11月

第56回 11月7日

吾郎「同じ時を過ごしてきたということが
   何よりも大切に思える
   誰でも1度は、そんな思いを抱いた時があると思います
   ここには、共に暮らすことで
   大切な時を刻み続けてきた家族に対する
   深い感謝の気持ちが、綴られています」

吾郎「忘文
   それを読むと日頃の憂いを忘れさせてくれる文。
   中国の故事、忘草に由来しています。」

手紙 「孫 敬君への忘文  祖母 知恵より」
吾郎「大倉智恵さんから、孫、敬さんへの忘文」
ご家族の紹介、智恵さん81歳、敬さん22歳

いつも一緒にいる孫へ初めての手紙

吾郎「ようこそ
   えー、大倉千恵さんからの忘文が届いておりますので
   お掛けになってください」
敬  「はい」

手紙の朗読
祖母から孫へ 幸せな気持ちを伝える忘文

吾郎「はい
   えー、忘文は届きましたか」
敬 「ありがとうございます」
吾郎「じゃあ、お届け料として
   何か一言、ご感想などいただけますか」
敬 「あの、いつも一緒におるだけで(はい)
   ここまで思ってくれてたんかなと
   今、初めて知りました」
吾郎「どんなお話されたりするんですか?」
敬 「やっぱり、いつもは、その日あったことと
   あと、ちょっと休みがあると
   どっか行こうかとか」
吾郎「なんか、温泉にも行ったり」
敬 「あ、そうですね」
吾郎「これからも、なんか、いろいろと
   いい思い出が作れるといいですね」
敬 「そうですね」
吾郎「智恵さんとね」
敬 「はい
   いろいろと作っていきたいなと」
吾郎「そうですね」
敬 「家族ともどもに(そうですね)
   やりたいと思ってますけどね」
吾郎「やっぱり、肉親だし」
敬 「そうですね」
吾郎「おばあさんだし」
敬 「おばあちゃんに、いろいろと
   してやれたらなと思ってますけどね」
吾郎「そうですね
   では、こちら、お持ち帰りください」
敬 「はい、ありがとうございます」
吾郎「ありがとうございました」

朗読 「たいせつなこと」マーガレット・ワイズ・ブラウン(作)
            レナード・ワイスガード(絵)
            うちだややこ(訳)

吾郎「当たり前のようにある、身近なものの大切さを
   とても深い認識で綴った、この作品
   自分を大切に思ってくれるという幸せな気持ちが
   心の中に優しく響き渡る作品だと思います
   きっと、あなたにとって大切なものを
   気づかせてくれると思います」


第57回 11月14日

吾郎「遠く離れてしまったが故に  
   かえって、近くにいたとき以上に
   大切な人のことを思ってしまう
   まして、相手が大切であればあるほど
   思いは深く募る
   ここには親元を離れた娘が抱く
   母に対する強い思いが綴られています」

娘が抱く母への感謝の気持ち

吾郎「忘文
   それを読むと日頃の憂いを忘れさせてくれる文。
   中国の故事、忘草に由来しています。」

手紙 「母 富久美への忘文  娘 歩より」
吾郎「増田歩さんから、母、富久美さんへの忘文」
家族の紹介、歩さん昭和60年生まれ

娘から初めての手紙…

吾郎「えー、ようこそ
   えー、増田歩さんからの忘文が届いておりますので
   えー、お掛けになってください」
富久美「はい」

手紙の朗読
東京の大学に通う娘から故郷で暮らす母への忘文

吾郎「はい、えー」
富久美「ありがとうございます」
吾郎「忘文は届きましたか」
富久美「はい
    えっと、娘から(はい)
    手紙をもらったのは初めてです」
吾郎「あ、そうですか」
富久美「はい
    あの、離れてみて(はい)
    その、初めて家族の、こう、大切さっていうのが(はい)
    改めて気づかされた気がしますね(うん)
    で、ずいぶん大人になったんですね(うーん)
    うん、あの、こちらはいつまでも、子供のような(はい)
    うん、気がして、メールを送ったりでんわしたり(はい)
    うるさかったんですけど
    もうそろそろ、大人、大人として(うん)
    うん、付き合っていくころかなという気が
    お手紙、手紙読んで(うん)
    うん、しました」
吾郎「ね、まあ、心配かけたことの方が
   全然多いってね、手紙でおっしゃって」
富久美「そんなことないですよね、こうして…」
吾郎「うん、でも、これからは
   やっぱり、喜ばせてあげたいって気持ちで
   いっぱいなんじゃないでしょうかね」
富久美「そうですね」
吾郎「自分の成長と共に、うん」
富久美「あの、今までも
    ホント、喜びの方がたくさんもらって(うん)
    うん、ありがとうっていう気持ちが、いっぱいです」
吾郎「そうですか 
   それをじゃあ、ね、娘さんに言ってあげてください」
富久美「あ、そうですね」
吾郎「わかりました
   ありがとうございました
   では、こちら、お持ち帰りください」
富久美「はい、ありがとうございます」

吾郎「離れれば離れるほど
   それまでの思い出が鮮明によみがえる
   母と過ごした、大切な思い出の一つ一つが
   繊細に描かれていた手紙だったと思います
   歩さん、富久美さん
   これからもずっと変わらずに
   仲の良い親子でいてください」

朗読 「いつでも会える」菊田まりこ(作・絵)

吾郎「大切だったみきちゃんとの別れ
   それでも、シロが記憶の中で
   彼女を取り戻すことができたのは
   片時も休むことなく、大切な人のことを
   思い続けてきたからではないでしょうか  
   『遠くて近くにいたんだね』
   という言葉が、とても印象的なこの絵本
   あなたにもぜひ、ご一読をお薦めいたします」

