子は、同業のギャングに成りすまし、
救出に来た黒木と共に、ギャング団同士、手を組もうと提案する。
狙うは獲物は密輸の4億の金、腕前も分け前も五分と五分で、
ギャング同盟結成!啓子はギャングと行動を共にする事になる。
現金受渡日、風間は運転手に化けアルバーレー邸へ潜入、
ガードマンを倒すと、啓子とギャング団が屋敷内に毒ガスを撒き、
4億円強奪に成功!山分けした現金を積んだギャングの車は、
アジトへ帰る途中、パトカーに囲まれ刑務所へ。
無事任務を終え、喫茶店”HYOTEKI”へ立ち寄った、
黒木、啓子、風間の前に、突然、相模が現われて、
虫が知らせたと言って、コーヒーを出すと、
綺麗さっぱり足は洗いましたと、笑った。


スタッフ プロデューサー 近藤照男 坪井久智
監 督 鷹森立一 脚 本 池田雄一
撮 影 下村和夫 照 明 山本辰雄
録 音 岩田広一 編 集 大橋四郎
美 術 兼子 元 助監督 館野 彰
記 録 武田和子 進行主任 深沢道尚
擬 斗 日尾孝司 音 楽 菊地俊輔
衣装デザイン 大塚キミ子
現 像 東映化学工業(株)






キャスト 黒木鉄也 津川啓子 谷口ユミ 風間洋介
ナレーション:芥川隆行

ゲスト 玉川良一 金内吉男 須藤 健  有馬昌彦
林田 博 小畑みち子 久保比佐志  土山登士幸 
山之内修


プロフェッショナル キイハンター
≪赤いシグナル≫



プロフェッショナル キイハンター 次の赤いシグナル・・・
誰かが取るなら俺が取る!密輸会社の数億の金。
狙いは一つ、キイハンターとギャングのグループが手を組み
獲物は山分け、ギャング同盟。
だが、所詮、狐と狸の馬鹿し合い、
どっらが先に尻尾を出すか、勝負の鍵は襲撃の日。
ガスを使って殴りこみ作戦!勝てば猫、負ければ鼠の一本勝負。
さて、どうなるか・・・「ギャング同盟」

ストーリー ―
港近くの工場敷地内に、男が逃げ込んでくる。後ろから拳銃を持った外人が、前からは中年の男二人が、男を追い詰める。必死に逃げる男は、止めてあった車に乗り込むが、なかなかエンジンがかからない。叫ぶ男を乗せたまま、工場のクレーンが高々と車を持ち上げ、空中で放した。地面に叩きつけられ、窓ガラスが粉々に壊れた車を見つめ、顔を見合わせる男達。再びクレーンで持ち上げられた車は、空中からまっ逆さまに落ちて大破した。

                             「ギャング同盟」

 一ヶ月後。銃やライフルで装飾された喫茶店に、例の中年の男二人が入って来た。挨拶するマスターに、いつものコーヒーを注文し、奥の席に座ると、マスターが、カウンターの二人の店員に合図を送る。店員の相模が頷きウインク、隣の部屋でヘッドフォンを付け、カウンターのカーテンの奥で会話を録音する。閉店後、店長と二人の店員は、オープンリール・テープレコーダーの前に座り、盗聴テープを聞いていた。『蒸発ばやりで、警察は例の男に関して本気で動いていない/一流会社を隠れ蓑にした密輸とはよく考えた/足を洗うなんて考えるから/命をなくしたら何億貰っても、花実が咲かん』二人の話に、獲物はデカイ、ほっとく手は無いと、ギャング達はニヤリ。手始めに、相模が、情婦に近づく”いつもの手”を使う事にした。
 霞ヶ関の黒木の部屋へ、福引!と、黒木が封筒を三つ持って入って来ると、風間と啓子は奪い合って取るが、中の写真を見てガッカリ。風間が、中島康夫・東南船舶運行部長と裏に書いてある写真を啓子に見せると、啓子も、武藤譲吉・愛国貿易輸出部長と書いた写真を見せる。海軍で同じ船に乗っていた生き残り二人の、生活態度を洗って欲しいと、黒木が写真を見せると、風間と啓子は、車を眺めていた二人の男と、車の中で殺された男の顔を確認する。突然、啓子が、行方不明の倉庫会社重役に関係ありね、3億円近い隠し預金があり、武藤と言う男の名前が出て来たと、話し出す。村岡室長からの電話を盗み聞きされたと知った黒木は、油断も隙も無いと言うが、元スパイですものと、啓子は得意顔で、海軍時代の背後関係調べておいて頂だいねと黒木に言う。かしこまりましたと、答える黒木に、後から入って来たユミが、何時から啓子さんがボスになったのと聞くと、この部屋は実力主義なのと、張り切って出かける啓子。ユミが笑いながら、猿と同じねと黒木に言うと、啓子が扉から顔を出す。その背後で、何やらジェスチャー?!する風間。気付いた啓子に、馬鹿!と怒鳴られ、風間は慌てて出かけて行った。
 情婦のマンションの部屋へ、やって来た武藤。部屋に入るなり、つけられたと窓の外を覗くと、マンションの下の車の中では、武藤の情婦を狙う相模が待機中。武藤が女といちゃつく隙に進入した啓子が、武藤の鞄から取り出したのは、『まむしドリンク』鞄に戻し手帳を取り出すと、銀行預金のメモを写真に撮る。気づかれ無いようマンションを出た啓子だったが、ロビーにいた相模がしっかり見ていた。
 クラブでブランデーを飲みながら待っている風間の後から、首筋をくすぐる手が。風間が気づいて、その手を捕まえ振りむくと啓子が笑っていた。早速、風間が、中島が出所不明の金を使い会社の株を買占め、課長から重役になっていると報告すると、啓子も、武藤が株の代わりに女に手を出していると言って、今夜は徹底的に飲むわよと、風間のグラスを取り上げ、一気に飲み干した。荒れ模様ね〜と言われて、隣のベットでいちゃつかれたと愚痴る啓子に、君はくじ運がよかった、顔が火照ってる?と、啓子の頬に触れ覗き込む風間。啓子が、口説く気と見つめ返すと、トライ&エラーと答え、笑う二人に、突然、カメラのフラッシュが。カメラを手にした相模に、屋上へ呼びだされ、いきなり殴られた風間は、いって〜と、相模に飛び蹴りで反撃開始。所狭しと二人の格闘が始まるが、腕前は同等?なかなか勝負がつかない。啓子がようやく止めると、カメラを手に、二人のいいところを撮ったこのフィルムをじいさんに送ったらどうなると言う相模。二人は、全くチンプンカンプン。いらついて話す相模の言葉で、啓子が、武藤と風間の二股掛けた情婦と、勘違いされていることに気付いた二人は大笑い。やだ〜と飛び跳ね、大はしゃぎの啓子に、あっけにとられる風間。相模に怒鳴られ、啓子が笑いをこらえながら、情婦だと認めたらどうなるかと訊くと、早速、二人っきりで相談しようやと、相模は、口説く準備。こうおっしゃってるけど?と聞く啓子に、この際これも手じゃないと、風間もニヤリ。啓子はトライ&エラーと、相模にウィンクする。
