No.2 「非常の唇」 ’68/ 4/13


      「でも収獲はあったさ。メンバーが一人増えたってこった
 

フランス帰国直前、未解決現金輸送車襲撃事件に巻き込まれた啓子。家賃を払うベく全員で事件解決する

 
パリ帰国直前、啓子が3年前の迷宮入り事件に巻き込まれ、
命を的にして事件解決に挑む。風間がサポート、黒木と島も援護する。
事件解決、強奪した100万ドルも取り戻すが、タダ働きにあきれ気味のユミ。
しかし、黒木たちの願いが叶い啓子が、めでたくメンバーになる。


スタッフ プロデューサー 近藤照男 坪井久智  
監 督 深作欣二 脚 本 池田雄一
撮 影 下村和夫 原 案 河野典生
録 音 岩田広一 照 明 酒井信雄
美 術 兼子 元 編 集 大橋四郎
記 録 とうまひろ子 助監督 山内 柏
擬 斗 日尾孝司 音 楽 菊池俊輔
進行主任 深沢道尚 現 像 東映化学工業(株)






キャスト 黒木鉄也 津川啓子 谷口ユミ 島 竜彦  風間洋介
ナレーション:芥川隆行
ゲスト 岡田真澄 高 毬子 八名信夫 室田日出男
高須準之助 菅原壮男 谷本小夜子 他



