10月

気持ちを届ける郵便屋さんがいます…
今日も気持ちのこもった手紙が…

第51回 10月3日

吾郎「夫の病に負けることなく奮闘する妻
   そんな姿を見ながら成長していく子ども
   そんな揺るぎない家族の絆を目の当たりにした時
   人は、どんな思いを抱くのでしょうか」

吾郎「忘文
   それを読むと日頃の憂いを忘れさせてくれる文。
   中国の故事、忘草に由来しています。」

手紙 「佐藤瑶子さんから楢原美鈴さんへの忘文」
楢原美鈴さん(37歳)、楢原均さん(41歳)、佐藤瑶子さん(31歳)

吾郎「ようこそ
   えー、佐藤瑶子さんからの忘文が届いておりますので
   お掛けください」
美鈴「はい」
吾郎「はい」

手紙の朗読
病の夫を支える妻へ 家族を見守る友人からの忘文

吾郎「もう1枚、お預かりしております」
美鈴「はい
   えー、ママへ」

手紙の朗読
病の夫からの忘文
「ママへ。
 ありがとう。
 感謝している。
 これからもお願いします。
 楢原均」

吾郎「えー、ご主人様の方もね
   お手紙を書いていただいて、精一杯ね、左手の方で
   びっくりしましたか?」
美鈴「びっくりしました
   言葉が出なくって(ええ)
   その上、あの、文字を書くことも(ええ)
   ホントにできないんですよ(ええ)
   そんな夫が」
吾郎「ねえ、一生懸命ね」
美鈴「こんなふうに手紙を書いてくれて、とっても嬉しいです」
吾郎「ねえ、短い言葉だけど」
美鈴「はい、もう、心がこもってます」
吾郎「すべて伝わりますね」
美鈴「はい」
吾郎「ま、ここが、ねえ、一つ
   踏ん張りどころというかね」
美鈴「そうですね」
吾郎「うん、がんばるところだと思うし
   まあ、こんなステキなお友達もいるので」
美鈴「そうですね」
吾郎「ね、がんばって、ステキな家庭を築き上げてください」
美鈴「ありがとうございます」
吾郎「はい、じゃあ、こちらも」
美鈴「はい」
吾郎「ね、では」
美鈴「どうもありがとうございました」
吾郎「はい」

(本棚から本を探す吾郎)

朗読 「100万回生きたねこ」佐野洋子(作・絵)

佐野洋子(1938年6月28日 北京生まれ)
ベルリン造形大学で版画を学んだ後、帰国。
以来、数多くの絵本を世に送り続ける。

梅津「1977年、絵本作家、佐野洋子の作品
   主人公は、100万回もの死を経験しながら
   すべて生き返るという不思議な経験を持つねこ
   彼は死なないという体験を重ねるうち
   自分の能力を過信しはじめるのでした
   そんなある日、彼は心引かれる1匹の白いねこに出会ったのです」

朗読の続き

吾郎「何度死んでも生き返るために
   死の意味がわからなかったドラねこ
   彼がその意味を本当に理解したできたのは
   最も大切なものを失った時であるという皮肉
   一見残酷なようでいて、いとおしい気持ちにもなれる
   そんな複雑な、読後感を与えてくれる作品です
   あなたにも、ご一読をお薦めします」


第52回 10月10日

吾郎「姉と妹
   親友以上に親しくありながらも
   距離や尊敬の気持ちを感じてしまうような
   複雑な関係
   ここには、そんな関係を生きてきた妹が抱く
   姉への素直な心境が綴られています」

妹が姉に抱く 素直な気持ち…

吾郎「忘文
   それを読むと日頃の憂いを忘れさせてくれる文。
   中国の故事、忘草に由来しています。」

手紙 「佐藤千鶴子さんから上田恵子さんへの忘文」
吾郎「佐藤千鶴子さんから、上田恵子さんへの忘文」
恵子さん(40歳)、千鶴子さん(35歳)