 相模の車の助手席に乗り込んだ啓子は、相模の質問に情婦のふりをして答える。相模は車を止め、啓子の指輪を見ながら、早速口説き文句を言うと、啓子の平手打ちにも、余裕の微笑みで車を走らせ、武藤の億単位の金を狙っている、スパイになって欲しいと言う。断わったらと言う啓子に、君は断われはしないさと、突然車を止め、唇を奪う!不意をつかれて啓子はビックリ。
 翌日、揃ってクレー射撃をする、ギャング達。相模が標的を外し、薬が頭の芯に残っていると言うと、仲間の店員に、ホテルに連れ込み睡眠薬を盛られるとは、相模さんらしくないと言われる始末。ひょっとすると”くのいち”だとマスター、逆に探られたと、相模。俺達より上手なグループがどっかに・・・と言うマスターに、仇は必ずとると、相模は標的を撃つ。
 霞ヶ関の黒木の部屋では、啓子が持ち帰った相模のカメラの写真が現像されていた。ユミが風間と啓子の写真を取り出し、イイセンいってるじゃないと啓子に見せると、啓子は笑って、問題はこっちと、一枚の写真を渡す。ガンモデルが飾ってある喫茶店のようと、ユミが黒木に渡すと、ただのゆすりじゃなかったと、風間も見る。もっと付き合って身元を探ればと残念がる啓子に、又、お目にかかれるさと風間が言うと、俺たちの狙いはあくまでも武藤だ、金の出所を突き止め一網打尽にしてやると、黒木が言った。密輸ですかと風間が訊くと、証拠は無いが奴らを操るボスがいる筈だと確信をこめ言う。
 情婦の部屋にやって来た、武藤がチャイムを鳴らすが、返事は無く、部屋の鍵は開いたまま。グループサウンズの音楽が流れる部屋の奥にベッドに女の足を見つけ、ニヤリとカーテンを開けると、そこには女のうなじにキスをする男。誰だ!と武藤が言うと、振り向き女の亭主”ひも”だと、写真を見せる、サングラスを掛けたヤクザのヒモ、風間。啓子の顔を女の顔に変えた相模のツーショット写真を見て、興奮し女の名前を呼び迫る武藤だが、風間に凄まれ身動き出来ない。女の背中に押し当てた果物ナイフを上着で隠し、女をベットから起こし部屋の外へ出した風間は、世話になった礼が残ってると、ナイフをテーブルに投げつけた。手帳の写真を見せ、隠し預金のメモかと迫るが、仕事上のメモだと_煙草を吸う武藤。出る所へ出て銀行を当たらしてみるかと言い捨て風間が帰ろうとすると、幾らだと、武藤が口を開く。100万と言われ頷いた武藤に、今夜8時、第一回目の取引をしようと、風間は『深海魚』と書いたマッチをテーブルに投げた。
 クラブ『深海魚』では、武藤の仲間の殺し屋3人と、黒木と啓子、そして風間が、武藤を待ち構えていた。生バンドのジャズが流れる店内に、武藤が入って来ると、黒木が物陰に隠れ、啓子と風間に合図を送る。風間の隣に座った武藤は金を出し渋るが、知ってるのは俺一人安心しろと風間に言われ、札束をテーブルに出す。風間も写真を出すのを見て、外人殺し屋が引き金を引こうとした、その瞬間、黒木と外人女性が踊りながら視界を遮り、啓子は、酔ったふりをしてもう一人の殺し屋の拳銃をライターと間違え取り上げる。気が付くと、風間は消え、立ち上がって見回す武藤、殺し屋達も焦って席を立つ。パートナーの外人女性に礼を言って別れた黒木に、啓子も笑顔を送り席を立つ。
 人通りの無い新宿駅西口、地下道を駆け抜ける風間と、後を追う3人の殺し屋達。外人殺し屋が、街灯の下を走る風間を撃つと、風間は倒れ視界から消え、突然、一台の車が走リ込んで来る。三人を蹴散らし止まると、中から風間が飛び出し、地下へ階段を駆け下り、地下道から地下商店街へと逃げる。バス乗り場への階段を駆け上がる風間の前に、殺し屋が現れ、危機一発、階段を飛び降りると、前方からも殺し屋が迫る。ひと足早く階段を駆け上がった風間を、殺し屋達が見失っている隙に、一服と煙草をくわえる風間。いきなり煙草を取られ、ドキッ!黒木が、まだ早いと笑うと、風間はウィンク。啓子も、離れたところから笑って見ていた。啓子にウィンクして、これからがお楽しみ、見ててねボスと、車道へ出て行く風間に、黒木が煙草を渡すと、追いかけっこ再開!風間を見つけた殺し屋達が地下へ降りてくると、風間は車道を駆け上がり地上へ、地下へと飛び降り、札束を取り出し、地下街で金だぞー!とばら撒くと、たちまち人ごみが出来て警官達も現れる。お金が落ちてる、早く拾って!と、風間が警官を呼ぶと、慌てて隠れた殺し屋達は、諦めてそれぞれ分かれて帰って行く。今度は、黒木、風間、啓子が、殺し屋達の尾行開始。啓子は、地下駐車場で急発進した車に邪魔され外人を見失うが、喫茶店のマスターに銃を突きつけられ車に乗る所を目撃。急いで自分の車へ戻ると、助手席には相模が乗り込んでいた。外人を乗せた車が駐車場から出て行くと、、降りようとしない相模は、笑いながら追わないんですかと言う。仕方なく運転席に乗り込んだ啓子だが、相模を見てニヤリと笑った。
 暗闇の中、殺し屋の乗った車が大きな屋敷の奥へ消えるのを、門から見る風間。その背後に、影が忍び寄る。手が肩にかかった瞬間、素早く避けると、黒木が笑っていた。意地悪じいさんと笑う風間の顎に、黒木が笑って軽くパンチを入れて、俺の付けて来た殺し屋も屋敷に入ったと言った。塀に書かれた、J.A.アルバレーと言う文字を二人で確認し、敵のボスを突き止めた。
 マスターが外人殺し屋を撃った音で、目を覚ます啓子。人殺しはいけないと言う相模に、ゴキブリが一匹死んだようなもんだと、マスターは冷ややかに言った。啓子が目覚めたのに気づいた相模が、ここが自分たちのアジトだと言うと、コーヒーをご馳走してあげたらと言うもう一人のギャングが言って、啓子は、写真に映っていた銃の飾ってある店へ案内される。相模は、自分たち三人が趣味のガン愛好クラブで知り合って犯罪グループを結成し、テーブルランプに仕掛けたマイクで密談を聞いて悪い奴から金いただいていること、武藤は常連客で、啓子を情婦と間違えたのは自分の失敗だったと話し笑うと、啓子も笑った。マスターが出した、コーヒーを飲む啓子は、お仲間がいるようだがとマスターに言われ、あなた達と同じ武藤の億という金を狙っていますのと、同業者ふりをしてモデルガンを手に取った。マスターは、持っていた銃で啓子の銃を抑え、殺し屋から密輸であくどく儲けている武藤達の秘密を聞き出した、手を引いてもらいたい、できないなら貴方が命を落とすと、銃を突きつけ、啓子に仲間に電話をかけるように迫る。