 ストーリー 

プロフェッショナル キイハンター
≪赤いシグナル≫



プロフェッショナル キイハンター 次の赤いシグナルは・・・
ガードマンが殺されアメリカ銀行の100万ドルが消えた。
プロの直感と嗅覚は獲物を追って活躍する。
だが殺し屋のライフルは正確無比。100万ドルの行く先に立ちふさがる。
キイハンター、微笑が誘う美しい作戦。金を盗んだ豚どもは太らせてから食え!
キイハンター、次のシグナルは「非常の唇」
 USA銀行東京支店の現金輸送車が襲撃され、乗っていたMPと日本人銀行員、警備員が100万ドルと共に消えた。そして、3年後、香港。強奪犯の一人、川村が娘に遺言の手紙を書いていた。「・・・・仲間が裏切って自分を殺し、日本に帰国し現金を山分けしようとしている。現金は赤い小屋・・・」と書いたとき、物音に気がつき中国人家政婦に手紙を頼んだ直後、仲間の「李」のライフルが川村の心臓を打いた。床には、娘、花恵の写真が落ちていた。
 航空会社にフランス行きの切符を取りに来た啓子は、女の視線を感じる。帰りの信号待ちの啓子に向かって、隣の車の男がカメラのシャッターを切りまくる。男とのカーチェイスを楽し啓子だったが、ビルに着いてもカメラを向けて来る男を振り切って部屋に戻ると、島に男のポケットから抜き取った名刺と手紙を渡して、身元調べを頼む。黒木が、啓子に帰国を取り止め仲間にならないかと誘うが、スパイの生活から離れられない、帰国の為の切符も取ってきたと断わられる。黒木の側でもスパイの腕はつかえると、口説く風間。ユミが、期限まで後一週間の部屋代請求書を持って来る。「何とか金を稼がなくては・・・」覚悟を決める黒木。手紙を読んでいた島は、この手紙が父から娘への遺言で、宛名は川村花恵と言う人物、消印が香港だと言うと、ユミが、3年前のUSA銀行東京支店の現金輸送車銃撃事件の犯人の一人、川村の名前を思い出す。それは、風間が新聞記者時代に扱った事件で、現金輸送車が箱根山中に乗り捨てられ、乗っていたMPと日本人銀行員、警備員が100万ドルと共に消えたと言う未解決事件で、その時の銀行員の名前が川村だった。風間が、手紙を新聞社に売り込み家賃を支払おうと考えるが、黒木が「豚はもっと太らしてから食えって言うだろう」と引き止める。100万ドルは何処に?迷宮入りの事件を俺たちの手で解決できるかもしれない。啓子と風間、島は行動開始した。
 ナイトクラブへやって来た啓子と風間。カメラマンの男、中尾は啓子を追ってカウンターに座る。その横にやって来たのは、航空会社で啓子を見ていた女、川村花恵だった。バーテンダーに成りすました島が、二人が見ていた写真を覗くと、啓子が見知らぬ男と写っていた。啓子には全く身に覚えが無い。啓子は中尾と踊りながら手紙を戻すと、モデルになってほしいと頼まれ中尾の部屋にやって来る。部屋は、啓子の写真だらけ、先ほどの〈合成〉写真も飾ってあった。花恵の部屋と見破った啓子が中尾に口説かれたふりをしていると、隣のビルから二人をライフルで狙う「李」に、ビルの下で見守っていた風間が気が付いた。風間が襲い掛かり、間一髪、弾は二人を反れたが、風間は犯人に頭をライフルで殴られ取り逃がす。車で待っていた「有田」の所へ戻った「李」。彼らは花恵の部屋で啓子の写真を見つけ、啓子を花恵と思い込み手紙と命を狙っていたのだ。その二人の様子を離れた車中から花恵が見ていた。
 昨夜の弾丸と3年前の弾丸が一致した。花恵も、啓子を身代わりにして、100万ドル日本円にして3億6千万を狙っていた。3億円は、赤い屋根の小屋にあるのか?中尾からドライブに誘われる啓子。中尾と啓子の仲に焼きもちを焼き気味の風間は、しぶしぶ啓子のガードをする。合成写真の場所にやってきた啓子は、中尾に事件の事、花恵に利用されている事、今も犯人が自分たちを狙っている事を伝え、自分と手を組むように迫る。二人で赤い屋根の小屋を見つけ出し、中に入るが現金は見つからない。別荘には管理人の老婆がいた。外へ出た中尾を呼びに出た啓子を捕まえたのは風間。中尾は「李」に心臓を打ち抜かれていた。風間と啓子が赤い小屋に戻り、老婆が入れたコーヒーを飲むと、啓子は一人的になり車を走らせる。「李」の銃弾が啓子の心臓に、車は林の中で爆発炎上した。
 湖を有田と李の乗ったモータボートが走っていく。赤い屋根の小屋の見える位置に停まると、湖の底から現金の入ったジュラルミンのケースを取り出し、二人は赤い小屋に戻っていった。それを見守る風間。そして花恵。李と有田が現金を手にして祝杯をあげようと、ブランデーグラスを持った時、啓子が入って来た。弾丸は胸のコンパクトに見事命中していたのだ。風間が現金を取りあげ、観念した二人がブランディーを飲むと、二人は突然,もがき苦しみ息絶えてしまった。老婆が現れ、啓子と風間に銃を突きつけた。老婆は変装した川村花恵だったのだ。パスポートの写真をすり替え津川啓子としてフランスへ現金と共に高飛びすると言うのだ。風間と啓子を地下室に閉じ込めガソリンを撒き火を放つと、トラックに現金を隠したトランクを載せ、空港へと急ぐ花恵。啓子と風間は猛火の中、啓子の錠前破りの技で脱出。一方トラックは道の途中で停車する。中から現れたのは黒木と島。秘密情報部員の啓子に成り代われば、理由を問いただす拷問と死がフランスで待ち構えていると話し黒木に、花恵も遂に観念した。
 黒木と島が捜査一課に現金を届けて帰ってくると、風間と啓子が酔っぱらっていた。新聞社の編集長は、風間の事件のネタをまともに取り合ってくれず、啓子は写真がすり替り税関が通れず、二人は飲んだくれ状態。ユミがやって来たが、又ただ働き!と呆れ顔。しかし、一ついいことがあったと黒木はまんざらでもない顔。「メンバーが一人増えた」と啓子を見る黒木に、啓子もはにかみながら笑顔で答えた。