妹から初めての手紙…

吾郎「ようこそ
   えー、佐藤千鶴子さんからの忘文が届いておりますので
   お掛けになってください」
恵子「はい」

手紙の朗読
妹から憧れの姉へ ○やかな忘文

吾郎「はい
   お届け料として、えー何か一言いただけますか
   ご感想など」
恵子「5歳離れてたから、話すこととか(ええ)
   全然違ってって、ホントに長い間、兄弟じゃなかったような(はい)
   生活をしてました
   で、ようやく大人になって2人でしゃべるようになって
   理解できてきて」
吾郎「心強いですよね」
恵子「何か起きたときに(うん)
   いてくれるのは、やっぱり家族かなっていうのは」
吾郎「そうですね」
恵子「うん、父が亡くなった時に実感したのは確かだし」
吾郎「うん
   また、こういうお手紙によって
   それがね、改めて再確認できて、うん
   とてもよかったんじゃないでしょうかね」
恵子「はい、ありがたかったです」
吾郎「はい、ありがとうございました
   では、こちら」
恵子「ありがとうございました」
吾郎「ありがとうございました」

朗読 「おおきな木」シェル・シルヴァスタイン(作・絵)
          本田錦一郎(訳)

シェル・シルヴァスタイン(1932年 シカゴ生まれ)
アメリカのマルチクリエーター
放浪生活の中制作される作品達は、独特の雰囲気を持つ

梅津「おおきな木
   この絵本は、マルチクリエーターで知られるシルヴァスタインの作品
   物語に登場するのは木と男の子
   木と遊んできた少年は成長していくにつれ
   その喜びを忘れていき、傲慢に木を利用するばかり
   それでも自らを快く差し出す、おおきな木
   そして…」

朗読の続き

吾郎「実、枝、幹と
   自分のすべてを差し出し続けてきたおおきな木
   その恩恵をただただ受け続けてきた男は
   最後に切り株に座った時
   何を思ったのでしょうか
   年老いた男が見せる表情と、残された切り株の姿が
   なんともいえない情感を漂わせる作品です
   もし機会があれば、一読してみてはいかがでしょうか」



第53回 10月17日

吾郎「物事がうまくいかない時、悩みが晴れない時
   気持ちが前に向かない時、人生につまずきを覚える時
   救いになるのは、ただジッとそばにいて
   その気持ちを受け入れてくれる
   大切な人の存在ではないでしょうか
   ここには、度重なる苦悩を乗り越えさせてくれた
   恋人に対する、彼からの感謝の気持ちが綴られています」

愛する人に綴った感謝の思い…

吾郎「忘文
   それを読むと日頃の憂いを忘れさせてくれる文。
   中国の故事、忘草に由来しています。」

手紙 「金圭俊さんから日高希美さんへの忘文」
吾郎「金圭俊さんから日高希美さんへの忘文」
20歳のカップル

恋人から初めての手紙…

吾郎「ようこそ
   えー、金圭俊さんからの忘文が届いておりますので
   えー、お掛けになってください」
希美「はい」

手紙の朗読
大切な彼女へ、彼からの忘文

吾郎「はい、えー、では、お届け料として何か一言いただけますか」
希美「毎日、すごい身近にいて(はい)
   こんなこと一言も言ってくれないんですけど
   でも、なんか、すごい私のことを考えてくれてるなって思って
   すごいうれしいです」
吾郎「うん
   すごい何度も何度も希美って出てきて
   ね、なんか
   読んでて僕も少し恥ずかしい気持ちになったりしたんですけど
   でも、すごい気持ちが伝わってくるしね」
希美「はい」
吾郎「素晴らしい手紙だと思いますが」
希美「心にしみます」
吾郎「そうですね」
希美「はい」
吾郎「うん
   お幸せに」
希美「はい、ありがとうございます」
吾郎「はい、では、こちら」
希美「はい」
吾郎「がんばってください」
希美「ありがとうございました」
吾郎「ありがとうございました」

朗読 「イザベルと天使」ティエリー・マニエ(作)
            ゲオルグ・ハレンスレーベン(絵)
            石津ちひろ(訳)

吾郎「天使を思う純粋な気持ちと
   イザベルのチャーミングさがあいまって
   読む人に独特のユーモアと微笑ましさを
   与えてくれる作品だと思います
   皆様にもぜひ、ご一読をお薦めいたします」

第54回 10月24日

吾郎「平穏に過ごしてきたかに見える生活でも
   その道のりを振り返ってみれば
   無数の山や谷を通ってきたことに気がつくものです
   ここには、そんな起伏にとんだ道を
   ともに歩んできた夫婦の感謝の気持ちが綴られています」