 黒木の部屋の電話が鳴り、風間が出る。啓子ちゃん!と言うと黒木に渡し、心配そうに聞き耳を立てる風間。啓子が、ギャング達の顔色を伺いながら、ライバルの手に落ちちゃった、手を引けって、あたしが人質ですって、と甘ったるい声を出し、残念だわ武藤の何億って金とんびにさらわれちゃうと話すと、何処だと訊く黒木に、しゃべったら殺されちゃう手を引いてね、啓子さん殺されたら困るでしょう、お願いねと言い、気が付かれない様に指輪を受話器の下に忍ばせ、受話器を下ろした。焦る風間に、繋がったままだと黒木が受話器を耳に押し当てる。啓子は店のマッチを手に取り、喫茶店”HYOTEKI”か、こんな所のマスターがギヤングの真似事だなんてと、黒木に伝えるが、マスターに拳銃を突きつけられ、相模が止める。睨み合う二人にチームワークが我々の旗印じゃなかったんですかと、もう一人が割って入ると、お薬飲まされたことを忘れないで頂だいよと、相模の頬に銃をあて言うマスター、啓子は相模に、ありがとうと礼を言った。
 マスターがシャッターを開けると、目の前には、ソフト帽に黒いスーツ姿の黒木が立っていた。マスターが、思わずシャッターを下ろそうとすると、黒木はシャッターに手をかけ、よろしいかなと言う。マスターに案内され、店員にマンデリンのブラックを注文し、連れがとっくに来ているはずだがと、店内を見回す黒木。昨夜クラブにいた、なんでここが解かったのかと首をかしげるマスター達。鼠の住処にしちゃなかなか洒落ている、馬は馬ずれだと黒木が言うと、鼠はねずみ連れとおっしゃりたい?とマスターが言い返し、どうぞと、啓子が縛られているアジトへ案内した。縄を解かれた啓子は黒木のとなりで、これをプレゼントしたらと指輪をはずす。黒木も、目的は同じ、腕も五分五分、成功した時の分け前も五分五分で、手を組まないかと提案する。啓子に、全ての行動を共にしてもらうと言う、マスターの条件を、啓子も承知すると、お互い決して裏切らない証の為にと、相模が啓子の指輪を手に取り、互いに誓い合う。
 上空を飛ぶ一機のヘリコプター。操縦席には、カメラを片手に操縦する風間。新聞記者の本領発揮!?器用に操縦桿を握り、上空からアルバレイー邸を撮影中。
 黒木の部屋で、黒木と風間は作戦会議。風間の撮影したアルバレー邸の写真をテーブルの上に広げ、その上に、黒木がJ.A.アルバレイーの写真を出す。ボスのアルバレイーは、太平洋戦争時代、武藤たちが捕虜になった敵艦のキャプテンだという話を、部屋を歩きながら聞いていた風間は、昨日の敵が今日の友!横浜の家で、年一回、密輸で儲けた金の山分けがあると言うが、一人が一億を越すと聞いて、4人で4億!と、口笛を吹きソファーに倒れ込む。コーヒー屋グループの4億円略奪計画に、表面上共同戦線を張ると言う黒木に、山分けの現場さえわかればと、残念そうに風間が言うと、黒木に焦らず待つように言われ、俺たちゃ今日からギャング稼業ねぇ〜、デケデケデケ・・・と、マシンガンを撃つ真似をする。黒木もいきなりダダダダッと大声で機関銃を撃つ真似。目を丸くする風間の横で、黒木は愉快そうに大笑い。
 啓子と相模がアルバレイー邸の塀の外で車を止め、仲間が導きいれてくれる二股の木を確認する。見張りの男に気づかれ、アベックの振りをして抱きつく啓子に、自称プレーボーイの相模も少なからず動揺する。港に車を止め、仕事が成功したら正式に仲間にならないかと、真面目な顔で言う相模に、黙って微笑み海を見つめる啓子。その肩を抱きよせようとするのを、仕事が成功したらと止める啓子に、君が裏切るんじゃないかと虫が知らせると、相模は不安そうに言った。虫の妄想よと啓子が笑っても、相模の表情は晴れなかった。
 クレー射撃をする中島と武藤は、喫茶店”HYOTEKI”へ。ウエイトレスの啓子が、いらっしゃいませと迎えると、マスターにいつものと言って奥へ座リ、早速、相模が会話を盗聴する。『今度は車が迎えに来てくれる/用心してる/チンピラが殺し屋を消しちまったとなると、ゆすりどころじゃ無くなる/ボスもそう踏んでる』二人の会話からは、肝心の日取りがわからない。マスターがコーヒーを運び、射撃コンクールへを開くので、ご常連のお客様に是非出て頂いきたいと、手帳のカレンダーに都合の悪い日を書き込ませる。19日、23日・・・・×を付けるのを確認し、お持ちいたしておりますとカウンターへ戻ると、手帳を覗こうとする啓子に、君のマスターに、明日の晩に来るように伝えてくれと、手帳をしまった。
 アジトで、丸テーブルを囲んで地図と写真を見る、黒木と啓子とギャング達。俺たちは外側から用心棒を倒す、君達3人が襲撃と言う黒木に、マスターは、襲撃は4人だ、仕事が全て終るまで啓子さんは俺達と同一行動を取ってもらうと、言った。分け前は折半、仕事が済み次第無関係な人間となり別々の巣へ戻るという、ギャング同盟の下、襲撃の日と敵のアジトを確認する。相模が啓子の指輪を出すと皆人差し指を指輪の上に重ね誓い合う。
 チョウネクタイをした中島が外車で屋敷へ到着、続いて、やってきた武藤の外車の運転手は、長髪かつらに付け髭、派手な柄シャツを来てサングラスをかけた風間。車を屋敷の裏へ止め、見張りをやっつけ車のトランクへ押し込むと、風船ガムを膨らます。縁の下に隠れて、見張りの男の足を突っつき、振り向きざまに男の口を塞ぎ投げ、外れた鬘に驚く隙に男をやっつけ縁の下へ隠す。ずり落ちたサングラスをはずし鬘を頭に乗せ、啓子たちとの待ち合わせ場所へ駆け出す。
 屋敷の応接室では、武藤と中島がガードの男達に囲まれ、アルバーレーが階段を降りて来ると、互いに握手、事業は益々順調、昨年以上の配当だ、金を肴に大いにやろうと、男達にジュラルミンのケースを4つ持ってこさせ、中身を確認する。