― Tik局長の感想記 ―

キイハンターの台詞はクールで、オシャレで、カッコイイ!そして愉快?!
局長の感想と、セリフと一緒にまとめてみました。
セリフ・・・・黒木鉄也津川啓子島竜彦谷口ユミ風間洋介
箱根湖畔、香港(中国語のセリフ有り)、東京と舞台は展開する。謎解き、スリルとサスペンスを楽しめる展開は、あっと驚く結末へと進む。理由は何であれ、キイハンターのメンバーが決定!
銀行輸送車が襲われるまでは、室田日出男(こんなに体格のいい人だったとは・・・)の演ずる狙撃犯「李」の迫力と、ドラムの音をバックにカット多用スピーディーな展開。舞台は3年後の香港へ。立ち並ぶビルと爆竹、中国語のセリフが怪しげな異国情緒を漂わせ、遺言の独白が事件の新たな始まりを告げる。啓子の登場と共に、サスペンスの暗く危険なムードから、軽快な音楽と共にがらりと明るくなる。キイハンターのメンバーには、暗〜いムードは似合わない!?!航空会社でフランス行きのチケットを購入さっそうと、車に乗り込む啓子は日本に留まる気持ちは全くなさそう。突然現れた、岡田真澄扮する、色男カメラマン、中尾とのカーチェイスシーン。スリルを味わう啓子の性格が出て、とても楽しそう。
航空会社から啓子が戻って、黒木の部屋
「ボンジュール!」「オス!」プラモデル作りに熱中している島。「ねね、坊やそんなおもちゃで遊んでないでさ、ちょっとこの男の事調べてよ」と名刺を島に渡す。「どうしたの?」「やな奴、あたしに付きまとって離れないのよ。はっ、ひょっとして私に惚れてんじゃないかしら?」「へへへ」「フワ〜、誰が惚れたって?」と昼寝していた風間が起きる。「≪中尾真≫て言う人だってさ」「ン〜、何だこれ肩書きも無いし、住所もなしか」「これじゃ手がかりもつかめないでしょ」「そう思ったからついでにこの航空便もすり取っといたわ」部屋の奥から黒木が啓子を呼ぶ。「おい、津川君」「はい」「君をこのまま日本でも働けるようにね、ある筋を通してフランスの情報部に申し入れをしておいたんだが」「そうですか」「ところが向こうじゃなかなかうんと言わないんだな。それどころか、今日にでも帰って来いと言わんばかりの剣幕なんだ。まあ場合によっちゃ偽の死亡診断書でも書かなくちゃならないけれどもな。強引な黒木のスカウト!ところで君の気持ちは一体どうなんだい?」「黒木さん、あたしやっぱりフランスへ帰ります。」「えっ」「あさっての飛行機の切符取ってきたんです。探り合いや殺し合い、そういうスパイの世界から逃れて、日本で普通の女として暮らしたい。今度もそのつもりで帰ってきたんですけど、一つの任務が終ると心の中に大きな穴があいたような気がして・・・」「そいつを埋めるには、又新しい任務がほしくなるんだ。こいつはスパイの宿命って奴だな。」「ええ、麻薬中毒患者みたいに、禁断症状を恐れて又新しい薬を打つんです。」「啓子ちゃん、君のスパイとしての技術ね、ボスの下で十分生かせると思うよ。」「又、スパイとしてカムバックなさるんですか?」「ハハハ、そいつだけは願い下げだけれどもな。まっ、生活のためだったらやむおえずって事もある。」実は黒木こそが中毒患者!ユミが、請求書を持って入ってくる。「ホ〜ラおいでなすったぞー。」「ご承知のようね。部屋代の清算まで後一週間。それまでにお支払いただけなければ、この部屋に居られない事になっております。」「大変だなー。いよいよ金を稼がなくちゃならんぞ。」と言いつつ、空になった酒瓶を投げ入れた箱の中は、酒の空き瓶が一杯。しかし、黒木の部屋の棚には、まだ沢山の酒瓶が乗っている。「それはそうとコリャおかしな手紙ですね。私は殺されるだの、お前も狙われるから気をつけろ」「これは父親が娘に当てた遺書だな」「遺書?ちょっと待ってください。