第58回 11月21日

吾郎「普段の生活の中では、多くを語らない夫婦
   そんな彼らが、手紙という形で自らの思いを明らかにしていく時
   どんな言葉が綴られるのでしょうか
   ここには、13年間、喜びや苦しみを共にしてきた妻に送る
   夫からの、飾ることのない気持ちが綴られています」

夫から妻に送る飾らない気持ち

吾郎「忘文
   それを読むと日頃の憂いを忘れさせてくれる文。
   中国の故事、忘草に由来しています。」

手紙 「夫 正嗣さんから 妻 恵さんへの忘文」
吾郎「内藤政嗣さんから、妻、恵さんへの忘文」
正嗣さん47歳、恵さん37歳、佑真くん9歳

夫からの手紙…

吾郎「えー、ようこそ
   えー、内藤政嗣さんからの忘文が届いておりますので
   お掛けになってください」
恵 「はい」

手紙の朗読
夫が綴る愛する妻への手紙

吾郎「はい
   忘文は届きましたか?」
恵 「はい、届きました」
吾郎「お誕生日、が」
恵 「はい」
吾郎「そうですか、おめでとうございます」
恵 「ありがとうございます」
吾郎「お誕生日プレゼントですね、お手紙も」
恵 「そうですね
   なんか、最高のプレゼントいただきました(うん)
   ホントにどうもありがとうございました」
吾郎「うん
   恵さんにとっては、あの、家族とは何でしょうかね」
恵 「家族ですか」
吾郎「うん」
恵 「ま、絆ですか」
吾郎「絆」
恵 「はい」
吾郎「うん
   また、絆が深まったんじゃないですか
   この、ね、手紙によって」
恵 「そうですね、はい」
吾郎「では、正嗣さんにも、よろしくお伝えください」
恵 「はい」
吾郎「ね、佑真くんにも」
恵 「はい」
吾郎「はい、ありがとうございました」
恵 「ありがとうございました」
吾郎「では、こちらお持ち帰りください」

吾郎「家族
   共に暮らす日々の中で、妻が抱いた憂い
   そんな彼女の思いを誰よりも近くで
   そして、誰よりも深く受け止めてきた夫は
   それを癒すため
   心を込めて言葉を綴りました
   文体からにじみ出る、正嗣さんのおおらかさに触れた
   恵さんの表情が、とても印象的でした」

朗読 「ずーっとずっとだいすきだよ」ハンス・ウィルヘルム(作・絵)
                  久山太市(訳)

ハンス・ウィルヘルム(1945年ドイツ生まれ)
作家・画家として高い人気を誇る
また、映像制作やメディアへの進出など多方面で活躍する

共に成長してきた犬と少年に訪れた転機…

梅津「ずーっとずっとだいすきだよ
   この物語は、西ドイツ生まれの童話作家、ハンス・ウィルヘルムの作品
   物語の中にある一つの転機が訪れます
   それは、飼い犬エルフィーの衰えとともに
   少年の心にひっそりと確実にやってきます
   共に成長してきた2人の間に起こった真実とは」

朗読の続き

吾郎「パートナーの死を悼みつつも
   避けられない事態を受け入れることができた少年
   それは私たちの周りにも転がっているさだめ
   ずーっとずっとだいすきだよ、というタイトルの意味を
   再認識させられる、とても意味深い作品だと思います
   あなたも、この作品の世界に触れてみてはいかがでしょうか」


第59回 11月28日

吾郎「ただ、そこにいてくれるということが
   自分にとっての救いになる瞬間
   その言葉、その仕草の一つ一つが
   大切なものに感じられる瞬間
   ここには、そんな喜びのときを与えてくれた
   存在に送られた飾ることのない感謝の気持ちが
   綴られています」

飾ることのない感謝の気持ち

吾郎「忘文
   それを読むと日頃の憂いを忘れさせてくれる文。
   中国の故事、忘草に由来しています。」

手紙 「祖母 春子への忘文  孫 浩寿より」
吾郎「宮原浩寿さんから、祖母、春子さんへの忘文」
家族の紹介、春子さん84歳、浩寿さん31歳

孫から初めての手紙…

吾郎「ようこそおいでくださいました」
春子「はじめまして」
吾郎「はじめまして
   宮原浩寿さんからの、えー、忘文
   お手紙が届いておりますので
   えー、読ませていただきます」

手紙の朗読
孫から大切に思う祖母への忘文

春子「ありがとうございます」
吾郎「えー、浩寿さんからの忘文は、えー、届きましたか」
春子「ありがとうございます」
吾郎「では、お届け料として、何かご感想など
   一言いただけますか」
春子「もう、胸がいっぱいで(はい)
   ありがとうございます」
吾郎「では、いつまでもご健康で」
春子「はい」
吾郎「長生きしてください」
春子「ありがとうございます」
吾郎「では、こちら、お持ち帰りください」
春子「はい」
吾郎「はい」
春子「ありがとうございました」
吾郎「ありがとうございました」

吾郎「自ら孫の中で、1番のおばあちゃん子だと綴る浩寿さん
   ユーモラスな言葉の中からにじみ出てくる
   祖母への深い尊敬と愛情が、とても印象的な手紙でした
   浩寿さん、春子さん
   今度のおばあちゃんのお誕生日会
   楽しいものになるといいですね」

吾郎「よるです。
   こんやはまんまるのおつきさま。」

朗読 「おつきさま」やすいすえこ(作)
           葉祥明(絵)

吾郎「ページをめくるごとに現れる
   ほほえみや不安や祈り
   そして、それをただ照らし続ける月
   月を通じて多くの人が存在し
   そして多くの思いをかかえている
   そんな世界に気づかせてくれる作品だと思います
   あなたにもぜひ、ご一読をお薦めいたします」



back