 風間は、邪魔な見張りに鬘を投げ倒すと繁みに隠し、待ち合わせ場所で合図の口笛を吹いた。つなぎを着てガスマスクをつけた啓子達が、車から降り塀を登って入ってくる。ガス銃と、酸素ボンベを受け取り、屋敷の植え込みに隠れる。屋敷の入り口を教える風間の取れかかった付け髭に、啓子が吹き出すのを抑える風間。見張りに気付かれ飛びかかると、屋敷に入るように合図、啓子と走り出だす相模を、俺と一緒に行くんだとマスターが止めた。相模は困惑顔で啓子を見るが、啓子は相模に銃を渡しもう一人のギャングと屋敷へ。約束が違うと言う相模に、何時まで味方だと思ってるんだとマスターが言い、後を追う。四人はガスを撒き散らし、殺し屋達は逃げまどいバタバタと倒れた。黒木も車を塀の外に付け、襲い掛かる男達4人を、空手チョップやキックであっと言う間に片付ける。ジュラルミンのケースを持って集合場所に戻るが、相模がいない。啓子と男が、マスクをつけたまま倒れている男を見つけ担ぎ出し、車に乗せた。全員揃うと、約束通りジュラルミンケースを2個づつ分け、笑顔で自分たちの巣へ戻るギャング達の車を見送る、キイハンター。
 マスターはご機嫌、助手席で運転手と口笛を吹くが、サイレンを鳴らし追い抜くパトカーを見て、気をつけろよと言う。しかし、気が付くと、車はパトカーに囲まれていた。
 着替えを済ませた風間と啓子。ボスを裏切り気分が晴れない啓子は、密輸摘発の功労者だ、じき出してやれる、マスターから入れ方を習った上手いコーヒーをご馳走になりたいと黒木に言われ、笑顔が戻る。風間が喫茶店へ車を走らせると、”HYOTEKI”が開店しているのを見て、3人は不思議そうに入って行く。カウンターから、相模が顔を出し、驚く啓子たちに、虫が知らせたと言うが、啓子は、確かに車に運んだと言う。マスクの下まで見たかと笑うと、啓子はあっけに取られ、風間も言葉がない。相模がカウンターにコーヒーを出すと、猫いらずなんか入っていないでしょうね?と、啓子。思わず飲み込むのを止め、目を丸くして相模と黒木を見る風間。黒木が笑ってコーヒーを飲むと、風間もゴクリ。気にしない、綺麗さっぱり足は洗いましたと、相模は啓子に、笑顔でウィンクした。
 Tik局長の感想記 ―

キイハンターの台詞はクールで、オシャレで、カッコイイ!そして愉快?!
局長の感想と、セリフと一緒にまとめてみました。
セリフ・・・・木鉄也津川啓子谷口ユミ間洋介
村岡室長、島竜彦・・・今回お休み)
  村岡室長から黒木が依頼された密輸団壊滅作戦、ギャング団と同盟をくむ事になったキイハンター。もちろん、最後に笑うのは、我らがキイハンター!啓子は、スパイの本領を発揮、黒木と村岡の電話を盗み聞きし、実力主義とばかりに、黒木のボスの立場を脅かし、ギャング団に捕らわれても、ギャング達の裏をかきアジトの場所を伝え、共同戦線を提案する風間も、女のヒモ・黒木商会のヤクザや、鬘と髭をつけて変な外人運転手に変装し、走り回ったり、格闘したりと、エネルギッシュに大活躍。記者時代を髣髴させるヘリコプター操縦しながらの撮影姿も決まってます。愉快そうに、ギャングのボスを楽しむ?黒木も、啓子を助け出し、空手チョップであっという間に敵を倒し、最後に貫禄を見せ付け、落ち込んだ啓子を慰める器量は、やっぱりボス!今回のユミの出番は、短いけれど、ナイスな突っ込みを入れたり、啓子と風間にチョッカイを入れキイハンターのマスコット的存在感充分、島ちゃんが今回もお休みなので、二人揃って活躍するのは、もう少しお預け。
黒木の部屋で
 霞ヶ関の部屋、「さあ、さあ、さあ、福引!福引!」封筒を三つ持って入って来ると「えっ、何の」「こいつは珍しい、何かプレゼントでも?」啓子と風間が喜んで椅子から飛び起きやって来る。「ひいてごらん」出された封筒を、わしづかみする風間の手を「あっ、これあたし!」と、啓子の手が掴む。二人で顔を見合わせ「レディーファースト」「うん」やっぱり姐御の睨みには勝てません!(笑)揺り椅子に座って啓子のほうを覗く風間、啓子が覗き返すと、背を向け封筒を覗き、啓子も封筒を隠して覗く。「何これ?」中から出て来たのは、中年の男の写真「カワイコちゃんの写真ならともかく、なに、なに?(写真の裏にかいてある名前を読む)中島康夫・東南船舶運行部長、う、うんこう?ウンコ!ウン?!」顔をしかめ鼻を摘む少年漫画(愛読書)モードの風間の駄洒落!(爆)ソファーの上で、ニヤリと笑う啓子も写真を見て「武藤譲吉・愛国貿易輸出部長、輸出部長?」あてがはずれ肩をすくめ「見てよ」写真を見せ合う二人に、カウンターから笑いながら「かつて海軍にいた時に、同じ船にのっていた生き残りなんだ。」と、軍服姿の3人の男が写った写真を出し、早速、お仕事モードにチェンジ!見に来た二人に「密かに洗ってもらいたいんだよ。特に日常の生活態度。身分と不相応の暮らしをしているかどうかだな。」自分の写真と見比べる風間の隣で「行方不明になった倉庫会社の重役に関係ありね!調べてみるとね、3億円近い隠し預金を持ってる事がわかったのよ。探って行く内に、武藤って言う名前が出た」得意そうに話す啓子を、風間と黒木が不思議そうに見て「どうして君がそれを」「あはん、さっきちょっと聞いちゃったのよ、村岡さんからの電話」ニコニコ顔の啓子「ははぁ、油断も隙も無いね」「元スパイですもの」得意顔でニンマリ、ボスの存在を密かに脅かす?!啓子。揺り椅子にすわり写真を見せ「その失踪した男ってのは、こいつだ」車へ逃げ込んだ男の顔を指す「はぁ、なるほど」頷いていると、ユミが入って来る。「じゃ、黒木さん、この海軍時代の背後関係調べておいて頂だいね」「ハイ!かしこまりました」素直に返事をする黒木を見るユミ。「じゃ」と、出かける風間の後から、出て行こうとする啓子に「何時から啓子さんがボスになったの?」不思議そうに聞くと「うふん、この部屋は実力主義なの」と言われ、思わず「じゃ猿と同じね」と黒木にニコニコ顔で言うのを聞きつけ「えっ?」と扉を空け、顔を出すと、その後ろでユミに向かって、駄目駄目と身振り手振りする風間に気付いて「馬鹿っ!」慌てて出かける風間。姐御にたてつくと、怖い!?!