エッと宛名は川村花恵。消印は香港だ。」「川村花恵?」「うん」「川村、川村・・・うーんと・・・川村、川村・・・」「3年まえのなんかの事件の犯人らしいんだよ。計画通り万事うまく行った。死体と金をかくし・・・」「うるさいわね!黙っててよ、フン!」ヒステリックなユミちゃん、コンピューター作動中は、要注意!「しーっ、彼女の記憶装置が猛烈な勢いで働いているんだよ。」「あっ、思い出したわ!3年まえのUSA銀行東京支店のドル輸送車襲撃事件よ。」「おーっ、それなら俺がへっぽこ聞屋(ぶんや)時代に駆けずり回った事件だ。あれはなんだったかな、えっと、確か輸送車が箱根山中に乗り捨てられ、乗っていたMPと日本人の銀行員、それに、えー、警備員が100万ドルの現金(げんなま)と共に消えた。」「消えちゃった?」「そう」「100万ドルと?」「そう」「そのときの日本人銀行員が、確か川村と言ったわ。」「いただき!この手紙」「おい、どうすんだい。」「俺をたたき出した新聞社に高い値で売りつける!一月分の部屋代軽いよ。」「ホント?」「そう!」「おい!ちょっと待った。一つ気分と言わずにどうだい、豚は太らしてから食えって、言うぜ。」「OK、ボス!」「事件はこれから始まるんだよ。第一津川君に近づいて来た男が、何故この手紙を持っていたかだ。」「そして、何の為にあたしをカメラで付け回したのか」「うん、どうしてもこの男を吊り上げてみる必要があるな。迷宮入りの事件を俺たちの手で解決できるかもしれない。」「金の隠し場所は赤い屋根の小屋。その場所へあのカメラマンがあたしを案内してくれるかもしれないわ。」早速、事件の香りに酔いしれる感じのワクワクした表情の啓子ちゃん!
ダンスホールで、中尾と川村花恵が付き合っているのを確かめた、風間、啓子、島。島はボーイに変装。とってもお似い!(笑)中尾が啓子をダンスに誘うのを苦虫を潰したような顔で承知する風間は焼きもち焼いているのが見え見え。中尾が啓子を連れ込んだスタジオは実は花恵の部屋。啓子がきわどい姿で写真撮影し、中尾といい雰囲気になっている頃、下では20分以上番犬のように見ていた風間が、となりのビルの怪しい人影を見つけ駆け上がる。棚を使っての犯人とのアクションシーンは、風間君の動きに一瞬見とれてしまうが、ライフルで殴られ「あ〜、痛てえ〜」まだまだ修行が足らん!頼りなーい!
霞ヶ関ビルの部屋、啓子を狙って銃弾を、3年前の銃弾と比べる黒木たち
「こいつはな、3年前に襲われた現金輸送車のシートにめり込んでいた弾丸の拡大写真だ。こっちは、昨日のやつだ。ほ−ら、一致するだろう」物凄く大きな拡大写真が二枚。何でも大きかった時代を感じます。「あ〜、同じライフルで撃ったものね。」島が入ってくる。[啓子さん、昨夜、連れ込まれたマンション、奴のスタジオなんかじゃないよ。」「川村花恵の部屋でしょ。」「何〜だ知ってたんですか?」「うん、父親の手紙で自分も狙われていると知った花恵は、恋人のカメラマンを利用してあたしを身代わりに仕立てようとしたんだわ。」「そうだ。そいつがその証拠だ。うまい事合成してあるだろ。こいつを殺し屋の目の触れそうな所へさりげなく置いておくんだ。殺し屋が津川君を殺し屋の娘と勘違いするのも無理は無い。」「だけど花恵って人、どうして警察へ保護を頼まないのかしら?」「金さ。100万ドルの。花恵が死んだって事になれば、殺し屋達は安心して隠した金の取り出しにかかる。花恵はその瞬間を狙ってるんだ。」「100万ドルって言えば、日本円に直せば3億6千万円ね!」「赤い屋根の小屋に3億円か。こいつはとことんくらいついてやんなくっちゃ!」「啓子ちゃん、なにも敵の手に乗って、自分の身体を的にすること無いんだよん、昨夜みたいに。