吾郎「忘文
   それを読むと日頃の憂いを忘れさせてくれる文。
   中国の故事、忘草に由来しています。」

手紙 「妻 絹子への忘文  夫 正より」
吾郎「中村正さんから、妻、絹子さんへの忘文」
家族の紹介、正さん60歳、絹子さん55歳

結婚30年…夫から初めての手紙

吾郎「ようこそ」
絹子「こんにちは」
吾郎「こんにちは
   えー、中村正さんから忘文が届いておりますので
   えー、お掛けになってください」

手紙の朗読
夫から妻へ 感謝の気持ちを綴った手紙

吾郎「はい
   えー、では、お届け料として何か一言
   ご感想などいただけますか」
絹子「もう、花を育ててる姿が、一番好きです、うちの主人の
   ですから、プレゼントにもらった花も(はい)
   一番嬉しかったです」
吾郎「初めて、その、いただいたカワラナデシコ」
絹子「はい」
吾郎「覚えていますか」
絹子「はい
   今でも庭にはずいぶん咲いています」
吾郎「あ、そうですか」
絹子「鉢植えもたくさんあるんですけど」
吾郎「そうですか」
絹子「はい」
吾郎「これからも、末永くお幸せに」
絹子「ありがとうございました」
吾郎「ありがとうございました
   (手紙を渡し)ありがとうございました」

朗読 「しろいうさぎとくろいうさぎ」ガース・ウイリアムズ(文・絵)
                      まつおかきょうこ(訳)

梅津 物語の主人公、しろいうさぎとくろいうさぎは、大の仲良し
   2匹はいつも一緒
   森や草むらに中を仲むつまじく飛び回っています
   そんなある日の出来事です

朗読の続き

「くろいうさぎは、もうけっして、
 かなしそうなかおは しませんでした」

吾郎「一緒にいたいと、精一杯念じるくろいうさぎの様子
   願いを確認しあう2匹
   2人を祝う、森の動物たちのダンス
   どのページからも、微笑ましさや
   大切な人と一緒にいることの尊さが伝わってくる作品でした
   皆さんも、表情豊かなうさぎの世界に
   触れてみてはいかがでしょうか」


第55回 10月31日

吾郎「人は新たな家庭を築いていく時
   それは同時に、これまで育ってきた家から
   巣立つ時でもあります
   ここには巣立っていく自らを育て
   守り続けてくれた存在への
   言い尽くせない思いが綴られています」

娘が綴った感謝の手紙

吾郎「忘文
   それを読むと日頃の憂いを忘れさせてくれる文。
   中国の故事、忘草に由来しています。」

手紙 「鈴木秋夫さん・順子さんへの忘文
                娘 綾子さんより」
吾郎「鈴木綾子さんから、鈴木秋夫さん、順子さんへの忘文」
ご家族の紹介、秋夫さん55歳、順子さん62歳、綾子さん26歳

娘から初めての手紙…

吾郎「ようこそ
   えー、綾子さんからの忘文が届いておりますので
   えー、お掛けになってください」
順子「はい」
吾郎「はい」

手紙の朗読
今まで育ててくれた両親へ感謝の忘文

吾郎「はい
   えー、それではお届け料として
   まずお母様の方が一言いただけますか」
順子「楽しい家庭を(はい)
   作ってください」
吾郎「お父様は
   あの、かずくんは、お父さんと性格が似ていると
   おっしゃってますけど
   びっくりしましたか、最初結婚のお話を聞いた時は」
秋夫「はい、びっくりしました」
吾郎「びっくりしましたか
   そうですね
   まあ、結婚してまたね、家庭を築いていって
   ね、いつまでも、お父さん
   大きな存在だと思うので
   温かく見守っててあげてください」
秋夫「わかりました」
吾郎「はい」

吾郎「生まれた時のこと、幼少期、学生時代
   その時々で思い出す、記憶の1つ1つが
   家族にとって、かけがえのないものである事を
   感じさせてくれる手紙でした
   綾子さん、ご結婚おめでとうございます
   そして順子さん、これからも綾子さんにとって
   よき母であり、よき姉でいてください」

朗読 「すてきな三にんぐみ」トミー・アンゲラー
                  いまえよしとも(訳)

吾郎「国中の人々から恐れられていた盗賊が
   みなしご達を救っていくという意外な展開
   読む者を物語の世界に引き込んでいく
   不思議な魅力を持った絵本だと思います
   あなたも、その魅力に触れてみてはいかがでしょうか」

   



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