待ち合わせのクラブにて、 風間&啓子&相模
クラブで一人ブランデーを飲む風間のうなじに手がふれ、風間が埃でも払うように首を触る。再びうなじを触れた手を素早く掴んで、振り返ると啓子が悪戯っぽく笑っていた。啓子の悪戯に、まんざらでもまさそうな、風間君!?「ね、どうだった」隣に座り「臭い」と中島の写真を出す「やっぱり」テーブルに写真をおき「この三年間で自分の会社の株を大分買占めてる。一介の課長が、今じゃとんとん拍子に重役だ、買占めに使った金の出所は不明」「こっちも同じよ、株の代わりに女に手を出しているわ。ふん、ケッタクソ悪いったらありゃしない。さっ、今夜は徹底的に飲むわよ、ちょうだい!」むかつきモードの啓子は、風間のグラスを取りあげ、一気に飲み干す「荒れ模様ね〜」「あたりまえよ、考えてもご覧なさいよ。カーテン一つ向こうのベッドでよ、色と欲とで、ひそひそベタベタ、う〜ん(色っぽく)なんて甘ったるい声出しちゃってさ。」口をあんぐりあけて聞いていたが、羨ましそうに「君はくじ運が良かった」「なんのこと?」「顔が火照ってるぜ」と言われ、啓子が頬
を触れ
「馬鹿にしないでよ」言い返すが、からかわれたお返し?!に、啓子の頬に手を当て顔を覗き込み「熱っぽいんじゃない」啓子も受けて立ち笑って「口説く気?」と風間の目を見つめ返すと「トライ&エラー」笑って降参?!「うふっ」ぶりっ子風に笑う啓子、演技とは言え、いいムード。突然のカメラのフラッシュに振り返った二人の前に、カメラを持った相模が「ちょっとお顔を」と笑顔でウィンクする。屋上で、パンチを食らった風間が軽い身のこなしで後転し立ち上がると、「いって〜ぇ〜」と顎を抑えると、飛び蹴りで相模に反撃開始!ここからは風間君の見せ所!!お互い殴り合い、身をかわすが、風間が高い台?に乗り鉄柱に捕まって回転キック!飛び降りると、命中し倒れた相模に、飛びかかる風間を、相模がキック&パンチ。避けて、フェンスによじ登り、フェンスの上に乗る風間。ビルの屋上は、下に低いビルが見えなかなかの高さ。フェンスは普通の金網で、もちろん平均台より細いところに、一瞬でも乗る風間に、見ていてハラハラドキドキ、スリル満点!屋上格闘シーンは、風間君の独壇場降りて殴り合い再開すると「お遊びはそのくらいにしたら」と言われ、風間が笑顔で「このキチゲエ野郎」と手をし出し近づき、相模が「色男にしちゃ馬鹿力だ」手を差し出したところに、風間が殴りかかるが、相模は素早く身をかわし、逆に背中に肘鉄。痛そうに身をよじる風間に飛びかかろうとする相模に「いい加減しなさいってばー!」と止めに入ると「へへっ、あんたもたいした女だよ、じいさんが疲れて眠っちまうと、今度は若い男ととダブルヘッダーか?」と、カメラを取りに行く相模「えっ?」意味がわからず顔を見合わせる啓子と風間「へへっ、お二人のいいところ撮らして貰った。このフィルムじいさんとこへ送ったらどう言う事に成ると思う?」「じいさんって?」「あんたのパトロンだよ」「パトロン?」「しらばっくれんじゃないよ!武藤のじいさんあんたにのぼせ上って大分入れあげてる様じゃねえの?」余裕綽々、脅しにかかる相模が、二人の前を通り過ぎ、考え込んでいた風間が、「ぷっ」ようやく気付いて噴出すと、「ふふふっははは・・・」隣で半信半疑で笑っていた啓子も、相模のあまりの勘違いに気付いて「フッフッ、あたしやだわ〜、やだ、やだ、やだ、やだ、やだあ〜、あはっはははは・・・」と飛び跳ねて笑って、大騒ぎ、風間を呆れさせる?!ブリっ子啓子のはしゃぎようこれもちょっと珍しいシーン!(笑)「何が可笑しい!」怒る相模に、啓子と風間はビクッ、顔を見合わせるが、笑いがまたこみ上げ噴出す。笑いをこらえ相模に近よって「ねえ、例えばよ、あたしが本当に武藤の情婦だって認めたとしたら・・・どう言う事になんの?」と、隣の相模の顔を覗き込む。「そりゃまあ、二人っきりでさ、ゆっくり相談しようじゃねえか」「うふっ」と相模を見てから、「ねえ、こうおっしゃってるけど?(どうしたらいい?)」と顔を出し風間に聞く啓子の髪の香りを相模がくんくん。風間は大きく頷き「この際これも手じゃない?」と、笑顔で答えると、相模からちょっと離れた「うふん、トライ&エラー」と笑って相模にウィンク。意外にも、啓子のウィンクは、ちょっとぎこちない?!