あんなプレーボーイぶった写真家なんかとさ!」「あら、あなた焼いてるの?」「そうだよ。(暴露!)なっ、何いってんだい。こっちはそれどころじゃないよ。頭ぶん殴られても〜イテェ〜」と、照れ隠し?痛む頭にタオルを当てて冷やす。電話が鳴って「ハイハイ、はい、もしもし、居ますよ。ちょっと待って下さい。電話だよん。」「あたしに?」「そう」「どうも」電話の相手は敵の中尾。「もしもし、あっ、あなた。昨日はどうも。良かったわねお互いに無事で。エッ、今の?あれはね昨日の野暮な護衛。焼いてるらしいの、二人の事。」ぶつぶつ、ぶつぶつ言ってる風間。意に関せずの啓子。ユミは二人を見てニヤニヤ。「野暮?!」「あら今日は大丈夫よ。ちゃんと上手く撒くわよ。うん、そう、じゃ10分後にね。うん、じゃ。(電話を切る)ドライブで遠出ですってさ。」これみよがしに風間に啓子が言えば、風間も意地っ張りになって言い返す。まるで○○の痴話げんか!? 「護衛なんてまっぴらだぜ。」「あら結構よ!」「どうぞごゆっくり。天国でも地獄でも行っちまえばいいんだよ。」「ふん、焼き持ち焼き!」「勝手にしろ、本当に。」「おい!」寝ながらボスの蹴りが、ボコッ。「あいて!(風間は動かない)酒は上手いし、ねえちゃんは綺麗だ、へー」「よし、それじゃ俺が行こう!」黒木が起き上がって出かけようとするのを止めて「ボス!行きますよぉ、行きゃーいいんでしょ!行きゃあ。」しぶしぶ出かける風間はボスの下働き、いや、やっぱり啓子ちゃんをほって置けない風間君なのだ!(笑)
中尾を口説き仲間に入れた啓子は、赤い屋根の小屋にやって来てお得意の鍵開けで中に入る。3億円を探していると老婆が現れる。警察の捜査でも何も見つからなかったと話す老婆は、なんとも臭い。老婆のコーヒーを飲もうと中尾を探しに出た啓子が襲われた!と思ったら風間だった。中尾は「李」に射殺されていた。啓子のガードは抜かりなし!
赤い屋根の小屋で老婆の入れたコーヒーを飲みながら、啓子と風間は、作戦会議。
「変なおばあちゃん」「ね、この中なんか入ってるかもよ。」「そんなこたあ、ねえだろ。うっ」風間の顔色が変わるったのに啓子が驚き「えっ、青酸カリ?猫いらず?どっち?」「(砂糖の入れ物を手に)塩ヨ。」「え〜」「ねね、ここに現金(げんなま)が無いって事になると手紙の文句はどういうことなの?」「うん、赤いい屋根の小屋、その下に何か書くつもりで急に時間がなくなっちゃったとか」「何かって例えば?」「赤い屋根の小屋の見え・・・ねえ、せっかくだからあたし殺されてやろうかな」いたずらっぽく笑いながら啓子が言うと「えっ、大賛成ヨ!」風間もニッコリ。「うふ、あたしにしたって、何時何処から狙われるかわからないより、向こうの張ってる網の中へ飛び込んで行く方が気が楽だもの」「どっちにしろ早くけりが付く」「車に乗ってそこいら辺をドライブしているうち」「突然、弾が飛んできてあなたのハートをぶち抜く。ねね、あなた本当にやる気?」「死に水くらい取ってよネ。」風間に投げキッス!車の座席でコンパクトを取り出し化粧を直して、懐にしまう啓子。木陰から見守る風間は不安顔。「あれあれ、死に化粧?」啓子は狙撃され車は林の中で爆発炎上。途中から音楽が代わり、緊迫した爆破シーンに変わる。
室田日出男と八名信夫がモーターボートで湖の上へ。お馴染みの悪役二人が揃ってゲスト出演するのは、キイハンターでも珍しい貴重なシーン!室田さんは、ダイバー姿でも大奮闘。現金の入ったお馴染みジュラルミンケースを抱えて湖底から現れる。おまけのMPのヘルメットを被った骸骨は、子供心には怖かっただろうに、今見るとユーモラス。
祝杯をあげようとした二人の前に、風間と啓子が現れる。