黒木の部屋で、相模の写真を見ながら
黒木の部屋で、相模の写真は、まだバットの水の中。ユミが現像仕立ての一枚の写真を啓子に見せて、悪戯っぽく笑って「なかなかイイセンいってるじゃない」と、相模が撮った風間と啓子が見つめ合う写真を啓子に見せる。今では思わず微笑んで見てしまう、啓子ちゃんと風間君仲、ユミちゃんは鋭いのか鈍いのか・・・(笑)啓子が軽く笑い「ふふん」真顔になって「ふふん、でもね、問題はこっちなのよ」とバットの中から取り出したのは、店の中を写した写真。ユミに渡すと「どっかの喫茶店のようね、ガンモデルが飾ってあるわ」と、黒木に「男のキャメラから抜き取ったフィルムの一コマだなこれは。」風間も写真を手に取り「やっぱりただのゆすりじゃなかったですね「ふう、惜しい事したな。とことん付き合って身元を探ってやりゃあよかったわ。」スパイの翻弄発揮できず残念そうな啓子に「この事件に食らい付いていけば、又お目にかかれる」「ふっ、そうね」と、相模に興味津々の風間と啓子に「俺たちの狙いはあくまでも武藤だ。」と、釘をさし「こいつらの金の出所を突き止めて、一網打尽にしてやる」真剣な表情の黒木を見る三人「密輸ですか、やっぱり」と風間が聞くと「疑惑だけで証拠が無いんだ。おそらく、奴らを操っているボスがいる筈だがな。」確信を持っている様子の黒木の表情、獲物を狙う目は鋭い。
 武藤のマンションで、ヒモに化けた風間と武藤
グループサウンズ(タイガース「君だけを!」?!)の音楽が流れる、女のマンション。ベッドで、サングラスを掛け、縞のシャツにベストを着て、女に覆い被さりキスをする風間。「誰だ!」「ほー、あんたが夏代のパトロンかい」女のヒモに化け振り向く。「誰だ、貴様!」「こいつの亭主だ。と、言って悪けりゃ”ひも”ってとこかな」疑いの目で「ヒモ?」「ははっ(笑)、ああ」と、相模のツーショット写真に、女の顔を合成した写真を見せる。まさか相模も写真を、こう使われているとは想像していない?!「夏代!」「おっと、俺の女に触るんじゃねえよ」女にせまる武藤を止め、何か言いたそうに武藤を見る女の背中に果物ナイフを当て、怯える女の顔を見て首をかしげニッと風間「さっ、参りましょ」と抱き起こして、チュッとキスの真似。こわぶっても、こんな仕草に、当時の少年少女は、ホッとして見ていた?!(笑)女を立ち上がらせ、ナイフを上着で隠して背中に突きつけながらドアの所へ連れて行き「おメエは出てな」と部屋の外に。「貴様、まだあるのか」憮然として風間を見る武藤「世話になった礼が残ってる」脅すように果物ナイフをテーブルに投げつけ、啓子が写した手帳の写真を出し「こいつは、あんたの手帳から撮った写真だ。銀行の名前と金額、隠し預金のメモとふんだんだがねぇ」なかなか脅しに乗らず、見ようとしない武藤「ははははは、大分持ってるじゃねえか、貿易商社の部長にしちゃあ、ちょっと腑に落ちない金額だなぁ」ドアに寄りかかり言うが、「へっ、つまらん勘違いは寄せ、単なる仕事上のメモだ」煙草を一服する武藤「そうかい、なんなら出る所へ出て(ナイフをテーブルから抜き取り)銀行の一つ一つ当たらしてみるか」ソファーの背にすわり、髭をそる真似をしてナイフをちらつかせるが「ははは、邪魔したな」落としたナイフがテーブルに突き刺さる。諦めたそぶりで、上着を取る風間に「おい、ちょっと待て」武藤が遂に食いついた。「幾らだ」「100万」「うん、」頷く武藤に、ポケットから、『深海魚』と書かれたマッチを取り出しながら「今夜8時、(マッチをテーブルに投げて)そこで第一回目の取引をしようじゃねえか」武藤はちらりとマッチ箱見るヤクザになりきり、悪ぶって果物ナイフで脅す風間君、でも、髭を剃ったりする仕草は、「深海魚」のマッチの絵と同様、ユーモラス、どこか笑える風間君の魅力味わえるシーンです。 
クラブ「深海魚」で現金受け渡し 
生バンドのジャズの演奏が流れるクラブ『深海魚』。外人カップルが踊ったり、椅子でなにやらお熱い雰囲気。ここは、ぐっと大人の雰囲気、外人カップルのお熱いシーンや、網タイツの足のアップとお色気たっぷりで始まるクラブ「深海魚」のシーンは、ジャズの音楽が流れ、お色気サービスタイム!武藤が入って来たのを確認する啓子黒木は席を立ち、陰に隠れ、3人の殺し屋を確認すると、啓子に目配せし、風間をみる。地下のテーブルで、煙草をくわえブランデーを飲む風間の隣に武藤がすわると、外人と二人の日本人の殺し屋が、銃を密かに構えて見ているのを、黒木と啓子はしっかり確認する。「ブランデーでも差し上げて」「酒になる前に、取引をかたづけようか」「風間さん、わたしはあんた1人となら取引する。だが、あんたの仲間の黒木会とか言うのが、次から次へと現われたんじゃあ・・・」金を出し渋る武藤「そのことならご安心なさい、知ってるのは俺一人だ。最も、写真を撮ったのはこれ(小指を立てて、”女”)だがね、何にも解かっちゃいねえ。」ハンカチや新聞に拳銃を隠し、銃を構える殺し屋達。「それじゃあ出してもらいましょうか。」殺し屋達が風間に照準を合わせ銃を構え、バンドの演奏は気のせいか一段と高くなる。外人殺し屋がニヤリと笑い銃口を風間に向ける、それを啓子と、黒木が見ている。武藤が聖徳太子の100万円の札束をテーブルに出す。風間も写真を出す。見つめる殺し屋達と啓子。風間が金を、武藤が写真をしまう。サイレンサー付き銃で風間を狙う殺し屋の視界を、外人女性と踊る黒木が遮り、啓子も酔ったふりをして殺し屋に突撃「あっ、ごめんなさい、ちょっと酔っぱらちゃって、ちょっと火貸してね」煙草をくわえ「うわ〜、いいライターね」拳銃を取り上げて煙草に火をつけようとすると、焦って銃を取り上げ隠す殺し屋に「エッ、違うの?ライターじゃないのこれ、えっ?」と言われ男は焦って拳銃をしまう。気が付くと風間は姿を消し、立ち上がり殺し屋を探すように周りを見る武藤を見て、殺し屋たちも焦って席を立つ。黒木はニヤリ笑って、パ―トナーの外人女性に、「サンキューベリーマッチ、サンキー」と礼を言うと、啓子も黒木を見て頷き席を立つ。ジャズの演奏をバックに、殺し屋と、楽器(バンドマン)と、キイハンターが交互に映る、オシャレで、スリリングなシーンは、見もの。黒木と啓子のサポ−トも洒落ています。演奏が緊迫したシーンを更に盛り上げ、黒木、啓子、殺し屋達、風間、ベース、ドラム、ピアノへとカメラがめまぐるしく切り替わる、キイハンターの魅力が堪能できるシーンです。 
 新宿西口地下街での攻防 
 人気の無い新宿西口地下道を駆け上がる風間の後を、殺し屋3人が追う。外人が撃つと、風間は倒れ視界から消えた。その瞬間、突然車が殺し屋達に向かって突っ込んできた。3人を蹴散らして止まると、軽快な非常のライセンスが流れて、中から風間が飛び出し、地下街へ逃げ込む。追いかける殺し屋達。「お前はあっち行け」「はい!」と、殺し屋たちと地下商店街を追いかけっこ。挟み撃ちされ、バス乗り場へ駆け上ると、外人が銃を構えてやってくる。「あらららら・・・」違う階段を駆け上がる。地上で男達が見失っている隙に、地下で「一服するか」と煙草をくわえると、何者かに取られ、ドキッ!「これはボス!」音楽もやむ。「一服するのはまだ早いよ」と言われ、ばつが悪そうに頷きウィンクする風間に「ほら」と黒木に教えられ、離れて笑っている啓子にもウィンク。「これからがお楽しみ、見ててねボス」と出て行こうとする風間に、「おい」黒木が煙草を渡す。激しいドラムの音が緊迫感を盛り上げる。煙草に火をつけた風間を見つけ外人殺し屋が、地上から狙うと、駆け出す風間。地上へ駆け上がるこのシーンは、早朝?深夜?の別撮り?西新宿ロータリーには、人影も車も見えない!風間を男達が追いかけるが、風間は、地下へ飛び降りる。(千葉ちゃんは映画「やくざ刑事」のオープニングでも、飛び降りてます。)懐から武藤の札束を取り出すと、人通りの多い地下道で「そーら、金だぞ〜!」と一万円札をばら撒いた。騒ぎに集まってきた警官に、「ポリ!ポリ、ポリじゃ無い、お、お巡りさん!あの、お金がたくさん落ちてるよ、早く拾って!拾って!」と言うと、駆け出す警官を見送って「バーイ」と、両手で投げキッス!思わず身を隠す殺し屋達は、遂に諦め、それぞれ違う方角へ帰っていった。柱の陰から見送る風間。黒木も現われ、地下道行く殺し屋を、風間は、階段を上って、啓子は地下駐車場を、殺し屋の後を付ける。急に出て来た車を避け「危ないじゃないかへタッピ〜!」と怒鳴るが、外人を見失う啓子。喫茶店のマスターに銃を突きつけられもう一人と車に乗せられる所を見つけ、車の陰から確認すると、急いで自分の車のドアを開けようとすると「お待ちしておりました、どうぞ」とニコニコ顔で相模が助手席で待ち構えていた。啓子が降りるよう促すが、外人を乗せた車が駐車場から出て行くのを見て、「追うんじゃ無いんですか、あの車」と笑って言う相模。鞄を相模ほおり投げ、運転席に座ると、相模を見てニコリと笑った。 今も当時の様子が残る新宿西口駅前ロータリーや地下街ロケ(深夜or早朝と、人混み)は、風間君の颯爽と駈け抜ける姿に惚れ惚れ!走って飛んで躍動感の有る動きで見せる風間君の魅力がたっぷりのシーンがここにも!バックで流れる「非常のライセンス」やドラムの音も、テンポ良く、ハラハラドキドキのシーンを、盛り上げます。黒木に注意されたり、お巡りさんを呼ぶシーンは、お茶目で笑いを誘います。啓子は、クールに、悪女風に相模に微笑む、姐御・女スパイの貫禄?!(笑)
喫茶店「HYOTEKI」 & 黒木の部屋、啓子と黒木の電話と・・・
 黒木の部屋で、風間が藤のテーブルの電話を取る「もしもし、啓子ちゃん!」心配顔で、黒木に渡す「何してたんだい、何処にいるんだ」「ごめんなさい。ライバルの手に落ちちゃったの。う〜ん、あたし達に手を引けっておっしゃるのよ、あたしが人質ですって、う〜ん残念だわ、武藤の何億ってお金とんびにさらわれちゃうんですもの」甘ったるい声を出す「そこは一体何処だ、都内か?」風間も受話器に耳をつけるようにして聞く「ダメなのよそんなことしゃべったら、蜂の巣になっちゃうわ。スリル満点よ、フフン」ギャング達のほうを笑ってみて確認すると「素敵で怖いお兄さんやおじさんがいっぱいいるの、とにかく手を引いてねボス」気づかれないように、大きな宝石のついた指輪を指からはずす「だって啓子さんが殺されたら困るでしょう、じゃお願いね、サヨナラ」受話器の下に指輪を、忍ばせ受話器を置き、気づかれないよう笑顔で振り向き「男達にどう?満点でしょ」と笑う。「ボス!」焦る風間だが、黒木は、受話器を塞ぎ「しーっ、繋がったままだ」と声をひそめ受話器の声を聞く。鼻歌を歌いながら店のマッチを見て「喫茶店”HYOUTEKI”か、ふふふ、こんな所のマスターがギヤングの真似事だなんてね」と黒木に伝える啓子に、マスターが拳銃を向ける。「マスターこの人はのゴキブリなんかとは訳が違う」と相模。不安そうなに見つめる啓子に「巣の違う鼠は殺すに限る」と言うマスターに「俺は反対だ!」啓子をかばう相模「リーダーは俺だ」啓子を睨むマスター。緊張感が走る。もう一人の男が空砲のライフルを撃つと、全員が振り向き「マスターモチーフも、チームワークが我々の旗印じゃなかったんですか?」という言葉に「相模、お薬飲まされたことを、忘れないで頂だいよ」と拳銃で相模の頬を突っつき、マスターが言った。「ありがとう」啓子は相模を見て礼を言う。啓子ちゃんの甘ったるいブリッコ声もさることながら、気転を効かした指輪の使い方はさすが女スパイ!
喫茶店「HYOTEKI」&地下アジトで、ギャング同盟結成
 マスターが階段を上がり店のシャッターを開けると、ソフト帽を被った黒スーツ姿の黒木が立っている。渋く黒木ボス登場!思わずシャッターを下ろするマスター、黒木がシャッターを上げ「もう、よろしいかな」「はっ、はあ、もう、オープンしてます。どうぞ。」店に案内され「あちらへどうぞ」「いらっしゃいませ」「いらっしゃいませ」相模たちもお辞儀して出迎える。もう一人の店員が、「何いたしましょうか?」「コーヒー」「豆をお引きいたしますが?」「マンデリンのブラック」マンデリン”と聞いただけで、なんだかオシャレな感じ。(笑)「はっ」「マスター、あの人は、昨夜、きークラブにいた」「何でここが」相模とマスターの会話聞こえているのかいないのか、黒木は余裕で自信たっぷり「人を探しているんだがな」「お待ち合わせですか」「もうとっくに来ているはずだが」「とおっしゃられましても・・・」と相模が言うと「鼠の住処にしちゃなかなか洒落ているな」意味深の黒木の言葉「馬は馬ずれだ」と続けると「鼠はねずみ連れとおっしゃりたい?」マスターは黒木の意図を察知「いかにも」頷くと「はっ」マスターも会釈し「ご案内しましょう」階段を下りアジトへ案内する。啓子が、黒木を見て、椅子に縛られたまま笑うと、黒木もウィンク「相模、といてやれ」「はい」縄を解かれた啓子が、相模に「どうも」とお辞儀。指輪をはずし手、黒木に見せ「昔から指輪は二人を結びつけるシンボルだわ」「どうだろう、そいつをこの人たちにプレゼントしたら」「そうねぇ、でも受け取ってくださるかしら」元プロのスパイ同士、絶妙のコンビネーションで、早速ギャング手を組む作戦開始!「フフ、意味がわかりかねますが」とマスター「指輪に託して誓い合う、仲良く腕を組んでいこうってんですよ」「ほぅー」「図らずも目的は同じだ、腕もどうやら五分と五分、成功した時の分け前も、即ち、五分と五分だ」啓子が笑って相模のほうを見る「率直に行って敵に回すには惜しい人だ」啓子の笑顔攻撃が、相模には有効!「光栄です」と啓子がお辞儀。マスターも簡単には承知しない「条件がある、作戦期間中は貴方内のウエイトレスと働いてもらいたい。」「えーっ」「住み込みと言うか、全ての行動を共にしていただく」あくまでも啓子を手放さないマスター「相変わらず人質って訳」「フフフ、嫌なら断わる」ギャング団のボスの駆け引きに「喜んで使って頂きます」「どうも」マスターが承知すると、相模が指輪を手に取り「お互いに決して裏切らないと言う証の為に!」と誓う洒落た会話の応酬もキイハンターの魅力一つ。ボス同士の、冷ややかな駆け引き勝負が見もののシーン!