「花恵はとうとう現れなかったわね。」「ああ。どっかで見てたかもしれないけどたかが雑魚一匹さ。」「女って、怖いのよ。」啓子ちゃんが言うと納得!「いえ、怖いのは金。金よ!こいつが人間の心を曲げるのさ、ね。」さっさとジュラルミンケースを回収する風間は、笑いが止まらない。取り返したのもつかの間、老婆から早変わりした花恵に奪われ、啓子はパスポートと、旅券まで奪われ、地下室に閉じ込められる二人。ガソリンまかれて「バーベキューにする気か?」あっと言う間に火の海だ。「何かとんがったものを探して」「とんがった物?」「何でもいいから!」「とんがった物、とんがった物・・・」ワイン棚からコルク抜きを見つけて「おい、これどうだい?」「完璧!」と鍵穴を探る啓子に、上着で炎を払いながら風間が訴える「おい、まだかよ〜!」「うるさい!あっ(笑顔。鍵が開いた!)
黒木の部屋では、啓子と風間が仲良く酔っ払って
黒木と島が、警視庁に現金を届けて帰ってくる。「今頃100万ドルの札束を見て捜査一課の人達目を丸くしてますね。」「ハハハ、警視庁始まって以来の大騒動だろうよ。」「お帰りなさ〜い」啓子と風間が二人並んで腕組みぐでんぐでんに酔っている。「フフフ、おいどうしたんだ、いったい、えっ!あの記事売れたか?」「それがですね〜、あのデスクの豚野郎こっちが話もしないうちにね、お車代だってお金包みやがったんですよ。」「そうか」「もちろん叩き返してやりましたよ。とびっきり上等の特ダネだって言うのにね、ま〜」「そっちは?飛行機の時間に乗り遅れちまったんだな。」「あの花恵って女がね、あたしの旅券偽装しちゃったもんで、税関が通してくれないのよ。」「そいつはお気の毒だった」「この分じゃフランスの情報部もクビね」「フフフ、当然そうなるだろうな。ハハハハ。」ユミが入ってくる。「あと五日よ、黒木さん。部屋代払っていただけるんでしょうね。」「まかしとけ〜。明日は明日の風が吹く!」「その通り!」飲み過ぎの二人にユミはあきれて、「フン、勝手な事と言って、ただ働きばかりして、どうする気あんた達?」どっちが年上?「でも収獲はあったさ。」「えっ?」啓子を見る黒木の顔は御満悦!「メンバーが一人増えたってこった」啓子はにっこり。はにかむ啓子に、ズームアップ!心強い頼りになる?!新メンバー決定!
啓子は、第一話のミニスカートから一転パンタロンスーツで登場。ただし、岡田真澄との写真撮影のシーンでは肩を大きく出してお色気一杯きわどいポーズも披露。ボスの上着も襟や袖口がオシャレで、今回の黒木は軟派なイメージ。今回も啓子と風間の絡みが多く、二人のやりとりが緊迫した犯人とのシーンの合間で雰囲気を和ませる。登場人物達によるどんでん返しが展開されるが、最後はのどかに黒木の部屋で酔っ払う啓子のはにかんだ笑顔のアップで終わる。深作監督作品らしいスピーディーな展開は第一回と同様だが、ユーモアのあるセリフでも大いに楽しめました。                           - tik局長 -

 Tik局長、ゲスト考察記 ―
岡田真澄 プレイボーイ風のカメラマン役がぴったり。軟弱な色男風のセリフも違和感がない。ちょっとあっけなく死んでしまって残念。
室田日出男 ライフルを構えて狙う香港登場シーンは大きな身体の威圧感といい迫力満点。後半はダイビングシーンも見せてくれる。ダイビングはこの後の作品でも披露している。(→No,16)
八名信夫 室田日出男さんと珍しく共演。とにかく若い!
高 毬子 紅一点、売れない!?モデルと言うことで、オシャレな悪女を演じている。おばあさんからの早代わりシーンは見もの。

- by tik. 2004. 3.11.-      

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