黒木の部屋で、黒木と風間の作戦会議
 黒木の部屋、テーブルの風間が撮影した写真が広げられ、その上に、黒木がアルバレイの写真を置き、揺り椅子にすわりながら「アルバレイー、武藤たちを操るボスだ、太平洋戦争時代に武藤たちが捕虜になった敵艦のキャプテンだ」風間は部屋を行ったり来たり「昨日の敵が今日の友か、横浜のそいつのうちで、年に一度だけ、密輸で儲けた金が山分けされる。」「一人が一億を越す」「4人で4億!ヒューッ」口笛を吹いてソファーに倒れ込む「コーヒー屋のグループはその瞬間を襲い、4億の金を略奪する計画だ、俺たちも表面上は共同戦線を張る。」「ちきしょう!山分けの現場さえわかりゃぁな」はやる風間だが、黒木は余裕「焦らず俺たちはその日を待つんだよ」「俺たちゃ今日からギャング稼業ねぇ、デケデケデケデケ・・・」潜入捜査は、まだこれからの風間君、ギャングになる?のは、これが初めて。マシンガンの口真似をする風間に、さらに大きな声で「ダダダダダダダ・・・!!フフフフフフ、ハハハハハ・・・」機関銃の真似をして、愉快そうに大笑いする黒木、風間はドキッ。さすが元プロスパイ、黒木ボスの口真似のマシンガンの迫力に、風間はたじたじ。驚く風間に、愉快そうに大笑いする黒木は、久しぶりの潜入操作のスリルを楽しんでいる様子、なんとも、愉快そう!
任務を終え、喫茶店「HYOTEKI」で
車を門のところに止めたまま、助手席で着替えを済ませた啓子と運転席の風間。「ボス裏切っちゃった」やけに神妙にギャング達の事を気にする啓子ちゃん。黒木が後ろから啓子のシートにもたれ「しかしね、密輸摘発の功労者なんだから、じきにに出してやれるさ」慰め、「マスターから上手いコーヒーの入れ方習ったそうだな、是非ご馳走になりたいもんだな。」気分転換をと黒木が提案すると「オッケー」と笑顔が戻る。「参りましょう」と、喫茶店”HYOUTEKI”へ出発。 ビルの前に車が到着すると、降りた啓子と黒木は、COFFE”HYOUTEKI”が開いているのを見て、顔を見合わせる。「誰が開けたのかしら?」風間も不審顔。店を見回し、啓子がカウンターを見ると「あっ!」「へへへ」と相模が笑って顔を出す。「相模さん!」満面の笑顔で「虫が知らせたんだ、だから俺は隠れてじっと見てた」「だってあたしは倒れてる貴方を抱いて、ちゃんと車の中に運んだのに・・・」まんまと啓子を出し抜き、愉快そうに笑い「ハハハハ、防毒マスクのしたまで見た?ハハハハ」啓子は口をあんぐり、風間も言葉が出ず黒木を見る。黒木は、相模と一緒に愉快そうに笑う。マーチ風の軽やかなリズムの「非常のライセンス」が流れ出す。「鼠だとばっかり思っていたら、猫だとは驚きました。まっどうぞ」笑顔でカウンターの席を勧め、コーヒーを出す。黒木、風間、啓子と3人並んで、風間が一口飲もうとした時、啓子が「ねえ、猫いらずなんか入っていないでしょうね?」「ウッ!」思わず口に入れていたコーヒーを飲み込むのを止め、目を丸くして相模と黒木を見る。又も、啓子に遊ばれる風間君!?「ハハハハ」笑って飲む黒木相模も笑うと、風間もゴクリ飲み込む「気にしない、綺麗さっぱり足は洗いました」笑顔で、啓子にウィンクした。軽快な非常のライセンスがバックに流れて、一瞬ドキッとした風間も、黒木の余裕の笑いにつられ笑顔になって、めでたしめでたし、ラストの相模のウィンクは、啓子に今だ”ホ”の字の相模か?!
 続編まで作られた見所いっぱいのお勧めの作品。いきなりスリリングなシーンから始まり、風間のボディーアクションも楽しめ、大人のお色気シーンも、ちら見られる本作品は、キイハンターらしく、大人も子供も楽しめるシーン満載!ジャズが流れ、カメラがテンポ良く切り替わるクラブのシーンは、ハラハラドキドキ度満点で、そのまま、軽快なテンポの「非常のライセンス」をバックに繰り広げられる新宿駅西口ロケシーンは、今も面影が残るバス乗り場の階段など、その場に立って、当時の撮影風景を思い浮かべてしまう。衣装も、黒木のセーター姿からびしっと決める黒スーツ、啓子はフリルのブラウスにパンツ、ミニのキュロットスーツに、光沢のあるミニの黒ベストスーツと、活動的で女性らしいファッション。髪形をアップにしたユミは、ミニのスーツで今回は、ちょっと大人しい出で立ちだが、風間は、三つ揃いにサングラスをかけたやくざ風ファッション、鬘と付け髭サングラスに白の大きなカフスと襟の派手な柄シャツに定番スーツと、軽い仮装大会といった感じで、楽しませてくれます!見所満載、今回は、長い感想になってしまいました。( - tik局長 - )


 Tik局長、ゲスト考察記 ―
●玉川良一 今回はコメディーなし!珍しく、シリアス路線で、クールなギャング団のボスで決めてます。とは言え、セリフの端々に、独特の節回しがちらり、楽しめて、ボスとの対面のシーンで、一瞬見せた演技に、これから本領発揮のコメディーの予感がたっぷり。
金内吉男 色男ギャング役を、甘いマスクで好演!風間との屋上での格闘シーンでも、なかなかの身のこなし。啓子に堂々と迫る相模、ウィンクも、ラストの笑顔も爽やかです。

- by tik. 2004. 2.14.-

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